学校林のセンサーカメラ調査では、ほとんど撮影されない動物が何種類かいます。ムササビなどがそうなのですが、今回はそんな動物の一種であるニホンザルが久しぶりに撮影されました。
ニホンザルは、6年以上もこの調査してきて、これまで3回しか撮影されたことのないレアな動物です。といっても、学校林にやって来ないだけで、莵道高校のある羽戸山地区では割と見かけることが多いという話も聞きます。もっとも、ニホンザルがたくさん出るようになると、学校林が危険な森になってしまうので、こうやってたまに来るぐらいがちょうどいいのかも知れません。
科学部と家庭文化交流部とのコラボ活動が実施されました。今回は、科学部の畑でとれたサツマイモを、家庭文化交流部と一緒に調理して、「大学イモ」を作りました。
大量のサツマイモを切って、茹でて、揚げて、からめて、とても美味しそうな大学イモが仕上がりました。
コラボ活動をするのも2回目ですが、2つの部活動がそれぞれの強みを生かし、協力することができたと思います。家庭文化交流部の皆さん、ありがとうございました。
年が明けて2024年になり、3学期がスタートしました。冬休み期間中も学校林ではセンサーカメラが稼働していたわけですが、今回も様々な動物が撮影されていました。
今年度の調査では、これまでに比べてキツネの撮影数が非常に多いのですが、それは冬になっても変わらずで、むしろさらに写るようになっている気がします。以前は「キツネは3学期にだけやってくる」と言われており、学校林では冬にしか撮影されませんでした。それが今年はずっと撮影されている。キツネに何があったのか、気になるところです。
今年度も、3月に開催される「日本森林学会大会 高校生ポスター発表」で研究発表することになりました。それに向けて、2021年度や2022年度のセンサーカメラ調査の結果をまとめました。
カメラは常に学校林に設置してあるため、撮影されるデータは膨大です。年間の撮影数は1000を軽く超えており、見るだけで大変、記録も大変、さらにそれをまとめるのも大変です。しかし、それだけ苦労してまとめたデータは本当に貴重で、2017年度からずっと継続していることもあり、科学部の財産といって差し支えないでしょう。
そんな撮影結果ですが、やはりどの年度もニホンジカが最多であることは変わりません。ただし、その割合は年度によって違っています。ニホンジカ以外の動物も、テンが多かったりアライグマが多かったり、こちらは年度ごとに違う結果が出ています。つまり、学校林にいる動物は同じように見えて、毎年変動しているということです。そういった変動を見ていくことができるのが、継続調査の面白いところだと思います。
硫酸銅(II)水溶液に銅板を、硫酸鉛水溶液に鉛板を入れ、2つの水溶液を半透膜で仕切って各金属板を導線でつなぐと、ダニエル電池ができます。これは世界初の実用電池といわれるもので、高校化学の教科書にも登場する、最も基本的な電池の一つです。
しかし、半透膜で水溶液を仕切るところなど、実物を見てみないとイメージが難しい部分も結構あるため、高校生にとってはダニエル電池は、負極と正極のイオン反応式を覚えるだけの存在になりがちです。ということで、実際に作ってみました。
硫酸銅(II)水溶液をセロハン(半透膜)で作った袋に入れて銅板を浸け、袋ごと硫酸鉛水溶液に浸けます。そこへ鉛板を浸けて、ダニエル電池の完成です。導線で電子オルゴールをつないでやると、しっかり音が出て、電気が流れていることが分かります。
半透膜ではなく塩橋を使ってみる、金属の種類を変えて起電力の変化を見てみるなど、ダニエル電池は色々と興味深いことが出来そうです。
シンポジウム「生物多様性からみる京都学 『京都の自然はオモシロイ!』」を聴講しました。京都府立大学新自然史科学創生センター・きょうと生物多様性センター主催のシンポジウムです。著名な学者の方から京都の生物や自然についていて講演をいただき、興味深く聞くことができました。
学校林で見られる哺乳類の中で、冬になると姿を消す動物がいます。それはアナグマで、いわゆる冬眠をします。しかし、ツキノワグマなどもそうですが、多くの哺乳類がしている冬眠は、実は冬眠ではなく「冬ごもり」なんです。
冬眠というのは、本来はヘビやカエルがやるように体温を極限まで下げて仮死状態になって冬を越すことです。そのまま目覚めないことだってあります。だから、ねぐらでウトウトしているだけ、場合によってはトイレに行ったり、何なら子供まで産んじゃうやつもいる哺乳類の冬眠は、冬眠ガチ勢の動物から見れば一緒にして欲しくないわけですね。
