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2021/05/14
 
 

 以前の記事で紹介した通り、桃山高校の1号館と3号館の間には大きな中庭があるのですが、実はこの中庭の一角には噴水付きの池があります(画像①)。決して大きくはありませんが、カラスやスズメがよく水を浴びるためにやってくる憩いの池です。

 しかしこの池、最近少し様子がおかしいのです。異変に気が付いたのは5月11日。なんと小さな白い花が水面を覆っているではありませんか(画像②)。真っ白な花びらに黄檗色の花粉が映えていてとても美しいこの花(画像③)、その正体は一体何なのでしょうか。答えは水中を見てすぐに分かりました。この池に生育している水草、オオカナダモの花です。


 オオカナダモ Egeria densa はオモダカ目トチカガミ科の水草で、1910年代に植物実験用として日本に持ち込まれたものが野生化した、アルゼンチン原産の帰化植物です(画像④)。その特徴は後ろの文字が透けるほど薄い半透明の葉です(画像⑤)。特別な処理をしなくても細胞や葉緑体の様子を観察できるため、現在でも理科の実験材料として重宝されています(もしかしたら中学校の教科書にも載っているかもしれません)。また見た目の美しさから、アクアリウムにもよく用いられています。

 しかしこのオオカナダモ、日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されるほど、生態系や人間活動を脅かす存在としても知られています。オオカナダモが人間にどのような影響を与えうるのか、自由な発想で想像してみてください。


 ところで"オオカナダモ"なのにカナダではなくアルゼンチン原産とは一体どういうことでしょうか?実は北アメリカ原産の植物が先に"カナダモ"と名付けられ、後からアルゼンチン原産で大型のカナダモの仲間が"オオカナダモ"と名付けられたそうです。ちなみにカナダモの仲間には小型のものや日本原産のものも存在するのですが、みなさんなら何と名付けますか?


 さて、もうひとつ興味深い話をしましょう。本来オオカナダモには雄株と雌株があり、それぞれが雄花と雌花を咲かせ受粉を行うことで繁殖します。しかし日本で野生化しているオオカナダモは雄株だけだそうです。確かに桃山高校の池で見られるのも黄色い花粉が特徴的な雄花だけでした。雌花がなければ受粉は行えません。では日本に生育するオオカナダモはどうやって繁殖しているのでしょうか?植物には何か特別な繁殖方法があるのでしょうか?

後編へつづく(5月28日公開予定)


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