学校生活

 

 6月も後半に入り、どんどん暑くなり、雨量も増えてきています。
 中庭の畑では、トウモロコシがすくすくと成長しており、株によっては雄穂ができはじめています。さらに大きくしていくため追肥を行いました。昨年よりもいい感じに育っているので、このまま収穫までいって欲しいです。
 サツマイモの方もつるがどんどん伸びてきて、こちらも夏に向けて順調です。どちらも楽しみですね。

 

 中庭にある科学部の畑では現在、トウモロコシとサツマイモを栽培しています。暖かくなり、日差しも強くなってきて、どちらもどんどん成長しています。

 トウモロコシは1カ所につき3~4個の種をまくので、最初は複数の芽が出てきます。芽が大きくなってきたので、1本に栄養分を集中させるため小さい芽を間引きしました。ついでに追肥もしたからか、その後、一気に大きくなってきた気がします。サツマイモも植えたつるが葉をつけてきて、順調に育ってきています。

 この時期は作物が日に日に大きくなっていくので、見ていて楽しいですね。

 

 莵道高校の中庭には科学部の畑がありますが、今年はその横に田んぼをつくって、米作りをすることになりました。しかし、さすがに中庭に本格的な水田をつくるわけにはいきません。そこで、コンクリートを混ぜたり、金魚すくいで使用されるトロ舟(大きなプラスチックトレー)を使って、簡易的な田んぼをつくってみました。

 稲についても、手に入れた種もみを塩水につけて選別し、芽を出して育てるところからやりました。苗は順調に成長し、中庭の田んぼに植えつけるところまで進めることができました。

 さあ、ここからが本番です。中庭での米作りは初めての試みですので、上手くいくか分かりませんが、無事にお米ができるよう育てていきたいと思います。

 

恒例のヌマチチブを採集しに行きました。

ホタテの貝柱を餌にすると、簡単に採集できます。

ちょうど繁殖期のようで、卵を持ったメスがたくさん釣れました。

学校に持ち帰り、実験に使用します。



 

 1学期の中間考査が終わりました。テスト期間中も、学校林ではセンサーカメラが稼働しており、通りかかった動物を撮影しています。一度設置すればしばらく放置できるというのが、この調査のよい部分です。今回も、ニホンジカ、アナグマ、テン、イタチ類、ニホンリス、アライグマなど、多くの動物が撮影されていました。

 しかし、こうやってホームページでは色々な種類の動物を紹介していますが、実際に撮影されている写真は、そのほとんどがニホンジカです。毎年この時期は、新緑の季節で林内にニホンジカの大好きな新芽が多いからか、特にニホンジカばかり撮影されています。今回も100枚以上の写真が撮影されていますが、その内の90枚以上がニホンジカで、残りの動物はそれぞれ1枚とか2枚です。ニホンジカばかり記録することになり、だんだん嫌になってくることもありますが、その中でたまに他の動物が写っていると、とても嬉しくなったりします。

 

 科学部が学校林に設置しているセンサーカメラは、赤外線により自動撮影するカメラになります。体温をもった動物がカメラの前にくることにより、自動的にシャッターが落ちる仕組みです。

 体温を感知しているので、哺乳類だけでなく、鳥類も撮影対象になります。実際、キジバトやハシブトガラスなど、森林で見られる鳥類が撮影されることは多いです。季節によってはトラツグミやシロハラなども見られ、過去にはフクロウが撮影されたこともあります。

 科学部ではこれまで、主に哺乳類を対象とした研究をしていますが、今後は鳥類についても調べていけたら面白いと思っています。

 

 学校林に設置しているセンサーカメラで最も多く撮影される動物は、いうまでもなくニホンジカです。その割合は実に60%をこえており、2回に1回はニホンジカが写っています。そのため、年間を通してニホンジカの様々な違いが観察できて、なかなか面白いところもあります。

 ニホンジカの雄は角を持っていますが、この角は1年ごとに生えかわっており、冬から春にかけて伸びた角が落ちます。その後、すぐに新しい角が生えてきて、夏頃には立派に伸びるのですが、今の時期は角が伸びている途中の、様々な長さの角をもった雄ジカを撮影することができます。

 今回は、まだ角が落ちていない個体、落ちてすぐの角がない個体、伸びはじめの個体が撮影され、今の時期にふさわしい感じとなりました。なお、伸びている最中の角は皮があり、血管などもあるため、一般的にイメージされる骨のような角と違い、柔らかい感じの生々しい角になっています。この辺りも、見ていて面白いところですね。

 

