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2020/04/09
 
 

 式  辞

 日毎に春らしさを感じる桜花爛漫のこの佳き日に、京都府立桃山高等学校、令和二年度、入学式を挙行できますことは、誠に光栄に存じます。

今年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止対応のため、御来賓・保護者の御出席も御遠慮願い、形態や時間等も縮減する形で入学式を実施することとなり、関係の皆さまには大変御迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
 さて、ただ今、入学を許可しました新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。心より皆さんの入学を歓迎いたします。そして、今日まで、お子様の成長を見守ってこられました、保護者の皆様にも、心からのお祝いを申し上げます。
 本校は、大正七年創立の、京都府立桃山高等女学校、大正十年創立の、京都府立桃山中学校を前史とし、昭和二十三年十月に、学制改革により、京都府立桃山高等学校となり、今年で百二年という長い歴史を有する伝統校です。本校の校訓は、「自主自立」「文武両道」です。自ら考え、判断し、行動できる生徒、そして、学業と、部活動や様々な学校行事への取り組みを、高い次元で、両立できる生徒に育ってほしいと思っています。これから、桃山高校で学ぶ新入生の皆さんにも、良き伝統を大切にしながら、新たな歴史創造の担い手として、自覚と誇りをもって、努力してくれることを期待します。
 今、世の中では、これまで誰もが経験したことのない、ウィルスという見えない強敵との戦いに神経をすり減らしています。感染しなければ自分には関係ないなどという生半可な考えが通用しないことは、昨今の世界情勢を見ても明らかです。自覚のない感染者が、基礎疾患を持つ人や高齢者にうつしてしまう危険性もある中で、自覚ある行動が求められ、これまで当たり前にあると思っていたすべての安全性や予定がなし崩しとなり、社会全体に不安感が広がっています。学校でも臨時休業が長く続き、部活動も大幅に制限されており、生徒の皆さんにもストレスフルな日々を強いることが続いていて、大変申し訳なく思います。しかしいつまでも嘆いていても何も進展はしません。長期化が想定されるこの最大の試練を、逆に普段では考えられなかった逆転の発想でとらえなおし、これまでじっくり取り組めなかったことに着手するのにも、無理かなと諦めていたことにチャレンジする準備に充てるのにも、絶好のチャンスではないかと考えてみてはどうでしょうか。若い世代の皆さんの新しい発想が、この難局を切り開く原動力になってもらえたら大変うれしいと感じています。
 今日から高校生活の第一歩を踏み出される新入生の皆さんに、期待と激励の気持ちを込めて一つだけメッセージを送ります。
「将来の夢に向かってたくさん勉強して教養を身につけたい」とか「中学校から続けてきた部活動に励み、更なる高みを目指したい」とか「たくさんの友達を作り学校行事を盛り上げたい」など、高校生活を目前に控えた今の想いがそれぞれにあると思います。この、今感じている「期待感」を大切にして、どうか忘れずに心に刻み込んでおいてほしいということです。できれば何かに記して掲げておくとよいかもしれません。もちろん、一方ではこれから始まる学校生活への不安の気持ちもあるでしょう。不安感は一日でも早く解消するに越したことはありませんが、学校生活になじみ、友達をつくり、先生にもたくさん相談するうちに、必ず、少しずつ解消していきますので安心してください。しかし、残念なことに消えてほしくない「期待感」も同時に少しずつ薄れてしまいがちです。今日の「期待感」は皆さんの三年間を支える大切な心の支えとなりますので、節目節目で思い出し、自らを鼓舞できるよう心に刻み込んでください。大切に内面にしまい込まれた「期待感」が、何かのきっかけで大きな化学反応を起こし、皆さんの人生を大きく変化させる起爆剤となるかもしれません。夢や希望や期待というのは私たちの日々の生活を前向きに、意欲的にしてくれるエネルギーの源です。高校は大学進学までの通過点などとドライに考えず、今の期待感を楽しさに変化させて、高校三年間をぜひとも充実させてください。新入生の皆さんが、自らの人格を完成するという大きな目標のもとで、社会の変化に主体的に対応できる能力の基礎を培い、自ら学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身に付けてほしいと願っています。
 本来なら本日は保護者の皆さま方にも御参列いただき、本校の教育方針を御理解いただき、今後御家庭との緊密な連携をお願いして、新入生の門出を共にお喜びする機会となったところですが、このような事態となり、御参列いただくことができませんでしたことを、改めてお詫び申し上げますとともに、本校御関係の皆様方には、本校教育の発展のため、今後とも変わらぬお力添え賜りますようお願い申し上げ、式辞とさせていただきます。

 令和二年四月九日 
           京都府立桃山高等学校   校 長 増 田  恒

 
 
 

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