Now Loading...

Now Loading...

学校紹介

 

 みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 令和5年、2023年という新しい年が始まりました。

 昨年からよく「新時代」という言葉をさまざまな場面で耳にするようになりました。皆さんがよく知っているのは、映画の主題歌にもなったAdoさんの「新時代」という曲名ではないでしょうか。また、サッカー日本代表の森保監督が、ワールドカップでの選手たちの戦いぶりを評して「新時代を作った」というコメントを残しています。

 私たちを取り巻く社会環境も、グローバル化やデジタル化の進展、少子高齢化や環境破壊問題、コロナ禍による生活様式の変化などにより、今までとは違う局面に入っていると言えるでしょう。

 城陽高校においても、今年度の1年生から新しい学習指導要領による学習がスタートし、BYOD方式による一人一台端末でのICT教育の推進など、「新しい時代」の教育活動が始まっています。

 「新時代」を象徴する言葉に「VUCA(ブーカ)」という造語があります。これは、Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の四つの単語の頭文字をとったもので、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を指しています。想定外の事態が次々と起こり、今までの常識が常識ではなくっていく時代を意味しています。

 では、我々は「新時代」にどのように生きていけばよいのでしょうか?

 今日は、「新時代」を生きる皆さんに意識してもらいたい二つのポイントについて話をしたいと思います。

 一つ目は「学び続ける姿勢を持つ」ということです。皆さんは「リスキリング」という言葉を聞いたことはありますか?これは「職業能力の再開発、再教育」を意味する英単語です。かつては、日本のほとんどの企業が終身雇用制度、年功序列の賃金体系を採用していました。つまり、最初に入社した一つの会社で定年まで勤め上げるという働き方が世間の常識だったわけです。ところが「新時代」では、終身雇用は常識ではなく、個々が自分の能力を高め、どんどん条件のいい会社に転職してキャリアアップしていくのが主流になっていくと思われます。そのために必要になってくるのが「リスキリング」です。社会人になっても自分のスキルアップのために学び続けることが、充実した幸せな人生を送るための必須条件となっていくのではないかと思います。見方を変えれば、自分の能力を磨こうとしない人は「学び続ける」人たちからどんどん置いていかれ、AIに仕事を奪われ職を失う時代がやってくるのです。

 私が皆さんにぜひやってもらいたいのは、高校時代に「学び続ける姿勢」を身につけておくということです。そのためにはどうすれば良いのか?それは、日々の授業に主体的に取り組み、各教科の学習内容を自分の意志で積極的に学び、教室以外の場所でも学習に取り組む習慣をつけることです。また、自分の知らないことや分からないことに対する知的好奇心を持ち続けることも大切です。「学び続ける姿勢」は、一朝一夕で身につくものではありません。また、社会に出てから学ぶ習慣を身につけるのは至難の業だと思います。ぜひ、高校時代に身につけておいてください。未だに言われなければ勉強できない人や、家庭学習にほとんど取り組まない人は、将来取り返しのつかないことにならないように、少しでも早く自分の学びのスタイルを変えてほしいと思います。

 二つ目は「自分たちが新時代の担い手である」ということです。

 当たり前のことですが、人間の社会はその時代に生きる人々によって形づくられていきます。これから10年先、20年先の未来社会を築くのは現在高校生である皆さん達の世代です。つまり、皆さんは「新時代を創る」中心的な世代であるということです。高校卒業後に皆さんが社会の中でどのような生き方をしていくか、それが「新時代」の社会形成に大きく関わってくると思います。

 SDGsが掲げる17のゴールは「持続可能なよりよい世界」を目指す世界共通の目標であり、「地球上の誰一人取り残さない」という基本理念に基づくものです。ところが現在、世界中でさまざまな対立や分断を起因とする戦争が起こり、ほんの一握りの富裕層と数え切れない貧困層との格差がどんどん拡大し、美しい地球の環境は次々と破壊されています。では、我々は次の世代の人類によりよい地球を残すために、何をすればよいのでしょうか?

 そのキーワードとなるのが「Well-Being」という考え方ではないかと思います。これまでは幸福を表す英単語としては「Happiness」を使うことが多かったのですが、この言葉はどちらかというと今現在が満たされているという一時的な「幸福」を意味するために、最近ではその代わりに「Well-Being」が用いられるようになってきました。これは、個人だけではなく社会全体が持続的に幸福になる状態を指す言葉で、SDGsの理念とも一致するものです。「新時代を生きる」世代の皆さんが、自分だけの幸福を目指すのではなく、「Well-Being」という考え方を持ち、社会全体の持続可能な幸福のためにSDGsを意識しながら生活をする。「どうせちっぽけな個人が頑張っても何も変わらない」と諦めて時代に流されるのではなく、主体的かつ前向きに自分たちの手で持続可能な社会を創り出そうと努力する。そんな生き方をする若者が、世界中で加速度的に増えていけば、「新時代」は明るく希望に満ちた時代となるに違いありません。ぜひ、自分たちが「新時代の担い手」であるという自覚を持ち、「Well-Being」の実現のために自分には何ができるのか、そのために高校時代に何をやっておくべきかということを意識しながら、今後の高校生活を送って欲しいと思います。

 いよいよ今日から今年度最後の学期が始まります。

 まず、3年生にとっては、高校生活の締めくくりの学期となります。大学受験もこれからが山場です。最後まであきらめず、それぞれの進路希望を実現してください。既に進路が決定している人も、次のステージへの準備期間として自分自身に磨きをかけてください。また、1、2年生にとっては、進級に向けた大切な学期です。一日一日を大切にして充実した学期にしてください。

 皆さんが、明るく前向きに令和4年度の有終の美を飾ってくれることを祈っています。

 以上、始業式の式辞とします。

令和5年1月10日

 
 

 みなさん、おはようございます。
 2学期の終業式を迎えることとなりました。

 さて、令和4年もあと少しで終わろうとしています。今年1年もいろんなことがありました。2月にはロシアがウクライナへ侵攻し戦争が始まってしまいました。開始から10ヶ月が経とうとしていますが未だに終息の兆しが見えません。一日も早くウクライナの人々に平和が訪れることを皆さんと共に祈りたいと思います。

