1学期が始まって2週間が経過し、少しずつ新しい学年に慣れてきたころかと思います。莵道高校では4月12日の新入生歓迎会を皮切りに、新入生の部活動勧誘が始まりました。
科学部でも部活体験を実施し、スライム作り、学校林ツアー、センサーカメラのデータ確認、畑作業の手伝いなど、科学部っぽいイベントを体験してもらいました。
現在のところ、5人の1年生が入部を希望してくれています。先輩達と一緒に、科学部の活動を楽しんで欲しいと思います。
3月26日にオンラインで開催された日本森林学会大会で実施された「第10回 高校生ポスター発表」に参加し、研究発表をしてきました。
研究タイトルは「動物は学校林のどの場所が好きなのか?」で、学校林内に設置した3つのセンサーカメラの撮影結果から、同じ学校林でも場所(周りの環境)が変わると、出現する動物にどのような変化があるのかをまとめました。
当日はオンライン開催ということで、莵道高校に集まってタブレットから参加しました。他校が発表しているポスターも見ることができ、それに対して質問コメントでやりとりができるなど、部員達にとって貴重な体験ができたと思います。
※リンクから発表したポスター(PDFファイル)を見ることができます。
3月に入って急に暖かくなり、2月までの寒さが嘘のような日が続いております。冬から春になっていく、この季節の変わり目ですが、学校林にはいつものように動物がやってきています。学年末考査期間中に撮影されたデータを回収すると、ニホンジカ、イノシシ、タヌキ、キツネ、テン、ニホンリス、アライグマなど、いつものメンバーが姿を見せてくれました。キツネについては、今年度は例年よりたくさん撮影されています。
リスやテンのような動物を撮影するときのコツとして、倒木があるところにカメラを設置するという方法があります。というのも、小型の動物などは特に、こういう倒木の上を歩いて移動することが多いからです。動物は地面を歩くとき、私たちが思っている以上に神経質になって地面を踏んでいます。何があるか分からないからです。しかし、倒木の上ならどうでしょう。小型の動物なら、一直線に伸びた、それこそ整備された道のように見えるわけです。だから安心して移動できるんでしょうね。
というわけで、リス、テン、ハクビシン、たまにはアライグマなど、倒木の上を歩く動物は多いんですよという話でした。
学年末考査が終わり、現在はテスト返却期間となっています。そんな放課後に、中庭の畑を整備し、ジャガイモを植える作業をしました。
ジャガイモは種イモを埋めることによって、新たなイモを育てることができます。畝をつくってマルチをはり、計14個の種イモを埋めました。これが大きくなり、大量のジャガイモが収穫できることを期待しています。
それと同時に、動物による食害対策として、新たに金属の防獣柵を設置しました。今年度は中庭に入り込んだニホンジカに畑のネットを突破され、サツマイモが食害されてしまいました。その結果、サツマイモは十分に育たず、がっかりな収穫となってしまいました。同じことを繰り返してはならないと、金属製の強固な柵を導入し、畑の守りを完璧なものにすることを目指しました。
柵の設置は非常に大変でしたが、1年生を中心にみんなで協力して設置しました。これでもう、科学部の畑がシカにやられることはないでしょう。来年度の収穫が楽しみです。
2月に入り、厳しい寒さが続いています。学校林では相変わらずニホンジカがたくさん撮影されるわけですが、今回はシカだけじゃなく、タヌキの撮影数もいつもより多かったです。
学校林でセンサーカメラ調査を始めた頃、タヌキはニホンジカ、イノシシと並んで「学校林御三家」と呼ばれるほどに撮影数が多い動物でした。その後、一時期まったく撮影されなくなり、そして最近はまた少しずつ姿を見せるようになってきています。
タヌキは同じイヌ科の動物であるキツネと比べると雑食傾向が強く、何でも食べる動物です。だから活動範囲も広く、餌を求めて色々な場所に出現します。近年は市街地に出てきて、生ゴミを荒らすタヌキが問題になったりもしてますね。学校林もタヌキにとっては広い活動範囲の一部に過ぎないわけで、それで一時期たまたまやって来なかったのかなと考えたりしてます。
いずれにせよ、学校林ではとにかくニホンジカばかりが撮影されるので、他の動物が写っていると嬉しくなりますよという話でした。
