カリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究

研究発表会要項

発表会当日の様子(2018.11.6)

   

研究発表会における質問やご意見に対する回答

1 時程について
■質問や意見
・1・2・3学期で、モジュール学習の実施時間を変えて現在、実証研究中だということを伺った。それぞれ、どんな効果、課題が出てきたのか知りたいと強く思った。
・帯の入れ込みはどの間が望ましいのかを含めて、教えていただきたい。
■回答
 Aパターンは1・2校時の間、Bパターンは3・4校時の間であるが、どちらも朝の会等の時間と切り離されていて、時間確保がしやすい設定でした。ただし、2時間続きの授業の時はそのクラスだけ別に設定する必要がありました。3学期実施予定であったCパターンは、給食の配食が時間的にむずかしいこと、水曜日が他の曜日の時間設定と同じにならないことにより試行を中止しました。
 そのため、A・Bパターンの欠点である「2時間続きの授業」を想定した改善策、2校時終了後、5分間の休憩を挟んでモジュール授業を行うDパターンの試行を行う予定です。
 基本パターンとして、どの設定が有効であるかまだ判断できていませんが、その日の行事等の状況により、4つのパターンはそれぞれ活用できると考えています。

2 指導時数について
■質問や意見
・モジュールを「1」とカウントして「週30時間」を確保されているのですね?モジュールの新出漢字の時間を「国語1」とカウントするという考え方でいいのですね?そうなると他の国語の年間指導計画の方がどうされたのでしょうか?
・高学年において、およそ40時間の漢字に充てる時間を行うとなると他教科とのしがらみの中でうまくやりくりできるかということが少し気になった。また、HP等でお知らせいただきたい。
・年間200回約40時間の国語の時間を漢字のみに活用することは国語科に影響があるのではということ、ともすれば教職員の意識に温度差が出るのではと思った。
・6年生の国語が週4時間(書写を除く)であるが、モジュールで使っている分(すべてではないと思うが)単元の学習などの時間が不足するという心配はないのか。
■回答
 モジュール授業に充てる授業時間は、国語科から、現在、本校で使用している国語の教科書(光村図書版検定教科書による)に配当されている「前年度既習漢字の復習の時間」(例、6年では14時間)を抜き出します。また、15時間は、「創意ある教育活動の時間」(特色ある教育活動の時間)として配当していた時間を充てています。残りの6時間は予備時数から充当しています。
 このため国語科の標準時数175時間より21時間多い196時間を国語に配当することになります。国語科の他の単元、並びに他の教科の指導時数は減らしていないので、国語科の他単元、他教科の指導には影響が出ないことになります。
 この196時間から書写の指導時数32時間(東京書籍版検定教科書による)を差し引きすると164時間となりますが、これを35週で割ると4.68時間となり、モジュール授業を採用しない場合の4.08時間を大幅に上回る指導時数が確保できます。これまで配当のなかった漢字指導を計画的、かつ確実に実施することを含め、子どもたちの「言語力の不足」が叫ばれる中、国語科の指導は充実すると考えています。

3 指導内容について
■質問や意見
・ 今後、定着していく中で他教科に広げ弾力的に使える10分間になるとよいと感じた。
・他教科もこのような取組ができるのではないか
■回答
 年間のモジュール授業は、175コマ以上確保できます。そのため指導に適した内容としては、漢字や文法など国語科の指導の他、計算の習熟や英単語のドリル学習、英語のスピーキング・タイムなどが考えられます。しかし、モジュール授業が教育課程内での実施であり、時数確保が最重要ポイントであることを考えると、複数の教科に渡る実施によって時数計算があいまいになることだけは避けなければならないと考えます。そのため本町では、当面、国語科で実施することにしています。

■質問や意見
・次年度の学習内容を3学期に行うことで転入児童等がいた場合のサポートはどのように考えられているのか気になった。
■回答
 転入児童については、使用する教科書や進度の違いなど前籍校と比べて異なる点があると考える方が一般的です。そのため、新出漢字の指導については個別に指導することになります。

■質問や意見
・2・3学期末の習熟の時間の計画について・・・。内容の詳細や教材はどのようになっているのか。 
■回答
 基本的に、開発中のソフト教材やドりル形式のプリントを使った習熟の他、各教員が必要と考える内容について授業を行う予定です。教員の判断でカリキュラムをマネジメントすることになります。
 