 サッカーのワールドカップでは日本代表の活躍に、日本中が熱く盛り上がりました。最終的には目標のベスト8を達成できませんでしたが、多くの人々に感動と勇気を与えてくれたのではないかと思います。

城陽高校の1年を振り返ってみると、令和4年も結局のところ最初から最後までコロナ禍での学校生活となってしまいました。皆さんにとってはどんな1年だったでしょうか?今年度は、感染対策を行いながらほぼ全ての行事をコロナ禍前の形で実施することができました。また、先日行われた2年生の研修旅行では体調不良者が一人も出ず、終了後もコロナ感染が拡大することもありませんでした。これは本当に素晴らしいことだと思っています。皆さんが高い意識を持って感染対策にしっかり取り組んでくれたおかげです。心から感謝したいと思います。

 今日は、「三手先を読む」という話をしたいと思います。

 これは将棋棋士の羽生善治(はぶ よしはる)さんがある講演会で取り上げられた話題の一つです。令和の将棋界では藤井聡太さんの活躍が大きく取り上げられていますが、平成の将棋界のスーパースターと言えば、羽生善治さんです。中学3年でプロ棋士となり、19歳で竜王のタイトルを獲得、2017年には前人未踏の永世七冠を達成、2018年には国民栄誉賞を受賞するなど輝かしい業績を残し、今なお将棋界の第一線で活躍されています。
 その講演会は、若い世代の人々に一歩踏み出して何かにチャレンジする勇気を持ってもらおうという趣旨で開催されたもので、羽生さんは「挑戦する勇気」というテーマで自分の人生を振り返りながら、若い世代の人々にさまざまなメッセージを送られました。その中の一つが「三手先を読む」という話題です。

「三手先を読む」というのは、「最初の一手を自分が指し、その手に対して相手が二手目を指し返す。そして、さらにその手に対して自分が三手目を指す」ということで、将棋での最短シミュレーションだそうです。一見簡単そうに見えるこの「三手の読み」が実は非常に難しいそうです。最初の一手は自分の好きなように打てばよいようにも思えますが、問題なのは相手がその手に対してどのように返してくるかということで、その二手目の読みを間違えると、その先何百、何千と先に読んだとしても、自分の思い通りにはならないそうです。
 その相手の二手目を読むためには、将棋の盤面をひっくり返して、相手だったらどう指すかということを相手の立場になって考えなければなりません。羽生さん曰く、これは非常に難しいことで、相手だったらどう指すかと考えているつもりが、実は自分だったらどう指すかと考えていることが多く、結果として相手から予想外の手が返ってくることも少なくないそうです。つまり、自分と相手では発想の違いがあり、完全に自分の思い通りにはならないということです。

 しかし、それで諦めてしまうのではなく、相手の考えていることを一生懸命想像し、推測し、推察することが大切であり、その経験を積むことによって、何か新しい物事に挑戦するときに何が起きても動じない力を養ってくれると羽生さんはおっしゃっています。

 この「三手先を読む」という発想は、人生の様々な場面で大変役に立つ考え方であると思います。例えば、円滑な人間関係を築くためには、相手の気持ちを想像し、推測することが不可欠です。人間関係が壊れてしまうのは、ほとんどの場合、相手のことを考えない自分勝手な言動が原因ではないかと思います。また、これまでに経験したことの無い困難にぶつかった時も、がむしゃらに進むのではなく、一歩立ち止まって「三手先まで読む」ことが必要ではないでしょうか。これから取ろうとする自分の行動が今後どのような影響を及ぼすのかを考えること、つまり二手目を推測することは、より適切な解決方法を導き出してくれるに違いありません。ぜひ皆さんも今後の高校生活のさまざまな場面において「三手先を読む」習慣を身につけてほしいと思います。

さて、皆さんは私が夏休みに出したSDGsに関する課題のことを覚えていますか?皆さんがこの課題にどのように取り組んでくれたのかというアンケートのまとめを作成しましたが、今日は時間の都合上説明することはできません。Classiで皆さんに配信していますので、後でゆっくり目を通しておいてください。

 最後になりましたが、年末年始は家族と過ごす時間を大切にしてください。また、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザの流行も心配されるところです。今年は行動制限のない冬休みとなりますが、それぞれが自覚を持って感染防止対策にしっかりと取り組んでください。
 来たる令和5年、2023年が皆さんにとって素晴らしい一年になることを願って、終業式の式辞とします。

令和4年12月21日

【参考文献:文藝春秋社 文春新書「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」】

 
 

 みなさん、おはようございます。

 本日から2学期が始まります。四十一日間に及ぶ長い休みでしたが、皆さんにとってはどんな夏休みだったでしょうか?

 夏休み前から急増した新型コロナウイルス感染者数は、ここ最近はピークアウトしたようにも感じられます。しかし、世間では学校が再開するとまた感染者数が増加するのではという不安が根強くあります。学校が感染者数増加の原因のように思われるのは皆さん自身も不本意なことだと思います。我々教職員も、学校がきちんとした感染対策の下で教育活動を行えば、決して感染者数は増えないということを証明したいと思っています。皆さん一人一人の自覚ある行動をお願いします。

 今日は私が夏休み中に読んだ本を紹介します。

 書名は「瓢箪から人生」、著者は俳人の夏井いつきさん。「プレバト」というテレビ番組で、芸能人が創った俳句を歯に衣着せぬ辛口で添削していくことで一躍有名になった方です。皆さんも知っている人が多いのではないかと思います。私はこの俳句のコーナーの大ファンで毎週欠かさず見ています。夏井先生の説得力のある解説を聞く度に、俳句という世界の奥深さに引き込まれていく気がします。

 この本は、「俳句の種まき運動」と称して普及活動に取り組んで来られた夏井先生の半生が軽妙な文章で綴られたエッセイです。私がこの本の中で最も感銘を受けたエピソードを紹介します。

