11月9日(土)、「令和6年度 みやびサイエンスガーデン」を京都工芸繊維大学で開催しました。このイベントは、京都府教育委員会と、SSH指定校である洛北高校・嵯峨野高校・桃山高校が主催となり、生徒たちが日々の探究の成果をポスターセッションの形式で発表しました。本校からは35件のポスター発表を行い、他校の生徒や先生方、来賓の方々と活発な議論交流を行いました。
本校2年生は、これまでスーパーサイエンスラボⅡで取り組んできた探究の経過を報告しました。
またサイエンス部が日々の研究の成果を報告しました。
準備の段階では初めてのポスター発表を不安に感じている生徒もいましたが、当日には、特に質問されたところを丁寧に説明するなど、それぞれ工夫しながら発表を終えることができました。今後は頂いた質問やコメントをもとにさらに実験を重ね、自身の研究についてより深く、探究していってくれることを期待しています。
当日は発表生徒だけでなく1年生も見学に参加し、来年は自分たちがこの場で発表するというイメージを持つことができました。嵯峨野の探究の伝統はこうして次世代へとつながっていきます!
10月28日(月)2年7・8組の生徒がSE(サイエンスイングリッシュ)の授業内で、考古学者のDr. Noxonを招きVR技術についての特別講義を受けました。該当クラスの国際交流委員がその様子をまとめてくれました。
『3D画像の作り方を学びました。色々な角度から何枚もの再現したい物体の写真をとってそれを元に3Dの画像が作られるのですが、大量の平面の写真がアプリで立体になるのが不思議で感動しました。考古学の世界で遺跡の再現や研究にこの技術が利用されていると知って自身のラボ活動でも利用できるかもしれないなと感じました。』
『3Dスキャンを実際に使用してみて、想像より早く簡単に3Dスキャンができることに驚いた。また、海外出身の先生が縄文時代について興味を持たれて、研究されていることも知ることができた。』
10月21日、京都大学大学院農学研究科の丸岡毅さんに御来校いただき、本校の専修コース2年生に表題のタイトルで御講義いただきました。丸岡さんは、本校の2014年度卒業生で、現在は博士後期課程で化学生態学を専攻しています。
丸岡さんは、「蛾のフンからお茶をつくる」というユニークな研究が注目されており、その成果の1つとして商品化された「虫秘茶」は、一流の料理人にも高く評価されています。メディアからも注目され、NHKの人気番組にも出演されました。
今回は、さまざまな葉を餌とした蛾の糞のサンプルの意外な良い香りに驚かされたあと、蛾が葉を消化する過程で起こることや、虫の種類によって生じる違いなど詳細な分析結果について御講義いただきました。また、分析に用いた機器とその測定原理についても詳細に説明いただき、現在の学びが将来の研究につながっていることを実感できました。
御講義後は、研究内容の他、なぜ博士課程に進まれたのか等、様々な質疑応答が行われ、これからの進路を考えるにあたって大変有意義な時間となりました。
9月14日(土)~16日(月)、ジャパンフィールドリサーチ(JFR) in 熊本 を実施しました。
熊本県玉名郡和水町の「ゆるっと!ひふみ亭」を拠点とした森林環境調査活動に、校有林調査ラボとサイエンス部の生徒9名が参加しました。また、昨年度に引き続き、熊本県立鹿本高等学校・熊本県立第二高等学校の生徒・教職員の皆さんと共同での調査も行いました。
14日(土)は開会式のあと、前和水町教育長 岡本貞三 先生から、和水町の自然と歴史についての講話をいただきました。その後、ひふみ亭近隣の山林を歩き、翌日の調査地点の確認を行いました。
15日(日)は3校の生徒が研究テーマ毎にチームに分かれて調査活動に取り組みました。竹林・混交林・スギ林を対象地とし、東海大学農学部教授 井上弦 先生に指導助言を受けながら、調査を進めました。調査内容は、ドローンによる地形調査、土壌断面調査、土壌物理性調査、森の癒し~森林の吸音特性~、焼成用土試料採取です。
また、16日(月)は本校の生徒が補足調査を行い、3日間の活動の総括を行いました。