そんな冬ごもりをするアナグマですが、学校林では例年12月にはもう撮影されなくなり、4月くらいまで現れなくなります。ところが今年は、12月になってもバリバリ活動しています。冬ごもりに向けて食いだめしているため、まるまると太った姿が写っています。今年は暖冬といいますが、その影響なのかも知れませんね。
タヌキやキツネは、ニホンジカやイノシシと並んで日本の里山を代表する動物です。学校林では少し姿を消していた時期もありましたが、タヌキは定期的に撮影されています。それに対してキツネはほとんど撮影されることがなく、以前は冬から春先ぐらいに、たまにやってくる程度でした。
ところが今年は、夏頃からキツネが頻繁に撮影されるようになりました。秋になって撮影数も多くなり、もしかして学校林が特定のキツネの活動範囲に入ったのかも知れません。写真では同じ個体なのか判断できませんが、明るい時間にも撮影されており、今までとは全く違う状況になっています。
こうやって、今まで少なかった動物が急に多くなったりと、何らかの変化が起こることはこの調査ではよくあることです。そして、それがこの調査の一番面白いところでもあるので、キツネの動向を今後もチェックしてきたいですね。
莵道高校の学校林では10種以上の哺乳類が確認されています。ニホンジカのように頻繁にカメラで撮影される動物もあれば、中には滅多に撮影されない動物もいます。今回はそんな珍しい動物、というより、学校林ではあまり撮影されない動物であるイタチが久しぶりに出ました。
日本に生息するイタチは、ニホンイタチとチョウセンイタチの2種がいて、これらは体の大きさなどが微妙に違っています。学校林で撮影されるのはチョウセンイタチだと考えていますが、実際は写真から判断するのは難しいことも多いです。イタチ自体は珍しい動物というわけではありませんが、学校林ではどうしてかほとんど撮影されません。同じイタチ科の動物であるテンはよく撮影されるので、もしかして学校林の環境がイタチに合わないのかも知れません。
この調査をしていると、本当にニホンジカばかりが撮影されるので、たまにこうやって珍しい動物が出てくると、嬉しい気持ちになるのです。
今年最後の採集を行いました。近所の清流と水路での採集です。
清流ではカワムツやカワヨシノボリ、水路ではギンフナやモツゴ、ナイルティラピアを確認しました。
一部は、学校に持ち帰り詳細に同定を行いました。
科学部の畑では、1学期からトウモロコシとサツマイモを育てはじめました。このうち、トウモロコシは夏の暑さに負けて十分に生長できないまま枯れてしまいましたが、サツマイモは元気に葉をつけて生長し、立派なつるを伸ばしてくれました。
2学期中間考査の後、葉も茶色くなりはじめ、収穫の気配がしてきました。サツマイモの収穫は晴れて乾燥した日に行う必要があるのですが、タイミング悪く雨が降って延期になりつつ、その日がやってきました。
長く伸びたつるを切り、マルチを剥がして畝を露出すると、すでに大きなイモが顔を出しています。期待しながら土を掘っていくと、予想通りの豊作でした。大きなイモばかりで、後で利用するのが大変そうです。
収穫したサツマイモはしばらく乾燥させてから利用します。今年はどのような方法で利用するのか、今から楽しみですね。
最近、2年理数コースの「化学」の授業でルミノール反応の実験がありました。ルミノール反応といえば、血痕の確認などにも利用される、映画やドラマでお馴染みの化学反応です。せっかくなので、そのとき使った試薬をお借りして、科学部でもルミノール反応を見てみることにしました。
ヘモグロビン溶液や酸化鉄溶液など用意して、ルミノール試薬を加えてみると、青白く光るルミノール反応を見ることができました。対照実験として水に試薬を加えても反応しません。これは、ルミノール試薬がヘモグロビン溶液や酸化鉄溶液に含まれる鉄の成分に反応して、発光しているからなんです。
ヘモグロビンは血液中に含まれる物質で、少量でも残っていればルミノール反応が起こります。だから、血液を拭き取ってきれいにしても、そこにルミノール試薬を加えれば、青白い発光が起こるのです。試しに、科学部顧問の私物である狩猟用のくくり罠にルミノール試薬を使ってみました。すると、罠のワイヤー部分が青白く光りました。おそらく、シカが罠にかかったときに血がにじんで、それが残っていたのでしょう。血液の痕跡というのは、少しくらい洗ってもなくならないのです。
10月になり、完全に季節は秋になってきました。中間考査の期間も学校林ではセンサーカメラが稼働していたわけですが、今年もあの動物が撮影されました。そう、「空飛ぶ座布団」の異名をもつムササビです!
