平成29年度入学式が4月11日(火)に実施されました。当日はあいにくの雨でしたが、吹奏楽部の素晴らしい演奏と共に晴れ晴れとした表情の新入生364名が入場後、厳粛に入学式が挙行されました。
校長式辞は下記の通りです。
春の訪れとともに、今年もまた新しい季節がめぐってまいりました。春は希望の季節。この光り輝く佳き日に、
京都府立桃山高等学校、平成二十九年度、入学式を挙行できますことは、誠に光栄に存じます。
また、御来賓の皆様には、年度初めの御多用の中、新入生への激励と祝福のために、御臨席を賜りましたことに、高段からではございますが、厚くお礼申し上げます。
さて、ただ今、入学を許可しました新入生の皆さん、「御入学、おめでとうございます。」
心より皆さんの入学を歓迎いたします。
本校は、大正七年創立の、京都府立桃山高等女学校、大正十年創立の、京都府立桃山中学校を前史とし、昭和二十三年十月に、学制改革により、京都府立桃山高等学校となり、来年で百年という、長い歴史を有する、伝統校であります。
また、平成二十二年度から、スーパーサイエンスハイスクールとして、文部科学省の指定を受けており、「探究力と創造力を備えた、挑戦心あふれる、グローバル人材の育成」を目指した取組を、全校で進めております。
これから、桃山高校で学ぶ皆さんも、良き伝統を大切にしながら、新たな歴史を創る担い手として、自覚と誇りをもって、努力してくれることを期待します。
本校の校訓は、「自主自立」「文武両道」です。自ら考え、判断し、行動できること。学業と、部活動や様々な学校行事への取り組みを、高い次元で、両立できること。それを目指した取組を行っています。
そして、皆さんには、そのような取組を通して、三つの力を身に付けてほしいと願っています。
一つ目は、「展望する力」です。
高い志、夢と希望を持って、自分の未来を展望する力を身に付けてほしいと思います。 その力を身に付けるために大切なこと
それは「学ぶ」ということです。
幕末の改革者、かの吉田松陰は「学(がく)、すなわち学(まなび)は、人たる所(ゆえん)を学ぶなり」と言っています。
「学ぶ」ことにより、頭を鍛え、自分の心の幅を広げ、生き方の選択肢を増やし、自分がどう生きていくかを決めることができるのです。
授業の場面はもちろんのこと、生活全てを通して学んでほしいと思います。「学び」は至ところにあります。
二つ目の力は「つながる力」です。周りの人はもちろん、自然や歴史、あらゆる人を敬い、愛する心を持って、それらとつながれる力を身に付けてほしいと思います。
そのためには、豊かな感性、人権意識、すなわち、まわりの気持ち、変化を素直に感じることができ、その立場に立って行動しようとする気持ちが大切です。
今日皆さんは新しい出会いをしました。これからも、様々な出会いを経験します。でも、出会っただけでは、信頼関係は結べません。
お互いが人格を持った存在であることを認め、思いやりを持って接することにより、その出会いは育っていきます。
人生を語り合い、良きライバルとして、切磋琢磨することで、この「出会い」は育っていきます。つながっていきます。
三つ目の力は「挑戦する力」です。
自らの目標を実現し、自らの未来を切り拓いていくため、失敗を恐れず、挑戦し続ける力を、身に付けてほしいと思います。
人は失敗や挫折を経験し、それらから学ぶことで成長します。国語的には、「成功」の反対語は「失敗」ですが、人生では、「成功」の反対は「何もしない」ことです。
自分の可能性を信じ、自分の夢に向かって、実行可能な限界まで、高い目標を設定し、立ちはだかる壁をも吸収し、日々新たな「自分づくり」に、挑戦し続けてほしいと思います。
皆さんがこの桃山高校で過ごせる時間は、たった三年間しかありません。何もしなくても時間が過ぎていきます。
志(こころざし)を高く掲(かか)げ、夢と希望を持って、良き出会いを育て、様々なことにチャレンジし、大きな飛躍を遂げる三年間を、本校で送ってほしいと思います。
そして、ここにいるすべての人が、桃山高校の卒業生として、三年後、自信と誇りを持って、すなわち、矜持を持って、この学校を巣立っていってくれることを願っています。
終わりになりましたが、保護者の皆様、本日のお子様の御入学を、心からお喜び申し上げます。
私たち教職員一同、生徒の限りない可能性を信じ、一人ひとりが持てる力を伸ばし、有意義な学校生活を送れるよう、全力を挙げて教育活動に邁進(まいしん)していく覚悟であります。
保護者の皆様におかれましても、本校の教育方針や指導について御理解をいただき、温かい御支援と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
それでは、新入生の皆さんが、今日の感激と決意をしっかりと心に刻み、健康で充実した高校生活が実現できることを、心から期待して、式辞といたします。
平成29年度1学期の始業式が4月10日(月)に本校体育館で実施されました。
校長先生のお話は下記の通りです。
今日から29年度の学校生活が始まります。新たな第1歩を踏み出す、その準備はできているでしょうか。
皆さん、1年後の自分を想像してください。
3年生は、自分の希望の進路をつかみ取り、その道を歩み出しているでしょうか。
2年生は、自分の希望の進路をつかみ取るために、前を向いて順調に歩んでいるでしょうか。
昨年度、皆さんには「夢・感動・挑戦」を実現するために、様々な話しをしました。その中で、何度も、「高い目標」を持ち続けてほしい、その目標に向けてチャレンジし続けてほしいと、話ししました。