本校の参加生徒は、本取組の調査結果および分析結果をとりまとめ、11月に実施される「みやびサイエンスガーデン」や学術団体における発表を予定しています。
第二高校の皆さんは、壁画に取り組まれ、素晴らしい作品ができあがっていました。
調査の合間には、学校を越えて交流を深めていました。即興のピアノコンサートも。
「ひふみ亭」の皆さんには、今年も調査活動の安心安全確保の面からご協力をいただくとともに、おいしいお昼ご飯を用意していただきました。本当にありがとうございました。
9月11日(水)、2学年専修コースを対象に、「フラクタル幾何学入門~コンピュータを使った不思議な数学の世界」という題目で、京都工芸繊維大学教授の平田 博章先生にご講演をいただきました。
講演では、フラクタル図形とは何かやその応用例についてもお話しいただきました。映画やゲームなどのCGを作るために応用されてもいることを知り、生徒も興味が尽きない様子でした。さらに、講演終了後もフラクタル図形をテーマにラボ活動を行っている生徒が積極的に質問する姿も見られました。
実例をもとに、何かを学ぶことで物事の見方が変わり、それが新しい発見につながることや、ずっと気を張り詰めて勉強するだけではなく、学んだことを活かして遊んでみることも大事、というような言葉もいただき、生徒にとって良い刺激となりました。
生徒の感想を一部掲載します。
・数学に関する講演となると自分が理解できるか不安だったけれど、フラクタルは順を追っていけば理解しやすく、興味がもてた。また、実生活につながる部分も多くて数学だけれど数学に感じない面白い内容だった。自分も幾何学的な研究をしているので参考にしたいです。
・自分たちがよく見る自然的なものの画像や映像が全く関係なさそうなフラクタルと密接に関係していると知ってとても驚きました。今回のフラクタル以外にも言えることだと思いますが、関係ないと思っていたことが意外な形で関係することがあると思うので、様々なことを学ぼうと思うのと同時に、学んだことを多角的な観点から観察して利用できないか考えようと思いました。
・フラクタルについてすごく曖昧なイメージしか持てていなかったので、少しはっきりしたように思います。数式からあれほど綺麗な形が出てくるのは面白いと思いました。数学の美しさについてもっと知りたいと思いました。
・今回のフラクタル幾何学の内容は今回講演を知るまで全く知らなかったんですけど、今回の公演を通して、フラクタル幾何学について、話もすごいわかりやすかったし、すごい興味を持って聞くことができました。この世の中に潜んでいる複雑な図形をフラクタル図形によって表現できるところは特に強い印象を受けました。また、フラクタル図形は、ただの線分や図形がより美しい見た目に変わったり、その上、目で認識できるのに長さがどんどん無限大に発散して行ったりしているところも興味深い話でした。自分はこの先の進路で数学系を考えていたんですけど、今回のお話は、僕に数学により興味を持たせてくれました。講義ありがとうございました。
・学習はするだけではダメで,その知識をどう活かし,使うかが大切だと聞き,今後,学習するときに意識していきたいと思いました。自然界にあるものが数式から簡単なことを繰り返すだけで本物っぽく作ることができると知ってとても面白いと感じました。
9月11日(月)、1年生全員を対象にQO株式会社様より特別講義「プロから学ぶデータサイエンス講座」を実施していただきました。
データサイエンスがどのように社会で利用されているのか、マーケティングという面から説明していただきました。
データ分析のキモは「仮説」であり、問い・仮説を立ててから分析し、解釈するというステップについて教えていただきました。
これは生徒たちがこれから取り組む「探究」においても必要なステップです。
後半は実際のデータから戦略を考える演習に取り組みました。
グループワークは大いに盛り上がりました。
アンケート結果から〇〇の回答が多いから〇〇ではないか。
いや、〇〇の回答の方に目を向けると〇〇の方がよいのではないか。
と、数字の背景に何が隠れているのか深く考え、議論する様子が見られました。
代表で発表した生徒の意見は講師の方の想定を超えたもので、驚かれていました。