 それは、ある地方の居酒屋で初めて出会った年配の女性との交流です。その女性から、私は先生のファンなので自分が好きな先生の句を直筆でノートに書いてほしいと夏井先生はお願いされました。その女性の好きな句は

「泪(なみだ)より少し冷たきヒヤシンス」

という句だったのですが、夏井先生からどんな句が好きですかと尋ねられたその女性は「なみだよりすこしつめたき」というところまで口に出した後、突然号泣し始めたのです。同席していたその女性の妹さんに事情を尋ねてみると、その女性は半年前に最愛の夫を亡くされたそうですが、夏井先生の前で号泣したその日まで人前で一度も涙を流すことがなかったそうです。夏井先生は「悲しすぎて泣けない。そんな心の堰(せき)を、ヒヤシンスの句が壊してくれたというのか」と記されています。私自身も、その女性が人前で素直に涙を流せたことで、やっと最愛の人の死を受け止めることができ、自分の人生をしっかり歩んでいくことができるようになったのではないかと感じています。

 俳句はたった十七音から表現される世界一短い詩であると言われています。私は、このエピソードを読んで、たった十七音の言葉で人の心を大きく動かすことができる俳句という芸術の力に深い感銘を受けました。それと同時に、言葉の力ということを改めて考えさせられました。

 今、ネット上には人を誹謗中傷するような冷たい言葉が溢れかえっています。心ない言葉によって人の命が失われてしまうという悲しい出来事も起こっています。言葉は人の心をプラスの方向にもマイナスの方向にも動かす力を持っているのです。皆さんは自分の言葉の力をどのように使いたいですか?私が願うのは、皆さんが発する言葉は、人を癒やし、人を励まし、人を救い、人を喜ばせるような力を持った温かい言葉であって欲しいということです。「ありがとう」「よかったよ」「がんばってるね」「そばにいるよ」「だいじょうぶ」こんな何気ない短い一言にも人の心を動かす力は備わっていると思います。

 夏井先生は、これまでの山あり谷ありの人生を振り返りながら、「心の複雑骨折を繰り返しながら、自然治癒力を身につけていくのが、人生」とも書かれています。人は自分の心が折れてしまったときに、最終的には自分の力で「自然治癒」させなければなりません。しかし、周囲の人から心をプラスの方向に動かしてくれる言葉をかけられれば、その人の自然治癒力も高まっていくのではないかと思います。皆さんの周囲にもしんどい思いをしている人がいるかもしれません。あるいは、自分自身が辛い状況に置かれることもあるでしょう。城陽高校の生徒が、互いに温かい言葉を掛け合うことによって心の骨折への自然治癒力を高め合ってくれることを、私は心より願っています。

 私から出した夏休みの宿題を覚えていますか?既に多くの人がアンケートに回答をしてくれています。今月末まではアンケートへの回答をできるようにしておきますので、夏休み中に何かSDGsに関する実践を行った人はぜひClassiから回答してください。皆さんがどんなことに取り組んだかについては、いずれ何らかの形で紹介したいと思っています。

 最後になりますが、どの学年にとっても、この二学期は大変重要な学期となります。しっかりとした目標を立て、それを達成するためには日々どう過ごせばよいかということを考えて、一日一日をしっかりと生きていきましょう。まずは文化祭です。みなさんの素晴らしい発表を見ることを大変楽しみにしています。 

 以上、二学期始業式の式辞とします。

 
 

 みなさん、おはようございます。
 さて、1学期の終業式を迎えることとなりました。
 令和4年度もコロナ禍での学校生活となりましたが、皆さんにとってはどんな1学期だったでしょうか?学校でも、出来る限り皆さんの活動を止めないという方針で今学期に臨みました。その結果として、計画していた行事等を全て実施することができ、大変嬉しく思っています。これは、皆さんが高い意識を持って感染対策にしっかり取り組んでくれたおかげです。心から感謝したいと思います。ただし、今月に入ってからは感染者数が急増し、大変心配な状況となっています。2学期には文化祭や体育祭、研修旅行等の大きな学校行事が控えていますので、これらの行事を無事に開催するためにも、明日からもこれまで以上に意識を高く持って感染防止対策に取り組んでください。
 今日は「読解力」ということについて話したいと思います。
 最初に問題に挑戦してもらいます。今から出す問題文を読んで正しい選択肢を選んでください。
 制限時間は30秒です。

 正解は「①同じである」です。
 もう一問出題します。これも30秒で解いてください。

 正解は「②キリスト教」です。
 いかがでしたか?二問とも正解できたでしょうか?
 今皆さんに挑戦してもらったのは、「リーディングスキルテスト」という読解力を測るテストの例題です。

 ちなみに、全国の中高生に同じ問題を解いてもらった結果、問2の正解率は中学生が62%、高校生は72%でした。一見正解率が高いようにも思えますが、見方を変えれば、全国の中学生の4割、高校生の3割がきちんと問題文を読み取れなかったということになります。

 また、経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に実施している国際学力到達度調査(PISA)では、日本の読解力の順位が3回連続で下がっているという結果が出ており、日本の高校生における読解力低下ということが大きくクローズアップされました。読解力の低下は、高校生の読書離れや、SNS等における非常に短い文章でのやり取りなどが原因なのではないかと言われています。 

 一口に「読解力」と言っても、いくつかの種類の読解力があります。まず、最初は「文章を読んで意味を正しく把握し理解する力」という意味での「読解力」。例えば、教科書に書かれている内容や新聞の記事の内容をきちんと読み取ることができるかどうかということで、先ほどのリーディングスキルテストも、この力を測定するツールだと言えます。

 この「読解力」は、学校での学習の基礎となる大変重要な力です。皆さんの読解力は大丈夫でし ょうか?もし自分の読解力に不安があるなら、私が今から紹介する方法にぜひ取り組んでみてください。それはごくあたりまえの方法で、「活字に触れる機会を増やすこと」。これは紙の本でも電子書籍でもネット記事でも構いません。ただし、比較的長めの文章を読むことが大切です。一日一つの文章でも構いませんので、活字を読む習慣をつけましょう。さらに、文章を読んだ後で、その内容を100~200字程度にコンパクトにまとめる練習をすれば、読解力は飛躍的にアップします。ぜひ試してみてください。