そして、3学期の終業式では、うまく行かなかったとき、その時の状況をしっかりと受け入れて、具体的に動き出すことの大切さについて、話しをしました。
皆さんも、よく知っている、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥(しんや)先生。先生の夢は、医者になって、人の病気やケガを治すことでした。そのため、神戸大学医学部を卒業して、まず、外科医を志します。
でも、手術が下手で、他の人が20分で行う手術を2時間もかけてしまいます。同僚たちから「じゃま中」と呼ばれたそうです。
先生にとっては大きな挫折でした。そこで先生は、直接患者の治療に当たる臨床医から、基礎医学の研究者へと方向を転換しました。
その後も、必ずしも、全てのことが思っているように運んだわけではなく、試行錯誤や挫折を何度も経験した後に、ips細胞の発見へとつながるのです。
山中先生は言われます。「失敗すればするほど幸運は来る」と。
先生は、臨床医としての挫折は経験しましたが、そこからまた新しい目標を作り、それに向かっての挑戦と努力の継続へとつなげていったのです。
皆さんも、今年1年、自分の夢の実現に向けて、実行可能な限界まで、高い目標を設定し、挑戦し続けていってください。
そして、たとえ、多くの失敗、挫折を経験しても、それは、挑戦している人にしか与えられない勲章だと思って下さい。
その勲章を胸に、堂々と、また新たな挑戦を始めて下さい。皆さんのこの1年を楽しみにしています。
以上、1学期の始業式の式辞とします。
平成28年度修了式が3月17日(金)に本校体育館で実施されました。校長先生と進路指導部長、生徒指導部長のお話がありました。最後に部活動等で優秀な成績をおさめた生徒に対する表彰式がありました。2学期の終業式に続いて壇上にずらりと生徒があがり、表彰を受けました。(写真)
校長先生のお話は下記の通りです。
本日は平成28年度の1年間を締めくくる修了式です。改めて1年を振返ったとき、皆さんにとってどんな1年でしたか。
この1年間で、自分の夢が見つかりましたか? 夢の実現に向けて、進む方向が決まりましたか? 少しでも自分の夢に近づきましたか?
皆さんには、入学式、始業式、終業式などで、夢の実現に向けて、目標を達成するために、どのような心構えで、どのような姿勢で臨んでいけばよいのか、様々な視点から話しをしてきました。
「人間の能力は、一段高いレベルのものが課せられたとき、それに挑むことを通じて引き出される。だから、高い目標に向けて挑戦し続けていくことが大切」 「ワンランク上の文武両道を実現するためにも、時間を有効に活用すること」「豊かな人間関係を作っていくためにも、挨拶ができるようになってほしい」「誠実、慎重、そしてイノベーション。これが、新しいステージに上がるためのキーワード」
色々話しをしましたが、どの話しも、皆さんに、この桃山高校で、「夢・感動・挑戦」を追い求めてほしいためにした話しです。今日はもう一つ話しをします。
この1年間、皆さんにとって様々な成功や逆に挫折を経験する1年であったと思います。でも、そういった経験があるから、人は成長していくと言われます。
ただ、うまくいかなかった時、落ち込んで前に進めなくなった時、ぜひ、次の言葉を思い出して下さい。先生がいつも心の支えにしている相田みつをさんの詩です。
「雨の日には雨の中を 風の日には風の中を」
雨の日には雨をそのまま全面的に受け入れて、雨の中を雨とともに生きる。風の日には風の中を、風と一緒に生きていくという意味です。つまり、次から次へと起きてくる人間の悩みや迷いは、特別なことではなく、誰しもあたりまえにやってくる。大切なことはその時、どう動くかということです。
こんな詩もあります。
「ともかく具体的に動いてごらん 具体的に動けば具体的な答えがでるから」「歩くから道になる 歩かなければ草が生える」
人間は努力をしている限り、これでいい、これで満点、なんてことはありません。いつでも未完成、不完全です。だから、転んだり、倒れたりするんです。でも、それは具体的に動いているからです。具体的に動いている自分を大いにほめてください。
「七転八倒 つまづいたり ころんだりするほうが 自然なんだなあ にんげんだもの」
ぜひ、その時の状況を素直に受け入れ、次の具体的な一歩につなげていって下さい。
4月の始業式で全員が一段と成長して、元気に集まってくれることを願っています。
以上、修了式の式辞とします。
3月1日に平成28年度の第69回卒業証書授与式が挙行され、361名が巣立っていきました。
校長式辞を紹介いたします。
早春の光と風に誘われ、清らかな木々の新芽がふくらみはじめた、今日のこの佳き日に、 京都府立桃山高等学校 第六十九回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、お忙しい中、多くのご来賓の皆様並びに保護者やご家族の皆様方のご出席をいただき、まことにありがとうございます。高段からではございますが厚くお礼申し上げます。
只今、361名の生徒に、卒業証書を授与いたしました。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。 高校とは人生の中で最もわくわくする時、場所であります。将来を生き抜くための知識を育み、大きな夢や人生をともに語り合う友との新たな出会い、夢ある世界です。さて、皆さんにとって、この桃山高校での高校生活はどんな世界だったのでしょうか?