生徒たちは「数学が社会で役に立っていることがわかった。」、「今後の探究活動に生かしていきたい。」などと感想を述べていました。
QO株式会社の皆さん、ありがとうございました。
8月6日・7日に実施したサマーセミナー「東京・つくばサイエンスツアー」について報告します。
これは今年度初めての企画で、2年生10名を対象に実施しました。
まず、国立科学博物館へ行きました。
生徒たちは、動物の剥製コーナーの迫力に圧倒されたり、α 線や β 線の飛跡を白く浮かばせて可視化する霧箱の仕組みや美しさに感動したり、と見学時間が足りないほど、さまざまな展示を楽しみました。
続いて、東京大学先端科学技術研究センターを訪問し、極小デバイス理工学分野の岩本 敏 教授から特別講義をしていただきました。
講義のあとは実験室の見学をさせていただき、研究の様子を知ることができました。
「科学の未来は予測できない」という岩本教授の言葉が印象に残ったようです。
1日目の夜は、宿泊先のホテルで本校の卒業生から現在の研究・業務内容やこれまでのキャリアについて話していただきました。
1名は電気自動車のワイヤレス充電に関する研究について、もう1名は地震に関する調査活動について話してくれました。
両名とも興味関心のあることを現在の仕事にしており、生徒たちが今後のキャリアを考える上で参考になったと思います。
2日目は、つくば市に移動して、施設見学をしました。
地質標本館では、さまざまな鉱石が展示されています。
美しい形をした鉱石を見ていると、なぜこのような形になるのか、という疑問が自然と頭に浮かびます。
生徒たちは帰宅してからも、この2日間の色々な疑問を解決するため、インターネットで調べるなどしたようです。
サイエンススクエアつくばでは、最新の研究成果に触れることができました。
生徒たちに特に人気だったのは、人を癒すロボット「パロ」です。
最後に国土地理院の地図と測量の科学館を見学しました。
3Dメガネで地形を立体的に見ることができたり、伊能忠敬が作成した地図にはじまり現在の測量方法に関する解説まで歴史的な技術の進歩を感じることができたり、面白い展示がたくさんありました。
今回のサイエンスツアーを通して、生徒たちはあらためてサイエンスの面白さや主体的に学ぶ姿勢の大切さなどを感じたようです。
参加した生徒たちがこれを1つの契機として、大きく「飛翔」してくれることを楽しみにしています。
お話しいただいた大学の先生方、卒業生のお2人、見学施設でガイドをしてくださった方々、ありがとうございました。
ジャパンフィールドリサーチ in 丹後 の最終日は,昨日の雨での調査中断を取り返すように,残された時間を有効に活用しました。
3日間には、生徒たちは教員のアドバイスがほとんどなくても,キビキビと動けるようになり,「自分たちが何をしなければならないか」を理解し,互いに確認しながら調査を進めることができるようになりました。
そして何よりもフィールド調査の難しさや大変さとともに,楽しさを大いに実感してくれたのが3日間の最大の成果だと考えます。
この経験と得られた学びが,生徒たちの今後に活きることを願います。
2日目も引き続き、吸音効果班、土色調査班、土壌硬度測定班に分かれて、調査を進めました。各班員が交代しながら調査を進めていきます。
途中、雨で調査を中断する場面もありましたが、その間も丹後海と星の見える丘公園の施設内でデータを整理したり、休息を取って次の調査に備えました。
雨が止んで再び調査へ。休息の間に研究テーマを思いついたのか、マツ(Pinus densiflora)の枝先にできているまだ若くて青い松ぼっくりを採集に行く班や、夜間の動物の行動調査を行うために赤外線カメラを設置する班なども出てきました。
現地に行ってみて思いつく研究テーマがあるのも、フィールド調査の醍醐味です。
また、夜には今回の調査でTAとして参加している卒業生2名から、高校時代に取り組んだ研究内容やカナダ・ケベックでの調査研究について、紹介をしてもらいました。
先輩が取り組んできた研究の話に興味津々の生徒たち。今まさに研究に取り組んでいるからこその視点で、実験条件や準備について、質問が飛び交いました。
