梅棹忠夫生誕百周年記念 山極壽一前京都大学総長特別講義

 

「人間を外から眺める―ウメサオ学の発想をゴリラ学から語る」

 12月10日(木)5・6限に、山極壽一前京都大学総長特別講義を2年生サイエンス科の生徒が受講しました。これは京都大学教授や国立民族学博物館の初代館長を務めた京都第一中学校出身の梅棹忠夫生誕百周年記念事業として、日本の文化人類学をリードした梅棹氏の流れをくむ山極氏が、梅棹氏の母校の本校生に向け語るものとして企画されました。講義では梅棹氏の生き方や情報整理の技術に触れ、研究対象の捉え方を自在に変える「物事を捉える縮尺」や、他のものに例えて検討する「アナロジー(類推)」の力に、梅棹氏が優れていたと指摘し、新たな発想を持つことを生徒たちに促しました。また、ゴリラ研究の第一人者として、ゴリラと人間がもつ「共感力」に触れ、「社会」、「幸福」について、長年の研究成果をもとに熱心に語っていただきました。生徒は「ウメサオ学の根源は常に新しい事を探し出す姿勢にあることがわかった」、「人間・社会・幸福について改めて考えさせられた」など、多くの感銘を受けました。最後に、山極氏は「研究のエネルギーは『知らないこと』があること。良い問いを立て知らないことに興味を持ち、好奇心を広げることが大事」と話され、本校生に力強いエールを送っていただきました。


 

高1文理コース 数学α 奈良女子大学特別講義 「確率から確率論へ」

 

12月14日(月)、奈良女子大学から篠田正人教授にお越しいただき、発展的な学習に取り組みました。何のために数学を学ぶのか、数学がどのように発展していくのか、数学がどのように応用されていくのかを「確率」をテーマにご講演いただきました。大学で学ぶ内容を具体的な例を用いてお話しいただけたので、興味を持てた生徒が多くいました。また、この特別講義を通じて出てきたテーマについて、生徒たちは冬休み中に調査・検証・実験をし、レポートにまとめることになります。課題探究のテーマ例も提示していただけたので、深い学びが実践できる特別講義となりました。

 

家庭科・理科融合 調理実験「食品に含まれる成分を科学的視点から考えよう」

 

 11月26日・30日 講師に(一般社団法人)日本乳業協会を招聘し、家庭科と理科の連携実験実習を1年1組~3組が行いました。たとえば、牛乳成分の違いを知るため3種類の牛乳を比べたり、バターの構造を知るため生クリームと牛乳の入った容器を振ってバターを作るなど、日頃何気なく口にしている食品を科学的視点から考えました。「家庭科を科学の視点から見ていくと、面白いことがたくさんあった。」「科学的な視点から考えると、より効率よく栄養が摂れたり、特性を生かした料理が作れることが分かった。今日の経験を日常の生活に生かしていこうと思う。」「いつも先生が言っている「家庭科は科学」という言葉の意味がよく理解できた。」といった感想が多く、楽しく面白く学ぶことができたようです。

 

特別講義「昆虫と微生物の共生進化〜生物多様性を支えるミクロの世界を覗く〜」

 

 11月12日(木)4限の高校3年「生命科学」と「生物学探究Ⅱ」、つづいて11月27日(金)5限の「生物学探究Ⅰ」では、産業技術総合研究所生物プロセス研究部門首席研究員で東京大学大学院教授(兼任)の深津武馬先生を講師にお迎えして(zoomによる遠隔授業)、「昆虫と微生物の共生進化」と題した特別講義を行いました。現代生物学のスターの一人である気鋭の進化生物学者である深津先生の授業ですから本格的であったのは勿論のこと、刺激的で興味深いトピックが満載の授業は生徒たちにもたいへん好評でした。ですが、内容は詳しくは今は紹介しません。なぜなら、文理コース高校1年「生命科学基礎」受講生徒を対象にした、なんと3回目の特別講義が3月に控えているからです!でも少しだけ書くと、地球にはまだ誰にも知られていないすごい関係が沢山ある、という...

