「山を知るには、これを愛さねばならず、山を愛すには、これを知らねばならない」という言葉を掲げて、今年もたくさんの新入部員と引退していく3年生たちと、蹴上から大文字の火床へと歩いてきました。3年生は、これからも山を楽しみ、登山知識を学び、さらに、山を楽しむ。登山のすばらしいスパイラルに向かっていって欲しいと思います。
残念ながら、2年生3年生特製のカレーを新入生に食べてもらうことはできませんでしたが、火床からの京都の街並みの景色は堪能できました。大きく深呼吸をしてから、銀閣寺へと下山しました。
銀閣寺前で解散とするやいなや、部員たちは顧問を見捨てて、足早に帰って行きました。山を知るのと同じくらい、顧問の存在も知って欲しいし、愛してほしいものです。
みなさんおはようございます。
まずは、この度のコロナウイルス感染拡大の影響で、健康被害にあわれた方、経済的損失をはじめ、様々な被害にあわれた方々に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、ようやく全国的に感染者の数も大幅に減少し、すべての都道府県の緊急事態宣言も解除され、社会的活動再開の機運が高まる中、本校でも本日から本格的に学校を再開する運びとなりました。結局のところ4月13日からの実質7週間もの長期間にわたり、皆さんには自宅待機生活を強いることとなってしまいました。本当に苦しい日々が続いたと思いますが、皆さん一人一人がそれぞれに自覚して、毎日規則正しい生活を送り、個々に工夫して学習を進め、体力・モチベーションの維持に努めてくれたおかげで、今日この日を迎えられたのだと思います。皆さんの頑張りに敬意を表するとともに、今日久しぶりに皆さんと集えたことを共に喜びたいと思います。
休業期間中は、いろいろな人から様々に応援され、励まされて過ごしてきた人もたくさんいるでしょう。しかし、中には逆に様々なストレスを抱えながら過ごした人もいるのではないかと思います。今日から毎日学校に通えます。悩みを一人で抱えたままにしていてはいけません。まずは、皆さんそれぞれに抱えている不安や心配があるのなら、すぐに担任の先生に相談して解決策、解消方法を一緒に相談していきましょう。
また、コロナ感染は完全に収束したわけではありません。今後第二波、第三波が来る可能性もありますから、学校再開にあたっては、私たちは「新しい行動様式」を充分意識して生活しなければなりません。「新しい行動様式」とは、三密状態をできる限り避ける、換気・手洗い・うがいをこまめに行う、マスクを着用する、などです。新しくも何ともありませんが、これまでの自粛期間中に当たり前に気を付けてきたことを、今後はそれぞれが誰に言われずとも自覚して行動しましょうという点が重要です。少し我慢したり、少し距離をとったり、少し相手の立場に立つことが、思いやりとなって、やがては全体の幸福へとつながることを、私たちは今回のコロナ騒動で学びました。学んだことを今後につなげていきましょう。
今回のコロナ騒動では、予定変更を余儀なくされた点もたくさんあります。延期や形態の変更、場合によっては中止というケースもあります。今後の学校生活における主な変更点等をお知らせします。
まず、今後しばらくの学校生活時間についてですが、6月第1週、第2週については交通機関の混雑時間帯を避けるため、9時10分始業、16時下校とし、授業時間は40分とします。また、補習、土曜授業、土曜学習会、自習室等もすべて6月13日の土曜日以降に再開する予定です。部活動については6月第1週は禁止、第2週は水曜・土曜、日曜のみ条件付きで実施可能とし、第3週目からは全曜日で条件付きで実施可能とする予定です。
また、休業期間中に実施できなかった授業日程についてですが、皆さんには更に負担をかけますが、長期休業期間の短縮で学習の遅れを回復することとします。具体的には、一学期の終わりを7月31日まで、二学期の始まりを8月20日から、二学期の終わりを12月25日までとしますので予定してください。
そして、遠足、球技大会、宿泊研修、研修旅行、体育祭、文化祭など様々な行事については、実施の可否、実施形態の変更を含め、現在先生方と検討を進めている最中です。今後の感染状況にも左右されますし、一定の準備期間を必要とする行事や代替日程が取れない行事など様々な条件がありますから、場合によっては中止せざるを得ないケースも出てくるかとは思います。
中でも特に文化祭は、体育館や教室という密閉空間で、演劇やパフォーマンスを演じ、鑑賞するというスタイルや準備期間の長さから、例年通りの実施形態は難しく、中止も止む無しかと思っていましたが、思いのほか学校再開の動きが早まったので、実施形態を様々に工夫すれば、例年通りとはいかないまでも、何かしら代わりとなるものを実施できないかとも考えています。とにかくこの休業期間中、皆さんには、自分のこと、自分たちのことを主体的に考える習慣がついたと思いますので、ぜひとも今年度の文化祭については生徒の皆さんのアイデアを出してもらいたいと思います。ちょうど、6月には生徒会長選挙が行われますので、文化祭への思い入れのある人は積極的に立候補してみてください。
そのほか授業内容のこと、一学期考査や成績評価のこと、進路に関すること、ICT活用のことなど、気になることはいろいろあるかと思いますので、この後担任の先生から説明を受けてください。
今回のコロナ騒動では、失ったものもたくさんありましたが、逆に得たものも多かったのではないかと思います。「想像力を働かせて他者を思いやる気持ち」の大切さに気付かされましたし、「主体的に学び考え行動するチャンス」を得たのも、大きな収穫だったと思います。今日から仕切り直して年度のスタートです。みんなで、あせらず、じっくりと、一歩一歩、日常を取り戻していきましょう。