最終日に向けて、大きく前進した2日目でした。
朝、亀岡駅をバスで出発し、午後から実地調査に入りました。
初日の調査は、4つの班に分かれて行いました。
植物による吸音効果を調べる班では、草原やクマザサ(Sasa veitchii)が多く生えている地点など、植物の種類による吸音効果の差について、パソコンで記録を取りながら実験を行いました。
土色調査を行う班は、調査地の選定を行い、卒業生サポートチームのメンバーで現在大学院でも研究されているTA(ティーチングアシスタント)に教わりながら調査断面を作成しました。
粘土からレンガを作る班も、調査地を見つけて土を掘りだしていきます。
またサイエンス部を中心とした班では、昨年度のサイエンス部も調査していた宿泊棟横の地点を調査地として、地点ごとの土壌の硬度を測定しました。
天候に恵まれた今日の1日をいかに使うか、各班で工夫を凝らしました。
8月6~7日に神戸国際展示場で開催された令和6年度SSH生徒研究発表会にアカデミックラボ・理科ラボのメンバー4人が参加しました。
北海道から沖縄まで全国のSSH校が神戸に集まり、231本の研究発表がありました。
本校は「化粧品に利用可能な植物由来機能性成分を探し求めて」というタイトルで発表しました。
答えやすい質問から専門性が高い質問まで飛び交い、新しい見方や考え方を得ることができました。
わかりやすく他者へ説明する力、深く論理的に思考し議論する力の大切さを学びました。
今回の本校の出場チームのようにグループ研究を行っている学校が多い一方で、同じ高校生でも個人研究を行い発表をしている生徒の姿を見て、その熱意や内容理解の深さにとても関心しました。
この経験をさらに自分たちの研究に生かし、また後輩たちへ伝えて嵯峨野高校の探究をより盛り上げていきたいと思います。
自らの研究を発表できたことは勿論、他校のレベルの高い研究を見て、様々な意見をもらうことで成長できた2日間でした。
7月30日(火)に、本校生徒35名が京都大学の化学研究所を見学しました。化学研究所は宇治キャンパスにある京都大学の附属研究所で、大学の学部・学科の境界を越えて、化学を軸とした様々な領域の研究室が最先端の研究に取り組んでいます。今回は3つの研究室に訪問させていただき、最前線の研究を肌で実感することができました。
まず、化学研究所の歴史ある施設「碧水舎」での全体ガイダンスの後、生徒は3つのグループに分かれ、各研究室で見学をしたり、御講義を聴講したりしました。
中村研究室では有機分子変換化学領域の研究を通じて、新規有機合成方法や有機材料の創出に取り組まれています。まず、青木敏先生から、化学の役割や有機化学・有機金属化学について御講義いただいた後、実験室に移動し、有機金属化合物として重要なGrignard(グリニャール)試薬によりヨウ素が還元されて色が消失することを利用した滴定実験について御講義・演示していただきました。高校生にとっては、張り巡らされた何本ものガラス管からなる反応ラインが印象的でした。
若宮研究室では分子集合解析研究領域の研究に取り組まれており、今回は主にペロブスカイト太陽電池の研究設備について見学・御講義をいただきました。空気中のわずかな酸素や水分などにも影響を受けるため、アルゴンガスで完全に置換されたグローブボックス中での操作など、実験は一貫して不純物やゴミなどの混入をさける環境で行われており、また、電子顕微鏡をはじめ多数の高額な装置があり、将来このような環境で研究が出来たら・・・と感じさせられました。
緒方研究室は化学生命科学研究領域で微生物生態進化学の研究に取り組まれています。今回は、ウィルスでありながら細胞性生物並みの大きさをもつ「巨大ウィルス」の研究に関して見学・御講義をいただきました。この分野では、従来の実験を手段とする研究(ウェット研究)に加え、コンピューターによるゲノム解析などの「ドライ研究」は必須です。こちらでは、スーパーコンピューターの見学の後、巨大ウィルスがアメーバを宿主として感染した様子を実際に顕微鏡で観察させていただきました。
今回の見学で、高校生がイメージする教科としての「化学」が、実は様々な領域の「科学」の軸となる学問であることを知ることができ、有意義な体験となりました。
