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☆『夢見る帝国図書館』中島京子(文藝春秋)

 レンガ造りの図書館で耳をすませると、目には見えない人々の足音が聞こえる。  日本に近代図書館を創設するために奔走した人々。資金がない中、図書館の建物や蔵書の整備に心血を注いだ人々。そうして作られた図書館で、書物と出会い、生涯の友と出会い、また人を介して新たな本と出会う人々。そして、本の力を借りて歴史を動かす人々。  

 図書館は、本は、今いる場所から人を自由にする。そして、読書は、孤独な個人の営みではなく、人を有機的につなげる素だと実感できる一冊です。

 

☆『ターン』北村薫(新潮文庫)

「真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみながら目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。」(文庫版裏表紙紹介文より)  

 永遠に繰り返すかに思われる、人との接触のない「一日」の繰り返し。心が崩れそうになる真希の心を支え続けたものは何だったのか? 今、読んで確かめてみてください。本文一語目から謎の香りが漂う、ミステリの名手らしい傑作です。謎が解けたら、図書室まで話しに来てくださいね。今は扉を閉じて、本を読む喜びを共有できる日を待ち焦がれながら。

                     オススメビト:図書部教員

 
 
 
 
 
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