 センサーカメラの電池とSDカードを交換するために学校林に入ったとき、スズメバチの巣が落ちているのを見つけました。おそらく、昨年に樹上に作られた巣が落ちてきたのだと思います。あまり発達していないのか、小さめの巣でした。

 なかなかスズメバチの巣をさわる機会もないので、生物実験室に持って帰って、みんなで解体しました。スズメバチの巣は1年で使いきりのため、中に残っていたりしないので、安心して触ることができます。巣がどんな構造になっているのか調べたり、中に潜んでいた昆虫を探したりしました。最後は畑の肥料になりました。

 

 莵道高校の中庭には、科学部がつくった畑があります。この畑ではサツマイモやジャガイモなど、さまざまな作物を育てています。今年は毎年恒例のサツマイモと、昨年失敗して収穫までいけなかったトウモロコシの再チャレンジをすることになりました。

 冬の期間、畑をつかってなかったので、まずは除草作業から始めました。その後、土を耕して、畝をつくって、マルチをはります。サツマイモはつるを植え、トウモロコシは種をまきます。昨年はトウモロコシの種まきの時期が遅かったというのが失敗原因の一つだと考えられているので、今年は少し早めの種まきです。

 しっかり育てることができるのか。作物の成長が楽しみですね。

 

<部員数>
 22人(3年生:14人、2年生:4人、1年生:4人) ※2024年5月現在


<活動日>
 水曜日、金曜日が中心


<活動場所>
 生物実験室、学校林「莵道の森」、中庭(畑)、学校外の河川・湖沼 など


<活動内容>
 学校林の哺乳類調査、畑作り(サツマイモなど)、魚類調査、キッチンサイエンス(身近な科学実験)、生物標本作成、昆虫採集、化学実験、物理実験、水質調査、他クラブとのコラボ活動、生物を題材にしたゲーム作り、莵道祭の展示、大会での研究発表 など


 莵道高校だからこそできる活動をしています。生徒の皆さん、学校林で動物を追いかけたり、中庭に畑をつくって作物を育てたり、魚類の調査をしたり、なかなか経験できないことを一緒にやりませんか?別のクラブと兼部しても大丈夫です。

 

 莵道高校には「莵道の森」と呼ばれる学校林があります。ここは校舎を出て30秒で着く裏山で、敷地内にこのような森林をもつ学校はなかなか珍しいです。林内には二次林、スギ林、草原(土砂崩れ跡)など、いくつかの植生が見られ、ニホンジカなどの動物が姿を見せます。

 科学部では、7年前から学校林内に自動撮影装置(赤外線センサーカメラ)を設置して、どのような動物が出現するのか調査しています。撮影された写真を見て、動物種、撮影日時などを記録していきます。その結果、予想以上に多くの種が学校林を利用していることが分かりました。現在も継続して調査しており、そのデータは非常に貴重なものになっています。

 この4月に科学部へ入部したばかりの新入生も、さっそくこの撮影データの記録をはじめています。最初は動物の種類すら分からない状態ですが、やっている内にだんだん慣れてきて、動物を見分けることができるようになってきます。

 この調査で撮影された写真の一部は、ホームページでも公開するようにしています。今年度もどんな動物が撮影されるか楽しみですね。

 

新入生4名を迎え、活動を始めました。
平日は、これまでのデータ整理、畑づくりを行います。
畑は、これまで行わなかった穀物に挑戦しようと思います。
休日は、魚類の採集に行きました。


 

 4月12日、17日の2日間で、新入生に科学部の活動を説明し、実際に体験してもらう部活動体験を実施しました。

 5人の新入生が参加してくれ、一緒に学校林を散策したり、畑作業をしたり、動物の写真を見たりしました。学校林の散策中に、落ちていたニホンジカの角を見つけるという嬉しいサプライズもありました。

 部活動体験に参加してくれた新入生が、このまま科学部に入部してくれることを願っています。また、部活動体験に参加していなくても、科学部に入部してくれると嬉しいです。お待ちしております。

 

 4月10日に新入生歓迎会が行われました。2分という短い時間でしたが、科学部も新入生に対してしっかりアピールできたと思います。

 莵道高校の科学部は本当にさまざまな活動をしているので、なかなか「これをやっています」と説明することが難しいです。だからこそ、新入生の皆さんには一度どんな活動をしているのか体験して欲しいと思っています。

  4月12日(金)17日(水)に、科学部の部活動体験を実施します。少しでも興味のある人は、放課後に生物実験室まで来てください。お待ちしています。

 