8月1日、サマーセミナーで「京都薬用植物園」の見学に行きました。
京都薬用植物園は、武田薬品工業株式会社が絶滅危惧種を含む重要な薬用・有用植物資源の収集・保全を行い、環境教育の支援活動のために開放されている施設です。
「京都薬用植物園」見学は本年度からの新たな取組ということもあり、楽しみにしていた生徒達。園内では、3班に分かれて見学を行いました。
園内にはアスピリンが発見されたヤナギや、お茶としても使用されているセンブリなど、様々な植物が並びます。
また、生薬や漢方薬として使用されている植物種の中には、味や匂いを感じられるものもあります。案内してくださった社員の皆様のアドバイスを聞きながら、実際にその味を体験してみました。
最初はおそるおそるだった生徒達も、五感で感じられる植物の魅力に、次第に積極的に触れようとしていました。また、質疑応答の時間には歴史と植物のかかわりなどの幅広い質問が出ました。
武田薬品工業株式会社の皆様、ありがとうございました。
7月29日(月)に、本校生徒39名が大阪大学を訪れ、核物理学についての知見を深めました。
午前は大阪大学大学院理学研究科の川畑貴裕教授から、この世に存在している原子核の謎が宇宙の成り立ちと密接に関係があることについて、非常にわかりやすく御講義していただきました。例年、本講義は嵯峨野高校で実施していたのですが、今年度は大阪大学豊中キャンパスの理学研究科にて受講しました。なお、理学研究科には、日本初のノーベル賞受賞者 湯川秀樹博士がコロンビア大学で愛用されていた黒板が移設されており、御講義後に見学しました。この黒板はコミュニケーションスペースに設置されていて、学生が自由に使えるそうです。
午後は吹田キャンパスに移動し、コロナ禍以降5年ぶりに大学生協の食堂で食事をしました。高校生にとっては、これも大学の雰囲気を直に味わう楽しい体験となりました。
食事後は、大阪大学の核物理研究センターを訪問しました。まず、保坂淳教授から"物理学とはいかなる学問か"、"ミクロな世界を見るためには、なぜ巨大な装置とエネルギーが必要なのか"について御講義いただきました。また、核物理研究センターではアルファ線放出核種アスタチン-211を生成し、阪大病院などでのアルファ線核医学治療に供給するための新たな施設「TATサイクロトロン棟」が竣工し、実用化に向けた準備を整えるなど、医学分野への貢献についても御説明いただきました。
ひきつづき福田光宏教授から加速器施設の説明後に加速器を見学しました。ここには世界有数の加速器-AVFサイクロトロンとリングサイクロトロンがあり、国内外から様々な研究者が実験に訪れ、成果が生み出されています。リングサイクロトロンでは、陽子なら光の速さの70%まで加速することが出来ます。
1・2年生にとって、すべてを理解することは難しいかも知れませんが、設備の巨大さや複雑な構成を目の当たりにするだけでも、日進月歩の核物理研究の世界を充分に体感することができ、自分の将来の研究者としてのイメージを持つには充分な実りのあるサマーセミナーでした。
6月10日 AM「課題研究発表会」
本校では毎年校内での課題研究発表会を行ってきました。今年度は初めて、全校生徒が終日参加し、講演会やワークショップなども組み合わせた、いわば「探究Day」という形でリニューアル開催しました。
午前中は、3年生の課題研究発表会です。体育館での開会式の後、3年生1~6組の生徒はアカデミックラボの研究成果を英語で、3年生7・8組の生徒は、スーパーサイエンスラボⅠ~Ⅲの研究成果をそれぞれプレゼンテーションしました。
アカデミックラボ58件、スーパーサイエンスラボ35件、サイエンス部1件、さらに海外からJunipero Sera High School 2件、Notre Dame Highschool Belmont校1件、合計97件の研究発表が行われる一大イベントとなりました。
当日までに、オンライン上に全ての発表のスライド pdf資料 を閲覧できるようにしました。生徒達は予めこれらを閲覧し、コメントや質疑応答を行いました。英語のスライドは、質問コメントも英語です!