甘いパン作りをしてみました。パンを作るときに砂糖を入れますが、砂糖をたくさん入れると、発酵しすぎます。人工甘味料は発酵しにくいため、パンを作ることができません。そこで、発酵しやすい砂糖と発酵しにくい甘味料を組み合わせて、パンを作ってみました。
砂糖と人工甘味料の率は、キューネの発酵管の実験からわかった結果を基に算出しました。
みごと、甘いパンを作ることができました。
2022年の秋から、水路でドジョウを採集しています。
どうやら宇治にいるドジョウは中国産が多いようです。
釣り餌に使ったドジョウが逃がされたのかもしれません。
冬に入り、採集活動は一休みです。
その間に詳細に同定を行っています。
1月24日、西日本にやってきた大きな低気圧の影響により、近年稀に見る大雪が宇治市を襲いました。積雪により翌日25日は登校もままならない状況だったわけですが、このタイミングでも学校林ではセンサーカメラが稼働しており、雪に見舞われた林内を撮影していました。
あの大雪の中では動物もじっとしているだろうと思うところです。しかし、さすが全身を毛皮で包んだ大型哺乳類なだけあって、ニホンジカはいつも通りに学校林へと来ていました。雪など気にせずマイペースに餌を探している姿や、積もった雪を引っかき回しているような姿など、普段は見られないニホンジカの姿が撮影できたのではないかと思います。
学校林に設置しているセンサーカメラは、24時間ずっと動物の写真を狙っています。そうやって撮影された写真を確認するとき、注目するポイントの一つが撮影時間です。写真の撮影時間はそのまま動物が活動している時間になるわけで、動物の種類によって様々な時間に撮影されます。
野生動物の活動時間というと、多くの方は「夜」だと考えているのではないでしょうか。たしかに、実際に動物が撮影されるのは夜間が多いです。ですが、明るい時間帯に撮影されることだって普通にあります。特に、昼行性であるニホンリスや鳥類は、基本的に明るい時間にしか撮影されません。逆に、テン、ハクビシン、アライグマ、ネズミ類あたりは夜間に撮影されることがほとんどですね。ニホンジカ、アナグマ、イノシシ、タヌキなんかは昼でも夜でも撮影されます。
昼行性とか夜行性とよく言いますが、哺乳類に限って話をするなら、たしかにムササビやコウモリ類など、夜にしか活動しない種類はいます。同様に、ニホンリスなど主に明るい時間に活動する種類もいます。しかし、ニホンジカをはじめとする多くの種類は、実は昼行性でも夜行性でもなく、自分達が活動しやすい時間に活動しているのです。学校林のように人里近い場所では、明るい時間は人間が活動しているので、動物達は主に夜に活動しているというだけなのです。そんな動物の活動時間に注目するのも、なかなか面白いですよ。
センサーカメラを使った動物調査というのは、カメラの前を通りかかった動物の写真を撮るという手法なわけですが、現在の主流は写真ではなく動画撮影(ビデオ撮影)だったりします。瞬間を捉える写真では何が撮影されているのか分からないことも多いのですが、動画で見ると、動物の種類まで特定できたりします。
カメラの設定により写真と動画を同時に撮影することもできるため、学校林の調査ではどちらも撮影できるようにしています。このとき、動画撮影時間をあまり長くしてしまうと、データ容量が非常に大きくなっていまいます。しかし、時間が短いと何が撮影されているのかよく分からない動画になってしまう危険性があります。学校林の調査では撮影時間を30秒に設定しているのですが、ここの塩梅は難しいところです。
動画撮影だと動物の行動を見ることができるので、データとしては写真以上に面白いものになります。ただし、確認するための時間が長くなるので、記録するときがすごく大変です。科学部では現在、データ記録用のパソコンを増やして対応していますが、やはり時間がかかります。もっとも、こうやって大量のデータを見ていくのは、調査・研究の楽しいところではありますけどね。
センサーカメラによる動物調査は「カメラトラップ」と呼ばれています。罠のようにカメラを仕掛けて動物を撮影するからですね。確実に生息している証拠が手に入るわけですから、様々な場所の動物調査で使用されています。しかし、実際に動物の生息調査をするとき、学校林のようにずっとカメラを仕掛けておくことができるとは限りません。そこで、短期間で効率的にどんな動物がいるか確認したいときは、餌(ベイト)を使用するのが一般的です。撒き餌を使うなんて、ますます「トラップ」って感じですよね。