学校林でムササビが初めて撮影されてから、今年で3年目になります。同じ個体なのかは写真から分かりませんが、毎年秋にだけ撮影されていることから、餌が豊富になる時期のみ学校林に来るのかも知れません。
ムササビは樹上で生活する動物なので、地上に設置するセンサーカメラで撮影されることはあまりありません。水場の前に設置しているカメラだからこそ、こうやって写ったのでしょう。この3年間で、地上を移動したり、木に登ったりするムササビは撮影できました。いつか、膜をひろげて滑空している姿も撮影できると嬉しいのですが、地上のカメラではなかなか難しいでしょうね。
科学部では現在、3台のセンサーカメラを学校林に仕掛けています。そのうちの1台は、雨が降ると水場になる場所の前に設置しているのですが、ここは秋になると、ヌタ場として利用されるようになります。
ヌタ場とは、雄のニホンジカやイノシシが泥浴びをする場所で、泥を体につけることで寄生虫から身を守ったりするそうです。雄ジカでは、ヌタ場で泥浴びをした後に周りの木に自分の体をこすりつけ、においをつける行動が見られたりもします。学校林の水場では秋になるとこの雄ジカの行動がよく見られ、今年も撮影されるようになってきました。
雄ジカが泥浴びを一度始めると、カメラのLEDライトもまったく気にしなくなったりするので、たくさんの貴重な行動写真が撮影できたりします。泥浴びする雄ジカが写るようになってくると、本格的に秋だなぁと感じますね。
9月も終わりに近づき、本格的に秋の気配が感じられるようになってきました。秋は学校林が多種の動物で賑わう季節ですが、ニホンジカ、イノシシ、テン、アナグマにキツネまで撮影されて、その片鱗が見え始めています。
学校林のセンサーカメラ調査において、最も多く撮影されるのがニホンジカであることは間違いないのですが、最近はイノシシの撮影も増加しています。秋が近づき、餌を求めて学校林にもやってくるようになったのかも知れませんが、カメラの場所によっては、シカよりもイノシシの方が撮影されていることも。
学校林にイノシシが増えることで、シカが減り、そこから様々な動物がもっとたくさん現れる環境になってくれると嬉しいです。それでも、現状はシカの撮影数が圧倒的に多いので、なかなか難しいとは思いますけど。今後も推移を見守っていきましょう。
琵琶湖で採集を行いました。あまり採集できませんでしたが、ヌマチチブ、ブルーギル、オオクチバスなど外来種が採集できました。採集した外来魚は適切に処分しました。
9月7日・8日に実施された莵道祭で、科学部は展示発表と実験教室を行いました。
展示発表のメインは、夏休み前に完成したばかりのニホンジカの全身骨格標本(3齢・オス)のお披露目です。卒業生が作ったメスの骨格標本と並べてみると、その大きさに驚きます。それだけでなく、これまでに科学部の活動で作ってきた骨格標本を展示し、「骨の博物館」といった感じになっていたと思います。他にも、日本森林学会大会高校生ポスター発表での研究発表ポスターや城陽市環境フェスタでの発表内容も展示しました。生物を題材にしたカードゲームで遊ぶコーナーも盛況で、科学部が製作に関わっている「学校林調査カードゲーム」など、遊びながら学べるゲームを楽しんでいました。
8日の午後からは実験教室ということで、毎年恒例の液体窒素を使った様々な実験を、参加してくれた生徒と一緒にやりました。生花やゴムボールを凍らせたり、液体酸素を作ったり、超伝導によるマイスナー効果を確認したりしました。参加者は初めての液体窒素を楽しく体験してくれたみたいです。
2日間の莵道祭で、たくさんの生徒や保護者の皆様に科学部の活動を伝えられたと思います。
昨年度の12月より、科学部では雄のニホンジカ(3齢)の骨格標本を作っています。