 

高1文理コース「名古屋港水族館 オンライン特別講義・サイエンスツアー」

 

1年生文理コースでは、11月5日(木)にサイエンスツアーとして、名古屋港水族館に行きました。今年は、10月21日(水)にオンラインでの事前レクチャーを行ってから訪問するという初の試みを行いました。事前レクチャーのおかげで具体的なイメージを持って見学を行うことができ、現地で、より一層の感動や発見がありました。バックヤードツアー、海洋哺乳類についての展示物、イルカやシャチのトレーニングなど様々な場面で学びを得ることができました。

 

高3サイエンス科 化学探究Ⅱ特別講義 「ノーベル賞でたどる宇宙の研究(特にブラックホール)」

 

10月23日(金)、東京大学・ヘブライ大学研究員の松本達矢さんをお迎えして上記の演目でお話しいただきました。当初は宇宙における元素の起源についてお話頂く予定でしたが、松本さんの強い希望で、ブラックホールに関する研究の歴史と最新の研究状況についてお話頂きました。最近、ノーベル賞の発表がありましたが、今まで、実に8人もの研究者がブラックホールに関する研究でノーベル賞を受賞されています。その中には約半世紀前の功績が最近になって認められての受賞もあります。講義では彼らの研究内容とそれらのつながりをわかりやすく解説いただく中で、研究者にとって大切なことも教えていただきました。講義の後には多数の質問が出るなど、とても中身の濃い一時間となりました。因みにヘブライ大学はアインシュタインが最初に教鞭を執った大学だそうです。

 

高校2年文理コース 物質科学Ⅰ特別講義「薬と植物の関わり」

 

 10月20日(火)に京都大学大学院の伊藤美千穂先生に、ご講演いただきました。現在利用されている薬は、もとは植物から得られているものが多いこと、古くから利用されてきた生薬の原料やどのような成分が含まれているかなどについてお話いただきました。最後には、持参いただいた実際の生薬を手に取り、においを嗅いだり味見をしてみたりさせていただきました。質問にも丁寧に答えていただき、大変実りのある1時間となりました。

 

2年サイエンス科 化学探究Ⅱ 特別講義「電池のつくる未来」

 

 2月21日(金)に、株式会社ABRI(*)代表取締役社長で、JSTアドバイザーの阿部英俊さんをお迎えし、「電池のつくる未来」という演題で特別講義をしていただきました。阿部さんは小惑星探査機「はやぶさ」「あかつき」に搭載されているリチウムイオン電池および、災害時に有用なMg空気電池の開発に携わっています。講義ではこの探査機2機に実際に搭載されたリチウムイオン電池と同じものを持ってきていただき、リチウムイオン電池のしくみや、搭載までの開発過程で苦労されたこと、宇宙での電池の役割などについてお話いただきました。また水を入れるだけで作動するMg空気電池を実際に放電させて、スマホを充電したりしました。生徒からは「化学(工学)の力の大きさを知った」「実際に見られて感動した。あのコンパクトな電池で「はやぶさ」の姿勢を制御していることにおどろいた」「震災などの非常時に情報難民を出してはいけない!という強い思いからMg空気電池が開発されたということに感動を覚えた」など、いくつもの驚きの感想が聞かれました。なおこの講演は株式会社ABRIのCSR活動の一環として実施されました。
 *公立大学法人 首都大学東京と古河電池株式会社のベンチャー企業 

 

1年文理コース 数学α特別講義「高校数学の先に拡がる幾何学」

 

 2月20日(木)の3,4限に視聴覚室で、奈良女子大学の村井准教授による特別講義がありました。「高校数学の先に拡がる幾何学~トポロジーの世界~」という演題で、同相変換で写りあう図形を同じ図形とみなして図形の性質を調べる、トポロジーという数学を学びました。中学や高校の教科書に記載されていることから出発し、図形の分類の仕方を合同・相似・同相と発展させてきた歴史を感じられる内容でした。最後には近年証明された「ポアンカレ予想」が紹介され、最先端の数学にも触れることができました。

 

3年中高一貫コース 物質科学Ⅱ 特別講義「体のサイエンス~理学療法士からの提言~」

 

 1月30日(木)に、京都府理学療法士会会長・蘇生会総合病院事務長(診療技術部長兼任)の麻田博之さんをお迎えして、脳の機能とリハビリテーションの関係や、バランスの取れた食生活をはじめとする私たちの生活環境が体に及ぼす影響などについて、お話いただきました。脳卒中や小脳梗塞によって運動機能が低下した患者さんが、リハビリテーションによって大きな快復を実現した例を通して、私たちの脳が秘めた可能性について驚きを持って知ることができました。
 また、特に女性について、過度のダイエットが生まれ来る子供の発達に負の影響を与えることから、食生活を中心として運動、睡眠のバランスの取れた生活を送ることの重要性にも気付くことができました。参加生徒からは「理学療法士の仕事の必要性についてあらためて実感した」「リハビリによって新しいシナプスが繋がって、脳がある程度の機能を取り戻せるという事実はとても興味深かった」などの感想がありました。なお、本講義は京都府教育委員会「府立高校特色化事業」の一環として実施しました。

 
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