 読解力の中でも今最も注目されているのが「デジタル読解力」です。「デジタル読解力」とは、インターネット等で情報を検索し、その情報の価値や信頼性を自分自身で確かめながら、読み取った内容に基づいて自分の考えを表現できる力のことを指します。先ほどのPISAの調査では、日本は「情報を探し出す力」と「(その情報を)評価し、熟考する力」という部分の読解力が弱いという結果が出ています。そういった日本の若者の現状を踏まえて、国が推進しているのが「GIGAスクール構想」であり、その流れを受けて、京都府の公立高校でも、今年度の1年生からBYOD方式による一人一台端末による学習がスタートしています。

 「デジタル読解力」は現在の高度情報化社会において必要不可欠な力であり、今後の未来社会においてもさらに重要な力となってくるはずです。皆さんの「デジタル読解力」はどんなレベルでしょうか?ぜひ、自分自身が日常生活でどのようにデジタル情報を収集し、どのように活用しているかを振り返り、自分の「デジタル読解力」のレベルを確かめてみてください。また、学校でも皆さんの「デジタル読解力」を高める授業にも取り組んでいきたいと思っています。

 私からは、「ネットで情報収集する際の留意点」を紹介しておきます。既に知っていることばかりかもしれませんが参考になれば幸いです。

 まず一つ目は、「情報の出典元を確かめる」。情報の出所は、それが正しい情報であるかどうかを判断する重要な材料となります。出典元が官公庁や企業の公式サイトである場合は、より信頼性が高いと言えるでしょう。

 二つ目は、「一つのサイトの情報だけで判断しない」。場合によっては非常に偏った情報が掲載されている可能性もありますので、複数のサイトで比較検討し、情報の内容を吟味してください。

 三つ目は、「できるだけ最新の情報を手に入れる」。ネット上には過去の情報が削除されず残されたままになっているケースも少なくありません。それが現在では誤った情報になっている場合もあります。掲載時期が明確に記されているサイトから出来る限り新しい情報を手に入れることを心がけましょう。

 最後に、昨年に引き続き、私から夏休みの宿題を出したいと思います。
 まず、日本ユニセフ協会のホームページ「SDGs CLUB/SDGs17の目標」https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/ を見て、SDGsについて学んでください。このホームページではSDGsの17の目標それぞれについて、動画や数値データなどを用いて大変わかりやすく説明されています。次に、SDGsが掲げる17の目標のうち、最も関心のあるものを一つ選び、その目標達成のために自分は何ができるかを考えて、夏休み中に実際に取り組んでみてください。そして、Classiで配信する報告用アンケートに、自分がどんな取り組みをしたか積極的に投稿してください。

 これは昨年と同じ内容の課題です。昨年取り組んでくれた人は、今年は違うテーマにチャレンジしてください。1年生の皆さんはタブレットを使ってこの宿題に取り組んでみましょう。多くの皆さんがこの宿題にチャレンジしてくれることを楽しみにしています。

 明日から40日を超える長い夏休みに入ります。コロナ対策や熱中症予防などの体調管理には十分気をつけながら、学習はもちろん、部活動やボランティア活動等にも積極的に参加して、自分を鍛える夏にしてください。二学期の始業式に皆さんの成長した姿を見られることを楽しみにしています。

 以上、一学期終業式の式辞とします。

 
 

IMG_8504s.jpg 水度神社の桜も満開となり、春光うららかな今日のよき日、令和4年度京都府立城陽高等学校第51回入学式を挙行するに当たり、保護者の皆様の御臨席を賜り、誠にありがとうございます。高段からではございますが厚く御礼申し上げます。

 ただ今、入学を許可しました280名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。

 在校生、教職員一同、皆さんの入学を心からお待ちしておりました。また、保護者の皆様には、お子様が無事高校受験を終えられ、本校に入学されましたことを心よりお喜び申し上げます。

 城陽高校は、昭和47年に開校し、昨年創立50周年の節目を迎えました。「知性を磨き 自らを律し たくましく行動する」という校是を掲げ、心身共に健康で、創造性と実践力に満ちた新しい社会の形成者を育てることを目指し、1万7千人を超える卒業生を輩出してきました。これからも地域社会に貢献できる人材を育成していきたいと思います。51期生として入学された新入生の皆さんと共に城陽高校の新たな歴史への第一歩を踏み出したいと思います。

 さて、高校生活は、長い人生の中で、たった3年というほんのわずかな期間でしかありません。しかし、一度しかない人生の、たった一度きりの高校時代だと考えれば、今日から始まる3年間は何にも代えがたい本当に貴重な時間だと言えるのではないでしょうか。その大切な3年間を何の目標もなく無駄に過ごしてしまっては、もったいないとしか言いようがありません。高校時代の3年間は、皆さんが社会で生きていくための大切な基礎、基本を身につけるための重要な準備期間なのです。

 実は私自身も城陽高校の8期生としてここで3年間の高校生活を送りました。友人たちと軽い気持ちで入部したラグビー部で、今は亡き恩師と出会い、恩師の勧めに従って教員の道に進みました。私があの時にラグビー部に入っていなければ、今このように私が皆さんの前に立つことはなかったでしょう。城陽高校に入学し、ラグビー部に入り、恩師と出会ったおかげで、私はとても幸せな人生を送ることができています。ぜひ、私の後輩となる皆さんにも、この城陽高校で、将来、幸せな人生を送るための土台を築いてもらいたいと思います。

 そこで、私から皆さんに高校生活を送る上でのキーワードをお伝えします。それは、一言でいうならば「主体性」です。さらに具体的に言えば「自分自身の頭で主体的に考え、より良い選択と行動ができるようになる」ということです。