科学部が主に活動している生物実験室には、すでに先輩達が作った雌ジカの全身骨格標本が展示してあります。しかし、そんな彼女に彼氏を作ってあげたいという希望もあり、たまたま手に入った雄ジカを全身骨格標本にして、一緒に展示しようとなったのです。
展示するような骨格標本の作製には、大きく「解体」「除肉」「漂白」「組み立て」という4つのステップが必要です。小さな動物ならまだしも、今回相手にするのはニホンジカ、しかも立派な雄の個体です。過去に雌ジカの骨格標本を作ったときも、その大きさから大変な作業だったのに、今回はそれ以上の巨体です。解体は勿論のこと、除肉にも非常に長い時間がかかりました。それだけでなく、この雄ジカは腰骨と脊椎の一部が破損しており、それを何とかして修復しなければならないという状態でした。さらに除肉中、カラスによって前肢の一部が持って行かれるという事故まで発生し、作業は難航します。
今年度になっても、なかなか作業は進みませんでした。しかし、引退を控えた3年生を中心に、「1学期中に完成させて、文化祭で展示しよう!」という目標が立てられ、作業ペースが加速します。そして1学期終業式の日、ついに巨大な骨格標本が完成しました。
そんなわけで今年の文化祭では、完成した雄ジカの全身骨格標本を展示します。その大きさだけでなく、一見どこが分からない修復された骨など、見所たっぷりです。また、これまでに科学部が作ってきた骨格標本や、魚類調査の研究発表など、一緒に面白い展示もする予定なのでお楽しみに。2日目(9/8)の13:30からは、液体窒素を使った実験教室も実施します。生徒の皆さんは是非とも遊びに来てください。
夏休みが終わり、2学期が始まりました。夏休み期間中も、学校林では設置されたセンサーカメラが常に動物を撮影しています。一度設置すれば、しばらくの期間放置できるというのが、自動撮影装置の利点ですね。
個体数の多いニホンジカに限らず、イノシシ、アライグマ、ハクビシン、タヌキなどの動物では、同時に2頭以上が撮影されることがあります。関係性は親子だったり、兄弟だったり、夫婦だったり様々ですが、複数で一緒に行動することは動物でもよくある話です。
しかし、同時に"2種"以上の動物が撮影されることは滅多にありません。同じ森林で共存しているとしても、一緒に行動することはありませんからね。今回はそんな珍しい2種が同時に撮影された写真が、なんと2枚もありました。一つはシカとイノシシ、もう一つはシカとハクビシンです。
動物が集まる水場などでは、2種以上が同時に撮影されることもあります。しかし、今回の写真はおそらく、学校林内のシカの密度が高くなりすぎて、たまたま姿を現したイノシシやハクビシンとカメラの前でバッティングしてしまった結果だと思われます。特定の動物が多くなると、こういうこともあるんでしょうね。
もうすぐ夏休みも終わり、2学期が始まろうとしています。今回紹介する写真は、夏休み前の7月に撮影されたものです。7月は梅雨の影響もあるのか、学校林ではニホンジカばかりが撮影される時期です。しかし、他も決して写らないわけではなく、イノシシ、テン、アナグマ、ハクビシン、ニホンリスなど、多種の動物が撮影されています。
そんな中、少し珍しい動物が撮影されました。それはキツネです。学校林ではたまに撮影されるのですが、「キツネは3学期にだけやってくる」と言われるくらい、冬から春先にのみ撮影される動物だったのです。そんなキツネが、7月という暑い季節に撮影されるなんて、初めてのことです。
キツネの撮影数自体は、昨年から少しずつ増え始めています。学校林周辺にいるキツネの活動範囲が、少しずつ変わってきているのかも知れませんね。今後も注目していきたいです。
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