校 長 増 田 恒
式 辞
日毎に春らしさを感じる桜花爛漫のこの佳き日に、京都府立桃山高等学校、令和二年度、入学式を挙行できますことは、誠に光栄に存じます。
今年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止対応のため、御来賓・保護者の御出席も御遠慮願い、形態や時間等も縮減する形で入学式を実施することとなり、関係の皆さまには大変御迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
さて、ただ今、入学を許可しました新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。心より皆さんの入学を歓迎いたします。そして、今日まで、お子様の成長を見守ってこられました、保護者の皆様にも、心からのお祝いを申し上げます。
本校は、大正七年創立の、京都府立桃山高等女学校、大正十年創立の、京都府立桃山中学校を前史とし、昭和二十三年十月に、学制改革により、京都府立桃山高等学校となり、今年で百二年という長い歴史を有する伝統校です。本校の校訓は、「自主自立」「文武両道」です。自ら考え、判断し、行動できる生徒、そして、学業と、部活動や様々な学校行事への取り組みを、高い次元で、両立できる生徒に育ってほしいと思っています。これから、桃山高校で学ぶ新入生の皆さんにも、良き伝統を大切にしながら、新たな歴史創造の担い手として、自覚と誇りをもって、努力してくれることを期待します。
今、世の中では、これまで誰もが経験したことのない、ウィルスという見えない強敵との戦いに神経をすり減らしています。感染しなければ自分には関係ないなどという生半可な考えが通用しないことは、昨今の世界情勢を見ても明らかです。自覚のない感染者が、基礎疾患を持つ人や高齢者にうつしてしまう危険性もある中で、自覚ある行動が求められ、これまで当たり前にあると思っていたすべての安全性や予定がなし崩しとなり、社会全体に不安感が広がっています。学校でも臨時休業が長く続き、部活動も大幅に制限されており、生徒の皆さんにもストレスフルな日々を強いることが続いていて、大変申し訳なく思います。しかしいつまでも嘆いていても何も進展はしません。長期化が想定されるこの最大の試練を、逆に普段では考えられなかった逆転の発想でとらえなおし、これまでじっくり取り組めなかったことに着手するのにも、無理かなと諦めていたことにチャレンジする準備に充てるのにも、絶好のチャンスではないかと考えてみてはどうでしょうか。若い世代の皆さんの新しい発想が、この難局を切り開く原動力になってもらえたら大変うれしいと感じています。
今日から高校生活の第一歩を踏み出される新入生の皆さんに、期待と激励の気持ちを込めて一つだけメッセージを送ります。
「将来の夢に向かってたくさん勉強して教養を身につけたい」とか「中学校から続けてきた部活動に励み、更なる高みを目指したい」とか「たくさんの友達を作り学校行事を盛り上げたい」など、高校生活を目前に控えた今の想いがそれぞれにあると思います。この、今感じている「期待感」を大切にして、どうか忘れずに心に刻み込んでおいてほしいということです。できれば何かに記して掲げておくとよいかもしれません。もちろん、一方ではこれから始まる学校生活への不安の気持ちもあるでしょう。不安感は一日でも早く解消するに越したことはありませんが、学校生活になじみ、友達をつくり、先生にもたくさん相談するうちに、必ず、少しずつ解消していきますので安心してください。しかし、残念なことに消えてほしくない「期待感」も同時に少しずつ薄れてしまいがちです。今日の「期待感」は皆さんの三年間を支える大切な心の支えとなりますので、節目節目で思い出し、自らを鼓舞できるよう心に刻み込んでください。大切に内面にしまい込まれた「期待感」が、何かのきっかけで大きな化学反応を起こし、皆さんの人生を大きく変化させる起爆剤となるかもしれません。夢や希望や期待というのは私たちの日々の生活を前向きに、意欲的にしてくれるエネルギーの源です。高校は大学進学までの通過点などとドライに考えず、今の期待感を楽しさに変化させて、高校三年間をぜひとも充実させてください。新入生の皆さんが、自らの人格を完成するという大きな目標のもとで、社会の変化に主体的に対応できる能力の基礎を培い、自ら学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身に付けてほしいと願っています。
本来なら本日は保護者の皆さま方にも御参列いただき、本校の教育方針を御理解いただき、今後御家庭との緊密な連携をお願いして、新入生の門出を共にお喜びする機会となったところですが、このような事態となり、御参列いただくことができませんでしたことを、改めてお詫び申し上げますとともに、本校御関係の皆様方には、本校教育の発展のため、今後とも変わらぬお力添え賜りますようお願い申し上げ、式辞とさせていただきます。
令和二年四月九日
京都府立桃山高等学校 校 長 増 田 恒
令和2年4月8日(水)、感染拡大防止のために、各ホームルーム教室で放送にて1学期始業式が実施されました。
校長先生は式辞の中で、今年の桃山高校の教育テーマである“主体的学習者の育成”に触れ、「休業期間中は、このテーマを自分なりに実践的に突き詰める絶好のチャンスと考えてみてはどうでしょうか」と述べられました。
また、本校が第3期スーパーハイスクール事業の指定を受けたことにも触れ、「第3期SSHをさらに盛り上げ、次世代を牽引するようなグローバルサイエンスの花を、桃高にたくさん咲かせてください」と述べられました。
最後に、「1日も早く事態が収束し学校再開の日が来ることを皆さんとともに祈りたいと思います」と述べられました。