いよいよ当日の発表会。各グループが2~3回ずつ発表を行うため、発表延べ数は268本! したがって部屋数もHR教室や特別教室併せて35会場と、文字通り全校あげてのイベントとなりました。聴講者は本校全生徒の他、TAとして留学生、教育関係者が来場されました。
アカデミックラボの発表は、質疑応答も全て英語です!質問する側も回答する側も、頭をフル回転させながら真摯に伝えようとする姿が印象的でした。
スーパーサイエンスラボの発表および質疑応答は日本語で行われることもあり、質問する側も回答する側も、科学的・論理的に深いレベルで議論する様子も観られました。各発表の司会は2年生が中心となって取り組みましたが、有志の3年生の他、1年生もチャレンジしてくれました
終了後「これで終わりかと思うと、感慨深いものがあるな・・・」とつぶやいている生徒がいました。今回の経験を自信に変えて、さらに大きな課題解決と夢の実現に向かってくれることと思います。
6月9日(日)に京都大学にて「令和6年度みやこサイエンスフェスタ」が実施され、府立高校9校の生徒が課題研究の成果を発表しました。
本校からは3年生4グループが発表しました。タイトルは以下の通りです。
キンモクセイの秘める効能~抗酸化能とUV吸収能の測定~
逃げ水観測時の温度測定に基づく光路と実測との比較
段差がドミノの倒れる速さに与える影響について
熊本県玉名郡和水町の放置竹林の現状把握~土壌情報と林分材積~
どのグループもこの日に向けて、時間をかけて準備してきました。
これまでの探究の過程で多くのことを学んできました。
研究結果だけでなく、その学びすべてが成果です。お疲れさまでした。
この日は1・2年生も参加し、興味のある発表を聴き、質疑応答に参加しました。積極的に手を挙げて質問する1年生に頼もしさを感じました。
また、本校卒業生4名が講評者として参加し、うち1名は大学院での自身の研究について発表してくれました。
高校生のお手本になるような論理的で理解しやすい発表でした。
生徒たちにとって憧れの存在になったのではないかと思います。
協力してくれた卒業生の皆さん、ありがとうございました。
嵯峨野高校では、課題研究の成果を校内や府内で発表するのみならず、外部の学会でも発表しています。表題の学会には毎年参加しており、今年も11名の生徒が4件の発表を行いました。会場は千葉の幕張メッセです。
学会前日は上野の国立科学博物館に赴き、科学的知見を深めました。国立科学博物館は「日本館」と「地球館」からなる、日本屈指の展示・所蔵量を誇る博物館であり、フロア1つでも通常の博物館の特別展を軽く上回る充実度です。生徒は研究発表だけでなく博物館見学も非常に楽しみにしており、充実した時間を過ごしました。例えば、初期の機械的計算機と言える「九元連立方程式求解機」をみた彼らは、そのアイデアにしきりに驚愕・感心していました。
参考:国立科学博物館「九元連立方程式求解機」
https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/past_parmanent/rikou/computer/kyugen.html
学会当日、宿泊所から幕張メッセに向かいました。入場手続きゲートを間違えてしまう場面もありましたが、無事会場に到着しました。 生徒は会場の大きさに驚いているようでした。
ポスター会場には JAXA や JAMSTEC、防災科研などの様々な研究機関・学会・大学や防災・計測関連企業の様々なブースがあり、クイズラリーも実施されていました。生徒は様々なブースを訪れて知見を深め、さらにノベルティグッズをたくさん集めていました。
午後、いよいよ「高校生ポスター発表」の部が始まりました。すごい熱気です!