4 指導資料について
■質問や意見
・真っ白なマス(B5版)への「指書き」を子どもが何度も書いていたが、線の跡が残らないので子どもは文字をイメージできているのかな?と思った。「モジュールプリント」の1/4の大きさに新出漢字を書いておいて(見本を拡大)、そこを(文字の上を)なぞるやり方はどうだろうか?と思った。
■回答
 本町では、示範の大型液晶画面の記憶やプリントの右上の漢字の手本によって形が捉えられると考えこの方法を採用していますが、今後検討していきたいと考えます。ただし、実施の条件として紙代や印刷代など経費の面での制約があり、悩ましいところではあります。

■質問や意見
・自作教材以外に、漢字ドリル等の市販の教材は使用されていないのか?また、家庭学習も自作プリントを使っているのか?保護者負担の軽減は・・・
■回答
 田原小学校では自作教材、自作宿題プリントのみで指導を行っています。宇治田原小学校では、これに加えて漢字の学習ノートを併用して指導しています。保護者の費用負担の問題も考え、現在2校で検証中です。

■質問や意見
・「ことば(文法)」の教材も作成されているのか?あれば、ぜひご紹介ください。
■回答
 現在、「文法」を含め言語力育成のためのパソコンソフトを開発中で、3学期中をめどに完成させる予定です。(後日、お問い合わせください。)

5 指導効果について
■質問や意見
・今回は、特にモジュール授業をどのようにされているのかを拝見したくて来た。早めに取り入れてされていることで音読もきっと意味が初回から分かって楽しくできていることだと予想していた。漢字テストなど、50問の漢字の書くテストや定着の具合はモジュールの効果がどのくらいあるのか聞きたかった。
■回答
 本年度末に実施予定の次年度の新出漢字の先取り指導{小学校学習指導要領 第2章 各教科 第1節 国語 第3 指導計画の作成と内容の取扱い 2の(1)のエの(ア)による}を含め、モジュール授業も来年度から本格的に軌道に乗ると考えています。(残念ながら、6年については中学で習う新出漢字の先取りができないのが現状です。)
 効果検証については、同じ集団でモジュール授業実施前後の比較ができないため、今回示した同一集団で2年間にわたる達成率の比較しかできませんでした。今後、効果検証の方法についても研究していきたいと考えます。

■質問や意見
・低学年は授業時間を減らすことができることで、どのような成果があったのか知りたい。(例えば、本来授業時間であった時間で課題の見られる児童への補習を行っている等)
■回答
 1年で4時間授業を1日、2年でオール5時間授業という時程ですが、体力面、気力面で不安の多い低学年児童にとって、「減らす」という方向はまちがいなくプラスであると考えます。そして、教員にとってもわずか1時間ですが、補充学習や子どもとの会話など児童に関わる時間が増えたと捉え、積極的に活用している状況です。

6 小中連携について
■質問や意見
・中学校に進学した際に漢字学習方法の大きな違いからつまずかないよう小中連携等の配慮が望まれると感じた。
■回答
 本町で行っている小中一貫教育だけでなく、全国的に広まっている小中連携教育の流れの中で、小学校と中学校の漢字学習の方法の統一化は望むところです。しかし、中学校の授業時数の確保の問題や小学生とは異なる中学生の発達段階を考慮すると、単純に同じ方法の継続はむずかしいと考えています。ただ、小学校で漢字指導を計画的、かつ丁寧に指導している状況は中学校に確実に伝えておく必要があると考えます。

7 学習評価について
■質問や意見
・通常45分授業の場合、1観点の評価があるが、モジュール授業の場合、教師による評価(子どもの自己評価の説明はあったが)の扱いについて、どう整理されたのか。(複数コマも合わせて評価されたのかなど)

■回答
 現在行っている10分間のモジュール授業の時間は、新出漢字の指導や習熟の学習に費やされ、すべての児童の達成度を評価する時間までは確保できていません。そのため児童が書いたモジュールプリントや10字程度まとめて行う評価テストを見て、児童の習得状況を把握し指導に活かしています。

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