 今、ウクライナでは、ロシア軍の侵攻により、何百、何千という罪もない人々の尊い命が奪われています。人の命は何にも代えがたく、何よりも大切なものです。こんな行為が許されるはずがありません。

 城陽高校では、SDGsの目標でもある「地球上の人類が誰一人取り残されず幸せに暮らすことができる平和な世界の実現」に貢献できる人材を育成したいと考えています。そのためには、何が正しくて何が間違っているのかを見極めることができる「確かな学力」を身につけることが大切です。我々は知らず知らずのうちにネットやマスコミから流れてくる情報を、何の疑いもなく自分の価値判断基準として受け入れてしまっていることが多々あります。また、ネットやSNS上のデマに踊らされ、誤った判断をしてしまった経験を持つ人も少なくないはずです。現代のように情報が溢れかえる社会で生きていくためには、自分の頭で主体的に考えて、より良い選択と行動ができる力を養っておかなければならないのです。

 高等学校では、社会で生きていくための基礎基本となる内容を学びます。新学習指導要領が目指す「主体的対話的で深い学び」とは、皆さん自身が高等学校での学習に興味や関心を持って取り組み、自分の将来の生き方に結びつけていくことを意味しています。ぜひ、学習を高校生活の中心に据え、日々の授業に主体的に取り組んでください。大切なのは自分の頭で考えることです。もちろん、考えても分からないことや、間違った答えを選んでしまうこともあるでしょう。失敗を恐れてはいけません。人間は失敗を経験することによって大きく成長できるものなのです。皆さんには輝かしい未来を切り開く無限の可能性があります。自分の可能性を自分自身で閉ざしてしまわず、大きな目標を掲げ、それを達成すべく努力を続けて欲しいと思います。皆さんが、高校生活を通して「確かな学力」を身に付け、世界の平和に貢献できる人材として成長してくれることを心から願っています。

 終わりになりましたが、保護者の皆様には改めまして、お子様の御入学おめでとうございます。

 皆様が手塩にかけて育ててこられたお子様を今日からお預かりすることになり、私たち教職員一同、身の引き締まる思いを持っております。

 保護者の皆様におかれましても、御家庭と学校でお子様をともに育んでいけますよう、本校の教育活動に御理解、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 最後に、本日の入学式にあたり、新入生の皆さんが、この感激を胸に刻み、心身ともに健康で有意義な高校生活を送ることを心から祈念して、式辞といたします。

令和4年4月8日     

京都府立城陽高等学校   

                                       校 長  畑中 正文     

 
 

IMG_8439s2.jpgみなさん、おはようございます。

 本日から令和4年度が始まります。

 本校は昨年度の10月に記念すべき50周年を迎えました。今日からは城陽高校の51年目がスタートします。次の60周年に向けて、新たなスローガン「進化から深化へ」を掲げ、城陽高校の新たな歴史を創っていきたいと考えています。このスローガンには、今までの進化の流れを引き継ぎながら、さらに一歩深めた教育活動を行っていくという意味が込められています。

 皆さんも高校入学以来、さまざまな面で進化してきたと思います。今年度は、今までの進化をさらに「深化」させ、もう一段レベルアップしてもらいたいと思います。そのために、令和4年度の課題を私から皆さんに出します。それは、一言でいうならば「主体性」を持つ、もう少し具体的に言えば「自分の頭で主体的に考え、より良い選択と行動ができるようになる」ということです。今の城陽高校生は教えられたことや指導されたことについては、きちんとできるレベルに到達していると思います。皆さんに目指して欲しいのは、注意されるのが嫌だからとりあえず言われた通りにやっておこうというレベルから、さらに「深化」した、自分の頭で主体的に考え、何が大切かということを理解し、その場に応じた適切な行動を取ることができるというレベルへの成長です。

 もちろん、皆さんはまだまだ未熟な部分も多く、自分で考えても答えが出せなかったり、間違った答えを出してしまったりする場合もあります。実は、それが皆さんの成長のきっかけとなる重要な経験なのです。その経験を積むことによって、自分にとって何が足りないのか、何を学ぶべきなのかという自分の課題が見えてきます。その課題をクリアしたいという気持ちが学びへのモチベーションを高め、高校での学習に主体的に取り組むことができるようになります。主体的に取り組んだ学習は、皆さんの学力として確実に定着していきます。そうやって培われた「確かな学力」は、皆さんが幸せな人生を送るための大切な財産となるのです。このような好循環を生むきっかけが、「自分の頭で主体的に考える」という行為なのです。

 一つ注意してもらいたいのは、皆さんが自分の考えだと思い込んでいることが、実はネットやSNS上での情報の受け売りではないかということです。現代は、さまざまな情報が溢れかえっています。我々は、知らず知らずのうちにネット上の価値観に洗脳されていたり、情報を発信する側の都合のいいように操られていたりするのかもしれません。そうならないためにも、常にこれは本当に自分の考えなのかという点検をしていくことが大切だと思います。

 人生は一度きりしかありません。そのたった一度の人生を自分の意志で主体的に切り拓いていくのか、それとも、何も考えず周囲に流されて漂いながら生きていくのか。どちらが幸せな人生かは言うまでもありません。悔いの無い人生を送るためにも、残された高校生活に主体的に取り組み、「確かな学力」を身に付けてください。

 三学期の終業式でも触れましたが、ウクライナでは未だにロシア軍の無差別攻撃により何の罪もない市民、女性、子どもたちの尊い命が奪われ続けています。亡くなられた方への哀悼の意を表するとともに、皆さんと一緒に一日も早く戦争が終わることを祈りたいと思います。また、今それぞれができる範囲の支援を続けましょう。そして、城陽高校で学ぶ皆さんが、平和な世界の実現に貢献できる人材へと成長してくれることを心から願います。

 最後になりますが、今年度も引き続きコロナ禍での学校生活が続きます。学校としても感染防止対策を行いながら、できる限り通常の教育活動を行っていきたいと考えています。皆さんも気を緩めることなく、今まで通りの感染防止対策に努めてほしいと思います。

 それでは、令和4年度が皆さんにとって素晴らしい一年となることを祈念して、一学期始業式の式辞とします。

 
 

 みなさん、おはようございます。

 本日をもって三学期を終えることとなりました。

 令和3年度は皆さんにとってどんな一年間だったでしょうか?