実は、彼らは発表会に向けてかなり時間をかけて準備してきました。校内や他の府立高校生との発表会に比べると、鋭い質問や指摘事項が多かったのですが、深いレベルでの指摘や議論を通して思考が深まり、苦労が報われた充実の二日間でした!
4月29日にSSH事業の取組として,地理・地学 丹後巡検を実施しました。
目的は,丹後方面各地を巡検し,サイエンスフィールドワークを通して,地理学および地球科学に関する知見を深め,今後の学習の動機づけや将来の進路選択の参考とすることです。
サイエンス部,校有林調査ラボ,地理・地図ラボに所属する生徒が,それぞれの目的をもって参加しました。
天橋立,丹後海と星の見える丘公園,伊根,屏風岩,琴引浜,郷村断層を巡りながら,各地点と移動途中のバスの車窓からの風景について,教員がレクチャーを行いました。
最後に,個々に学んだことや気づいたこと,疑問に感じてさらに深めたいことをレポートにまとめました。レポートのテーマには次のようなものがありました。
・天橋立における侵食対策の現状と課題
・天橋立の松並木の植生とその保全
・自然の浄化作用や人間が及ぼす自然への影響
・京都丹後の屏風岩の形成について
・河岸段丘の土地利用 他
後日,事後学習として,巡検で学んだことをクラスで発表しました。学んだ知識をアウトプットすると同時に,質疑応答を通して知的な探究心の輪を広げていく様子も見られました。
教科書に閉じない,知識が分野を超えてつながる学びの体験となりました。
1年生の総合的な探究の時間「ロジカルサイエンス」では、探究学習の基礎的なスキルを身につけることを目標にしています。
初回ガイダンス
まずは課題設定のために、興味・関心を深堀りし、文献を探します。
クラスメイトと活発に対話しながら思考しています。
ペアワーク
図書館でのグループワーク
1年生たちがどんな探究の「問い」を設定するのか、楽しみです。
地理オリンピックの一次選抜・二次選抜が終了し、大会本部から嵯峨野高校にメダルと賞状が届きました。
受賞したのは、今春の卒業生と3年生の2名です。3月末と4月8日の伝達表彰時に、校長先生から銅メダルと賞状がそれぞれ授与されました。
嵯峨野高校生が地理オリンピックでメダルを獲得するのは、4年連続となります。嵯峨野高校で複数のメダリストが誕生したのは今回が初めてです。
受賞した2名からのコメントを紹介します。
「地理オリンピックに限らず、科学オリンピックというのは、自分がその科目が好きという気持ちと普段受けている授業で得た知識や考え方だけでも、十分挑戦できるものだと思うので、後輩のみなさんもぜひ、科学オリンピックにチャレンジしてみてください。」
「学んだことを繋げていき、世界を俯瞰する自分なりの視点を得られることに、地理の醍醐味を感じました。限られた時間の中で自分の好きをとことん追求する時間を持てたことは、非常に有意義だったと思っています。」
地理オリンピックに興味のある人は、地理オリンピックのホームページをご覧ください。過去問も出ています。今年度、多く嵯峨野生が地理オリンピックにチャレンジすることを期待しています。