学校林のセンサーカメラ調査では、普段このような餌は使っていません。動物が誘引されるため、撮影頻度や時間帯に影響が出て、結果が不自然になってしまうからです。しかし今回、たまたま手に入ったある動物の肉を、餌として1台のカメラの前に埋めてみました。すると、その餌にひかれてテン、タヌキ、キツネ、ハクビシン、カラスなどが何度も撮影されることになりました。
餌の種類によって誘引される動物の種類は変わりますが、肉を埋めた場合は、やはり肉食傾向のある動物がたくさん撮影されることになります。いきなり手に入った餌に興奮しているのか、普段は見せないようなはしゃいでる姿も見ることができます。こういうのも、たまには面白いですよね。
2学期も終業式を迎え、そろそろ年末年始、そして3学期になってきます。学校林のセンサーカメラ調査では、毎年3学期になるとキツネが撮影されています。おそらく冬になって活動範囲の広がったキツネが学校林にやってきているということだと思います。そんなキツネが今年は、少しフライング気味に2学期から撮影されています。
キツネは草原性の動物ということもあって、学校林ではほとんど撮影されることがありません。また、同じイヌ科の動物でも、タヌキに比べて肉食性が強いハンターであるため、狩り場から離れることが少ないというのも理由かも知れません。決して数の少ない動物というわけではないのですが、学校林の調査では普段姿を見ないので、撮影されるとありがたい動物です。
最近は少し回復傾向にあるとはいえ、タヌキの撮影数も一時期ほとんどなくなっていたので、キツネやタヌキという里山の代表みたいな動物があまり撮影されないというのは、この学校林の面白いところなのかも知れません。まぁ、ただニホンジカが多いだけとも言えますが。
冬休み中も学校林ではセンサーカメラが動物を狙っています。来年も引き続き調査をしていき、学校林の動物についてもっと知りたいと思っています。
期末考査期間が終わり、2学期もあと少しで終業式を迎えます。学校林ではテスト期間中も変わらずセンサーカメラが作動しているわけですが、冬に入るタイミングであるこの時期は、撮影される動物の種類もバリエーションに富んでいます。
今回はまるまると太ったアナグマが撮影されました。アナグマは冬になると「冬ごもり」をする動物なので、秋の間に餌をたくさん食べて、栄養をつけておく必要があります。だから、冬ごもり直前のアナグマというのは、まるまる太った状態になるんですね。
さて、ここまで「冬ごもり」という言葉を使っていますが、これは「冬眠」と違うのかと思う人もいるでしょう。「冬眠」と「冬ごもり」は、同じように見えて別なんです。冬眠はヘビやカエルなどの変温動物がしてるように、体温を極限まで下げて、春になるまで死んだように眠っている状態です。それに対して冬ごもりは、冬の間じっとして引きこもっている、という状態でしょうか。気温が上がった日は水を飲んだりするために外へ出ることもあるぐらいですし、ツキノワグマにいたっては冬ごもり中に子どもまで産みます。
日本の哺乳類で「冬眠」をする動物はほとんどいません。冬に姿を消す哺乳類は、ほとんどが「冬ごもり」をしているんですね。アナグマも今後は冬ごもりに入って撮影されなくなり、そしてまた来年の春に姿を見せてくれるでしょう。こういった動物の変化を見るのも、この調査の楽しいところです。
ハゼ科魚類の場合、骨に年輪が入ります。その年輪を調べることにより、年齢と成長を知ることができます。宇治川で採集したヌマチチブを解剖し、年齢を調べました。
宇治川のヌマチチブは、琵琶湖に持ち込まれた個体が広がったものです。すなわち、国内外来種です。なぜ、琵琶湖や宇治川で増えることができるようになったのでしょうか。
今回年齢を調べた結果、宇治川のヌマチチブはほかより成長がよいようです。
もしかすると、琵琶湖や宇治川にはヌマチチブにとってより良い餌があるのかもしれません。
次はドジョウを調べる予定です。
サツマイモは加熱によって糖度が変化することが知られています。そこで、科学部の畑で収穫したサツマイモを使って、それを確かめる実験を行いました。
今回は加熱装置として、水蒸気を利用した加熱ができるマルチロースターを利用しました。部員達は初めて使用する装置にとまどいながらも、上手く加熱することができました。加熱後の観察では色の変化も確認され、糖度の高まりを感じることができました。