 自分の思い描いていた高校生活を送ることができましたか?

 昨年度に引き続き、コロナ禍での高校生活となりましたが、皆さんの協力のおかげで、大きな混乱もなく、無事年度末を迎えることができました。

 今日は、ロシアのウクライナ侵攻について話したいと思います。連日の報道で多くの尊い命が失われていく状況を知る度に、私は深い悲しみを抱くとともに、ロシアのプーチン大統領や一部の指導者たちに対する激しい憤りを覚えます。人の命は何よりも重く、何にも代えがたい大切なものです。人の命よりも優先される大義名分などありません。プーチンにどんな政治的目的があったとしても、今回のような行為が許されるわけがありません。

 皆さんは、この出来事をどのように受け止めているでしょうか。自分たちとはあまりかかわりのない遠い国での出来事のように感じている人もいるのかもしれません。皆さんには同じ地球上の人類の一員としてこの悲惨な出来事を受け止めてもらいたいと思います。

 今住んでいる町に突然ミサイルが飛んできて多くの人の命が奪われてしまう。18歳以上の男性は、銃を与えられ戦場に送り込まれる。そこでは、敵を殺さなければ自分が殺されてしまう。女性、子ども、老人は故郷を捨て、凍えるような寒さの中を何十時間もかけて外国へ逃げなければならない。自分がこんな目に遭うということを皆さんはイメージできますか。ウクライナ国民は、平和な日本で暮らす私たちにとって想像を絶する状況に置かれています。

 それでは、このような事態に対して、我々には一体何ができるのでしょうか?

 まず、今すぐできることとしては、戦禍に苦しむ人々への支援です。地理的に離れた日本から難民の方々に直接手を差しのべることはできませんが、さまざまな機関等を通じて間接的に人道支援を行うことができます。ぜひ、自分のできる範囲でウクライナ難民の方々への募金などに協力してもらえればと思います。

 また、忘れてはならないのは、ロシア国民も決してこのような戦争を望んでいるわけではないということです。実際に、ロシア国内でも数多くの反戦デモが行われているように、ロシア国民も自国の一部の指導者の暴挙に心を痛め、一日も早く平和が戻ることを祈っています。SNS等ではロシアの人々へのいわれなき誹謗中傷等も行われていると聞きます。皆さんは絶対にそのような間違った行動を取らないでください。

 もう一つ皆さんに考えてほしいことがあります。

 それは、「戦争のない平和な世界」は本当に実現できるのかということです。残念ながら、人類の歴史を振り返ってみれば、「戦争のない平和な世界」の実現には程遠い状況にあります。だからといって、これを実現不可能な理想論として片付けてしまってよいのでしょうか。何事においても、その実現を「不可能」「無理」と決めつけてしまった瞬間に思考停止が起こり、状況を改善しようとする意欲も失われ、そのままの現状を受け入れてしまうことになってしまいます。

 これまでに皆さんに何度かSDGsの話をしてきましたが、SDGsが目指す最終的なゴールは、人類が誰一人取り残されることなく地球上で幸せに暮らし続けることです。つまり、SDGsの目標を達成するためには、戦争のない平和な世界の実現が絶対に不可欠です。

 理想を掲げ、理想の実現のために努力を続けることができる。これは人間に与えられた最も素晴らしい能力だと私は思います。戦争のない平和な世界が実現できるのかどうかは、未来の社会を築いていく若い世代が鍵を握っています。皆さん自身もその一員です。決して他人事ではありません。自分たちのため、またその次の世代のために、自分に何ができるのかということを考え、行動してほしいと思います。

 もちろん、今の皆さんにできることは限られています。まず、家族や友人関係などの自分の身の回りの小さな世界が今どうなっているかを振り返ってみてください。その小さな世界の人々が全員幸せに暮らすことができているのか。そのためには、自分は何をするべきか。一人一人が考え、努力してみましょう。  

 皆さんが将来幸せな人生を送るためには、真実を見抜く力、つまり、何が正しくて何が間違っているのかを、自分自身の頭で考えて判断できる力をつけておく必要があります。そのために皆さんが一番やらなければならないことは、自分で物事を考える上での基礎基本となる「学力」をつけることです。危機に直面した時に、自分はどうするべきか。その答えを出すためには、自分の頭の中にたくさんの引き出しを作っておかなければなりません。基礎的基本的な学力がなければその引き出しを作ることはできません。つまり、高校での勉強は、将来の自分を守るための大切なトレーニングであるということです。

 皆さんは今年どれだけの学力を身につけることができたのか。3学期通知表で確認してください。数字は嘘をつきません。この成績は紛れもなく自分自身で出した結果です。それをしっかり受け止めてください。優秀な成績を収めた人は自分で自分を褒めましょう。思わしくない結果となってしまった人は、何が原因かしっかり振り返り、リベンジを果たしてください。

 コロナの感染者数もかなり減少し、落ち着いた状況になりつつあります。さまざまな規制も少しずつ緩和されていく傾向にありますが、決して気を緩めることなく、これまで通りの感染防止対策に努めてください。

 それでは4月に元気な皆さんと再会できることを楽しみにしています。

 以上、三学期終業式の式辞とします。

 
 

 青谷の梅の花が見ごろを迎える季節となりました。春の訪れを感じられる今日の良き日、京都府立城陽高等学校第48回卒業式を挙行するにあたり、保護者の皆様の御臨席を賜り、誠にありがとうございます。高段からではございますが厚く御礼申し上げます。お子様が、高等学校の課程を修了され、本校を卒業されます今日のこの日を、万感の思いで迎えられたことと存じます。教職員を代表いたしまして、心からお祝いを申し上げます。