 もうすぐ新年度が始まりますが、春休み中も学校林ではセンサーカメラが常時作動中です。暖かい季候になってきて、さまざまな動物が顔を出し始めてくれると嬉しいのですが、実際はニホンジカばかりが撮影されている、いつも通りの学校林です。

 2月くらいからニホンジカの群れが学校林内に滞在している時間が増加しています。特にスギ林になっている場所では、雄と雌が混じった群れが昼も夜もやってきていて、さながらニホンジカの社交場のようになっています。

 科学部では過去に、「学校林に来るニホンジカが増えると、他の動物が姿を見せにくくなるのではないか」という考察をしています。この状況が学校林内の生物多様性にどのような影響を与えるのか、注意深く見守っていきたいです。

 

 3学期の終業式が終わり、春休みに入りました。今年の3月は急に気温が下がって雪が降ったり、不安定な季候が続いていましたが、これからは少し落ち着いて春らしい気候になっていきそうですね。

 冬から春へ変わっていくこの時期は、雄のニホンジカの角が生えかわる時期でもあります。シカの角は枝角(アントラー)と呼ばれ、1年ごとに抜けては新たに生えてきます。

 冬の終わりから春にかけて角が落ち、新しい角が伸びていきます。このとき、新しく伸びてくる角は皮があって見た目も柔らかい感じです。秋頃には角を樹木などにこすりつけて皮を剥がしていき、骨っぽい見た目の、硬いシカの角になっていきます。

 今回、角が落ちたばかりの雄ジカを撮影することができました。こういう季節変化を見ることができるのは、センサーカメラ調査の楽しいポイントだと思います。

 

 3月10日に東京農業大学(世田谷キャンパス)で開催された日本森林学会大会 第11回高校生ポスター発表に参加しました。莵道高校科学部は「 学校林の哺乳類はどこを歩いているのか」という研究テーマの発表を行いました。センサーカメラ調査の写真から、動物と倒木の関係性に着目した研究となっています。

 当日は東京の会場まで行き、ポスターセッションをしました。他県の高校生や、大学の先生をはじめとした日本森林学会の研究者の方たちと交流することができ、貴重な経験となりました。また、閉会式後は東京農業大学のキャンパスツアーに参加し、大学生に校舎の案内をしてもらいながら、大学に関する様々な話を聞くことができました。

 発表したポスターは以下のPDFからご覧ください。

 
 

ファイル名:kagakubu_shinrin_poster_2024_03.pdf

PDFファイル容量:【1163.2KB】

※PDFを開くには下記「日本森林学会大会 高校生ポスター発表に参...」をクリックして下さい。

ポスター「学校林の哺乳類はどこを歩いているのか」
 

 学校林のセンサーカメラではたまにしか撮影されない、写っていると嬉しい動物のひとつがイタチです。京都にはニホンイタチとチョウセンイタチの2種が生息しているのですが、写真ではなかなか見分けがつかないので、科学部では「イタチ類」として記録しています。

 同じイタチ科の動物としてテンがいます。こちらはイタチと違って、学校林でよく撮影される動物です。イタチとテンは姿こそ似ていますが、生息環境や餌などに違いがあり、森林では樹上性の傾向が強いテンの方が多いようです。逆にイタチは川原などの水辺に多いみたいですね。

 ちなみにイタチですが、実は年末年始に、校舎内に入り込んで生ゴミをあさったりする姿が確認されています。イタチが屋内に入り込むのはよくある話なのですが、ゴミを荒らしたり、糞尿をまき散らしたり、見た目と違ってかわいくないことばかりします。幸い、3学期が始まって校舎からはいなくなったようですので、とりあえず安心しています。

 

 学校林で見られる哺乳類の中でも、特に季節性のある行動をするのがアナグマです。アナグマは冬眠(冬ごもり)をするので、基本的には冬の期間(12月~2月頃)は撮影されることがありません。ところが今年は、1月や2月にアナグマが撮影されています。

 アナグマは冬眠するといっても、実際にしているのは「寒いから引きこもっているだけ」という冬ごもりです。よって、冬でも暖かい日はトイレに行ったり、水を飲んだりするためにお出かけするのですが、今年はそういう日が多いのかも知れません。

 こういうところから、今年が暖冬であることを強く感じますね。気温が動物たちに与える影響は大きいのです。

 

 頭足類であるイカは、手軽に入手できること、食材なので心理的なハードルが低いことなどから、解剖実験の材料として古くから利用されてきました。そんなイカの解剖を科学部でも実施しました。

 解剖したのは食用として入手しやすいヤリイカです。えらや消化管から吸盤の様子まで、イカのからだの構造をじっくり観察する機会になりました。