また、このサツマイモを小さく切った後、小麦粉などを含んだ混合液に入れて、ジュール熱を使って加熱する実験も行いました。その結果、混合液は加熱により変性し、中に入れたサツマイモも合わせて、部員の気分が高まったことが確認できました。
今年はニホンジカによる食害もあって、十分な量のサツマイモが収穫できませんでした。それでも、収穫できたサツマイモは有意義に利用することができたと思います。
秋も深まってきて、季節は段々と冬になっていこうとしています。この季節、学校林はドングリなどの餌が豊富になり、冬に備えて活発化している哺乳類がたくさんやってくるようになります。今回も、ニホンジカ、イノシシ、タヌキ、テンなど、多くの動物が撮影されていました。いつもはシカばかりの学校林ですが、この時期は生物多様性が高くなっているのを感じます。
特に、イノシシやタヌキが撮影されているのは嬉しいですね。学校林でこのセンサーカメラ調査を始めた最初の頃は、ニホンジカと並んでイノシシやタヌキの撮影数が多かったのですが、近年はめっきり数を減らしています。イノシシは豚熱という感染症で個体数が激減していましたし、タヌキも行動範囲の広い動物ですので、学校林に来なくなることもあるのでしょう。そんな動物達の変遷を見ていくのも、この調査の面白いところです。
現在、科学部ではデータ処理用のパソコンを増やし、みんなで撮影データの記録を頑張っています。林内には複数台のカメラが設置してあり、毎回大量の撮影データが回収されるため、記録するだけで一大事なのです。昨年より、カメラの設置場所を固定して、場所ごとに撮影される動物に違いがあるのかを検証しています。1年が経って大量のデータが集まっていますが、これらを集計したとき、何か面白い結果が見えてくると思うので、とても楽しみです。
1年次の「化学基礎」では、元素の確認方法として炎色反応を学びます。特定の元素が含まれている物質を炎に入れると、炎の色が変化するという現象ですが、実際にやって見てみました。
ニクロム線に炎色反応が出る元素を含んだ化合物の水溶液をつけて、ガスバーナーの炎(青色)に近づけます。すると、赤色や黄色といった炎色反応を観察するすることができました。部員達は「リアカーなきK村・・・・・・」と語呂合わせを唱えながら、何の炎色反応なのか考えていました。
花火などにも利用される炎色反応ですが、実際に見てみると、なかなか幻想的できれいですよ。
11月に入り、秋も深まってきましたので、科学部の畑で育てていたサツマイモを収穫しました。
実は今年の夏、畑を囲っていたネットがシカに突破され、サツマイモの葉が食害にあっていました。ネットが緩んでいた隙をつき、強行突破をされたようです。それで、正直なところ今年の収穫は絶望的だと思われていました。しかし、ネットの緩みを直して様子を見ていたところ、何とか再び葉をつけはじめ、それなりの大きさのイモにまで成長してくれました。
収穫量としては昨年の3分の1以下ですが、手頃で扱いやすい大きさのイモになってくれたとも言えます。このまましばらく放置してイモの糖度を高めたら、何らかの形で利用していきたいと考えています。
これまで、市販のイーストを使い実験をしていましたが、メーカの違い、製品の違いによって発酵の仕方が違うようです。また、基質(砂糖やブドウ糖、人工甘味料)の違いにより発酵の様子も異なるようです。発酵の実験にもちいられるキューネの発酵管を使用し、発酵の様子を詳しく調べてみました。
今後、今回の実験結果を基に、甘いパン作りをしてみたいと思います。
10月31日(日)に、京都市にある「京都学・歴彩館」にて、令和4年度京都府高等学校総合文化祭自然科学部門が実施されました。
莵道高校の科学部は「そうだ、骨格標本をつくろう。」というタイトルの研究発表を行いました。みんなで骨格標本作製をしようという、啓発を目的とした発表でしたが、内容のインパクトもあり面白い発表になったと思います。発表後の質疑応答も非常に良かったです。また、学校から持って行ったイノシシの頭骨や、アライグマのなめし皮を通じて、他校生徒との交流も活発に行えました。
下のリンクに今回の発表論文(PDF)がありますので、内容が気になる方はご覧ください。発表に協力してくれた生徒の皆さん、応援してくださった皆さん、ありがとうございました。
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