 改めて、ただ今卒業証書を授与した298名の皆さん、卒業おめでとうございます。本日をもって、皆さんの城陽高校での学生生活は完結することとなります。皆さんが1年生の3学期から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、卒業式を迎えた今日になっても終息の兆しが見えません。皆さんの高校生活の3分の2はコロナによって翻弄されました。感染防止のためにさまざまな我慢を強いられ、研修旅行まで中止となってしまいました。そんな苦しい状況の中、皆さんは自分を見失うことなく、それぞれの目標に向かって努力を続け、そして今日、卒業の日を迎えました。このコロナ禍において高校生活を無事全うできたことは、皆さんにとって大きな糧となるはずです。ぜひ胸を張って前を向き、堂々と新しい社会への第一歩を踏み出してください。

 卒業に際し、私からのメッセージを皆さんに贈りたいと思います。

 それは、理不尽に打ち勝つ「しなやかな強さ」を持って欲しいということです。長い人生においては、「なぜ自分がこんな目にあうのか」と思うような理不尽な出来事に巻き込まれることがあります。皆さんが高校生として青春を謳歌すべき時期に、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生したことはまさしく理不尽としかいいようがありません。また、先月開催された北京オリンピックでも、スキージャンプの高梨沙羅選手がウエアの規定違反で失格となり、スピードスケートの高木菜那選手が金メダル目前で転倒するなど、本人にとって受け入れがたい理不尽なハプニングが起こりました。現代のような変化の激しい時代においては、いつどこで理不尽に遭遇するのか我々に予測することはできません。皆さんが幸せな人生を送るためには、このような理不尽に一つ一つ打ち勝っていかなければならないのです。

 「柳の枝に雪折れなし」ということわざがあります。これは、「一見弱々しく見える柔軟なものが、むしろ強くて堅いものよりもよく苦難に耐えることができる」ということをたとえたものです。理不尽に打ち勝つためには、柳の枝のように柔軟に対応できる「しなやかな強さ」を持つことが大切だと私は思います。

 皆さんは本校での3年間の高校生活によって、社会で生きていくための基礎的な力を身に付けることができました。その土台の上に「しなやかな強さ」が付け加われば、皆さんの人生はさらに輝けるものとなるはずです。そのためにも、高校卒業後のそれぞれの人生において、失敗を恐れず、さまざまな経験を積み、多様な価値観に触れることによって自分の視野を広げてください。そうすることによって、思考の柔軟性が養われ、「しなやかな強さ」が培われていくと思います。

 私が尊敬する元ラグビー日本代表の故平尾誠二さんが、その著書の中で「理不尽を経験することで人は鍛えられ成長する」と記されています。これから先の人生において、皆さんが辛く苦しい状況に置かれたとしても、「これは自分を成長させてくれるトレーニングである」くらいのポジティブな考え方を持って、「しなやかな強さ」でさまざまな困難を乗り越えていってくれることを信じています。

 皆さんは明日から城陽高校の卒業生となります。我々教職員にとって、教え子が社会で立派に活躍してくれることは、この上ない喜びです。民法の改正により、皆さんは4月1日に成人年齢に達することになります。皆さんが成人としての自覚と責任を持って、新しい日本社会の担い手として活躍されることを期待しています。ぜひ、皆さん自身の手で、戦争のない平和な世界を築き上げてください。50周年を迎えた本校は、次の新しい歴史を創るべくさらなる発展を目指します。皆さんも母校である城陽高校のこれからの姿を見守り続けてください。

 終わりになりましたが、卒業式に御臨席いただきました保護者の皆様方には、これまでの間、本校の教育活動に多大なる御支援と御協力を賜り、心より感謝申し上げます。今後も引き続き、城陽高校発展のためにお力添えくださいますようお願い申し上げます。

それでは、卒業生の皆さんの前途に幸多きことを心より祈念し、私の式辞といたします。

 令和4年3月1日

京都府立城陽高等学校

校 長  畑中 正文

 
 

 みなさん、明けましておめでとうございます。

 まず始めに、教室に配備された個人用ロッカーについて話をしたいと思います。このロッカーは、本校の創立50周年を記念して同窓会から学校に寄贈していただいたものです。城陽高校の先輩方の大切な同窓会費を積み立てていただき、後輩の皆さんのために全校生徒分の個人ロッカーを購入していただきました。先輩方の思いをしっかり受け止め、城陽高校の財産として大切に使ってください。

 ロッカーの使い方について、私から皆さんに課題を出したいと思います。それは、このロッカーをどのように使えば皆さんの高校生活にとってプラスになるかということを、自分の頭でしっかり考えて欲しいということです。今回は学校としてあえて必要最低限のルールしか定めていません。このルールの範囲の中でどのように使えば、自分にとってプラスになるのかということを、自分で考えて使ってください。何も考えず他人に流されたり、安易な方法を選択したりすることだけは絶対にやめてください。これは、皆さんにとって重要な成長の機会です。

 私が何故このような課題を出したのか、その背景について説明します。

 この年末年始にはラグビー、サッカー、バスケットボールなど高校スポーツの全国大会が数多く開催されていました。優勝チームのキャプテンが「自分たちで考えてプレーできた」という内容のコメントをしているのを皆さんも聞いたことがあるでしょう。全国優勝するチームに共通しているのは、選手が自ら考えて主体的にプレーをしているという点です。いくら選手の能力が高くても、監督やコーチに言われるままにしかプレーすることができないチームは、決して頂点に立つことはできません。何故なら、試合中には予測不可能な事態が頻繁に起こるからです。監督やコーチに言われるままにプレーしてきた選手は、今まで出会ったことのない状況にパニックになり、より良いプレーの選択ができなくなってしまいます。一方、普段の練習から自ら考えて主体的にプレーしている選手は、想定外の事態にもしっかり対処することができます。常に自分の頭で考える習慣がついているからです。

 京都府の教育が目指す人間像は「めまぐるしく変化していく社会において、変化を前向きにとらえて主体的に行動し、よりよい社会と幸福な人生を創り出せる人」(第2期「京都府教育振興プラン」より)となっています。また、育みたい力として、「主体的に学び考える力」「多様な人とつながる力」「新たな価値を生み出す力」(同上)の三つをあげています。本校も京都府の公立高校として、京都府の教育が目指す人間を育成するために、日々の教育活動を行っています。