この桃山高校は、「夢・感動・挑戦」が実現できるステージであったのでしょうか? その問いへの答えは、一人一人違うものだと思いますが、おそらくその答えは、今ではなく、5年後、10年後に振り返ってみたときに、初めて、あの桃山高校での生活は自分にとってどんな世界であったのか、その答えが見えてくるのかも知れません。でも、確かに言えることは、卒業していく皆さんは、この3年間で多くのことを学び、経験し、自立に向けて新たな道を歩み出したということです。そして、そこに至るまでに、皆さんは実によく努力をし、頑張ったということです。そんな皆さんに心より敬意を表したいと思います。また、本日のこの喜びは、卒業生の皆さんの、たゆまぬ努力の結果であることは、言うまでもありませんが、皆さんの健康を気遣いながら、陰で支えてくださったご家族と、周囲の方々の、優しい励ましのたまものであることも、決して忘れてはなりません。
この人生の節目に当たり、是非、機会をとらえて、これまでのご家族や周囲の方々から頂いた、深い愛情とご恩に対し、素直に感謝の気持ちを伝えてもらいたいと思います。
この三年間、広い視野と自己の確立を求め、様々な体験を通して理解を深めた授業、高大連携による講演やセミナー、一致協力して創り上げた文化祭、苦楽をともにした部活動、三年間の様々な活動の一つひとつが、困難を乗り越えたことにより、一層強く感動としてよみがえり、忘れられない一ページになったことと思います。と同時に、そこで発揮した皆さんの力と汗は、たくましい心とエネルギーにあふれた人間力として、これからの人生に必ず生かされるものと確信しています。 卒業生の皆さんには、今日という日を出発点として、これからの人生を前向きに積極的に生きていき、自分一人ひとりの成長はもちろんのこと、真に豊かな社会の実現にも貢献できる人になってもらいたいと思います。そのためには、常に自分の心を大きく開き、他者への気配り、優しい気持ち、人の心の痛みを理解できる豊かな心を育むことが大切です。
今、皆さんを見ていると、皆さんにはそれができると、あらためて確信しました。 皆さんもよくご存じの相田みつをさんの詩にこんな詩があります。
「ただいるだけで あなたが そこにただいるだけで その場の空気が あかるくなる
あなたが そこにただいるだけで みんなのこころがやすらぐ
そんなあなたに わたしもなりたい」
皆さんは、今そこにいるだけで、この卒業式を、こんなにも素晴らしいものしてくれています。ここに参加している人たちの心に感動を与えています。そんな皆さんだからこそ、これからの社会を創造していく大切な一人になれると信じています。覚えているでしょうか? 今年1年間、始業式や終業式、様々な行事で皆さんに話しをしてきたことを。「高い目標を設定し、それに向けて挑戦し続けてほしい。」 「夢をかなえる秘訣は、4つの「C」に集約される。
それは、「Curiosity(好奇心)」、「Confidence(自信)」、「Courage(勇気)」。そして「Constancy(継続)」である。」
色々話しをしましたが、最後にはやはり、次の言葉を贈りたいと思います。卒業生の皆さん、皆さんにはぜひ、桃山高校の卒業生として「矜持」を持って、これからの人生を歩んでいってください。この桃山高校で送った3年間に自信と誇りを持って、皆さんの夢の実現に向けて歩んでいってください。皆さんにはそれができます。誇り高き皆さんだからこそ、それができると信じています。
最後になりましたが、保護者の皆様、ご家族の皆様、本日めでたく卒業されましたことを、心からお祝い申し上げます。また、本校の教育に御理解をいただき、温かい眼差しと、広い心で、多大な御協力を賜わりましたこと、厚く、お礼を申し上げます。 それでは、卒業生の皆さんが、桃山高校の生徒であったことを誇りとし、それぞれの目標に向かって精進、努力され、やがて花を咲かせ、実を結ぶことをこころより念願しています。卒業生の皆さんの前途に、幸(さち)、多かれ!
平成二十九年三月一日
京都府立桃山高等学校
校 長 畑 利 忠