 デジタル化の進展、グローバル化、人口減少、地球温暖化、新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化など、私たちを取り巻く環境は日々めまぐるしく変化しています。そんな社会の中で幸せな人生を築いていくためには、予測不可能な事態に柔軟に対応することのできる力が必要です。皆さんがこれから出て行く社会では、自分で主体的に行動できない人、つまり、人から言われたことしかできない人は、人工知能(AI)に仕事を奪われ、必要とされなくなっていくでしょう。そうならないためにも、高校生の間に、目の前の課題に対して、自分の頭で考え、自分にとってより良い選択をし、行動するという習慣を身につけておくことが大切であると思います。現在の城陽高校の生徒は、先生方に教えられたことや指導されたことについては、きちんとできるレベルには到達できています。しかし、これから先の変化の激しい社会をたくましく生きていくためには、ここからさらに一つレベルアップして、「自分の頭で考えて、主体的に行動できる」ようになることが求められているのです。それこそが、本校の新スローガン「進化から深化へ」が目指しているところです。

 ぜひ、このロッカー使用についての課題を始め、今後の高校生活のさまざまな場面で「自分の頭で考える」習慣を付けてください。自分で考えても答えが出ないことも多々あるかもしれませんが、まず考えるという姿勢が大切です。また、ネット等で仕入れた情報をそのまま自分の考えだと思い込んでいることも多いので、今の自分の考えは本当に自分が出したものなのかということも常に意識をしておいてください。

 いよいよ今日から令和3年度最後の学期が始まります。

 まず、3年生にとっては、高校生活の締めくくりの学期となります。大学受験もこれからが山場です。最後まであきらめず、それぞれの進路希望を実現してください。既に進路が決定している人も、次のステージへの準備期間として自分自身に磨きをかけてください。また、1、2年生にとっては、進級に向けた大切な学期です。一日一日を大切にして充実した学期にしてください。

 最後に、オミクロン株によるコロナの第6波が全国的に広まりつつあります。オミクロン株は非常に感染力が強いため、一気に感染が広まってしまう恐れがあります。今まで以上に、しっかりした感染防止対策に努めてもらいたいと思います。

 皆さんが、自分の頭で考え、主体的に行動することによって、令和3年度の有終の美を飾ってくれることを祈っています。

 以上、始業式の式辞とします。

 
 
 

 みなさん、おはようございます。
 2学期の終業式を迎えることとなりました。
 さて、皆さんは私が夏休みに出した課題のことを覚えていますか?皆さんがこの課題にどのように取り組んでくれたのかというアンケートのまとめを今日は報告したいと思います。
 まず、アンケートへの回答者数ですが、何らかの設問に答えてくれた人がちょうど100人となっています。予想以上に多くの生徒が取り組んでくれたので、大変嬉しく思います。
 それでは、設問ごとに結果を見ていきたいと思います。

 まず設問1「SDGsの17の目標の中で、あなたが関心のあるものはどれですか」への回答結果はこのようになっています。複数回答可で回答総数は365人となっています。

 次に設問2「SDGsの17の目標の中であなたが夏休み中に実際に取り組んだものはどれですか」の回答結果はこのようになっています。回答総数は126人でした。

 次に、設問3「設問2で回答した目標について、具体的にはどのようなことに取り組みましたか」。記述式の回答から代表的なものをピックアップしてみました。

 自分でも無理せずできることから取り組んでくれた人が多かったと思います。今もこの取り組みを続けてくれていることを期待しています。

 次に設問4「SDGsに取り組んでみて、どのようなことを考えましたか」。これも記述式の回答です。 主なものをピックアップしてみました。

 最後に設問5「SDGsの17の目標について、今後取り組んでみたいことがあれば記述してください」。これも主なものをピックアップしました。

 以上がアンケートの報告です。いかがでしたか?私の思いつきで始めた課題にたくさんの人が真剣に取り組んでくれたことに、心から感謝します。

 このアンケートをまとめてみて私が感心したことを皆さんに伝えたいと思います。

 まず、一つ目は、多くの生徒がSDGsの目標達成のために、自分も貢献したいという気持ちになってくれたということです。これは、人類が抱える課題は自分たち自身で解決していかなければならないという当事者意識を持つことができたということではないかと思います。

 次に、今回の課題に取り組んでみて、自分の知ったことや、分かったことをさらに詳しく調べたり、友達と話し合ったりして、自分の学びを深化させた人がいたということです。そういった知的探究心を持って学びに向かうことこそが、本当の意味での勉強だと思います。

 三つ目は、今回の学びを自分の将来(進路)につなげようと考えている人がいるということです。その人は、高校卒業後の進路についてしっかりした目標を持ち、進学先での学びについて明確なモチベーションを持っているということです。また、そのモチベーションは、現在の高校での学びへのモチベーションにもつながっていて、きっとその人は日々の授業や家庭学習にも意欲的に取り組んでくれているのではないかと思います。

 1学期の終業式で社会全体の幸福をウェルビーイングと表現することを紹介しました。SDGsの17の目標は、まさしく地球全体のウェルビーイングを目指す取り組みです。1・2年生の中には、高校卒業後の進路について、まだ明確な方向性を決められていない人も多いのではないかと思います。そんな人が進路を考える上で大切にして欲しいのは、「社会全体の幸福のために、自分は何ができるのか」という視点です。社会の課題を知り、その課題を自分のこととして受け止め、その課題解決に向けて何が自分にできるのかということをぜひ考えてみてください。そうすることによって、今の高校での学びや将来の学びに向かうモチベーションが生まれてくるのではないかと思います。

 最後になりましたが、年末年始は家族と過ごす時間を大切にしてください。また、新型コロナウイルスについては、今のような落ち着いた状況が継続できるように、引き続き感染予防対策にしっかりと取り組んでください。来たる令和4年、2022年が皆さんにとって素晴らしい一年になることを願って、終業式の式辞とします。