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【探究の入り口へ。そもそもなぜ「探究」が必要なん?~vol.1~】 

 

こんにちは! 地域コーディネーターの能勢です。

いやぁ、気がつけば6月!! 早い!! え、今年度始まってからの2ヶ月間どこいったん? 

はい、幻の2ヶ月を駆け抜けました。


さて、そろそろちゃんと「いさなご探究」について振り返ろうと忙しさの合間をぬって、

今筆をとっております。(正確にいうと筆ではなく、キーボードを叩くですね)


この2ヶ月間、能勢は主に2年生の探究にコミットして授業を進めて参りました。  

始まりは、「なぜ今【探究】が必要なのか?」というテーマで幕を開けます。

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そもそも、21世紀に入ってからというもの様々な場面で叫ばれるようになった「探究」という言葉。

「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」という名前に変わったこともそうですが、

今や専門科目の名前にも「探究」という言葉が使われています。

例えば以前は「国語総合」と呼ばれていたものが「国語探究」に変わったというように。


最も大きい原因としては、「大学入試が変化」したこと。

今までは知識を詰め込んで、"正しい答え"を導き出せたら、

合格する基準点をクリアできていたら進学できていたわけです。

だけど、今そうではなくなった。


「答えのない問い」に対して、個人なりチームで最適解を導くこと。

「個人」が主体の世の中においては、自由度が保たれている反面、全て自分自身の選択に委ねられる。

つまりは、"自分なりの問いを自分なりの仕方で自分なりの答えを導き出す"力が

備わった人材育成をすることが今後求められているというわけだ。


そもそも学校というシステムは、明治時代にヨーロッパから取り入れられました。

富国強兵、欧米化、工業化が求められた時代。

強い国を作るためには、強い軍隊組織を育てなければ行けません。

当時の学校に求められた教育とは、「みんなで同じことを同質性の高い学級で、

出来合いの答えを一斉に勉強させる」こと。上からの指示に従わない人間はいらなかった訳です。


それが今、どうでしょう?

「ダイバーシティ」や「多様化」という言葉が飛び交い、

"自由に自分らしく豊かに生きる力"や"自由の相互承認の感度"を養うことが必要とされています。


そう!ここからです!!

「探究」が重要視されるようになったのは。


所謂、「探究する力」=21世紀社会の中で実現すべきことを達成するために必要な力

だということです。


ここでもしかしたら、疑問に思う人がいるかもしれません。

「なんで勉強じゃあかんの?」と。

「探究と勉強の違いってなんやねん!」と。


ご説明いたしましょう。

これまでの学校は「勉強」を教える場所でした。

これは、「与えられた課題を解決する」ための力をつけるためのものでした。


しかし、これからは学校は「探究」を教える場所に変わらなければなりません。

自ら課題を見付け解決する」ための力をつけるための教育機関へ。


ここにきてようやく主題に戻ります。

「だったら【探究する力】ってどないしたら身につくん?」


その力を生徒のみなさんに身につけてもらうために「いさなご探究」をはじめとする

専門科目があるわけです。


まずは、「いさなご探究」の3年間のカリキュラムをお見せしましょう!

各学年における「授業目的」ですね。


✿どんな目的で「探究」の授業をしているの?

ローカルからグローバルな視点を育てるため。


○1年生

「探究の基礎」を身につけよう!

まずは各人で「探究の意義」についてしっかり考える。

「ミニ探究」(9月~2月)約半年間の中で、「探究的」(自己分析⇒問い・仮説の設定

⇒情報収集⇒理解・解釈⇒アウトプット)のサイクルを繰り返し体験させる。

○2年生

多様な交流や体験を通して、新たな価値を創造する。「ミニ探究」からの発展を。

一年生で身につけた「探究の基礎」を土台にして、多くの人々との交流をし、

大きな問いに対して、自分なりの答えを導き出す⇒アウトプットの質を向上させる。


○3年生

更に広げて、国際的視野に立って情報発信をする。自らのキャリアを考える。

1・2年生で磨いてきた「問い」の設定、「仮説」に基づき、学びを深めていく力を使い、

その学びが社会、広く言えば国際社会でどのように活用できるのか、発信をしてゆく。

なりたい自分の将来像を描き、「自分で」進路を選択していく。


3学年における大きな目的はお分かりいただけたでしょうか。


そして探究の授業のメインの活動は、2年生です。

2年生は、1年生で身につけた「探究学習の基礎」をさらに発展させて、

社会との接点を持ち、様々な体験を通して、自分で立てた問いに対する答えを

約1年かけて導き出す取り組みを行います。


このプロジェクト活動に入る前に私は、どうしても取り入れたいことがありました。

それは去年の授業の反省点からきたのですが...。


去年は、いざ探究の授業がはじまるぞ! というタイミングでコロナ感染予防のために

学校が長期休校に入ってしまったため、「自己探究」ができない状態で地域との繋がりを作ってしまった点。


自分の興味関心がどこに向いているのか、そもそも何か重要な選択を迫られた際に

自分は何を基準に判断しているのか、何をしているときが最も心が動かされるのか、

ざわつくか、本気になれるか、自分が大切に思っていること、価値観など、

そもそも自分のことを理解していないと、ふわっとしたまま社会との接点を持ったとて

限られた授業の時間では「本当に自分が知りたいこと」や「聞いてみたいこと」、

「こんな大人と話してみたい」などといった自分の願望を叶えることは難しいのです。

このことは、去年の授業を見ていて強く感じました。

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「あぁ。自分について理解する、現状を把握し、将来的にどんな風にありたいか。」を

しっかりと最初に考えさせる必要がある。それをもって、初めて探究の入り口に立つことができるのだ。


長くなってしまうので、今回の記事はここまで。

「自己探究」の様子については、また次回の記事のお楽しみに♪


さぁ、今年度の探究はどんな動きが出てくるかな。

生徒一人ひとりの中にある「探究の物差し」をじっくり時間をかけながら、

様々なチャレンジを通して育てていってほしいものです。


未来の生徒たちがどんな風に成長した姿を見せてくれるのか、

今からとってもワクワクしているコーディネーターの能勢がお送りしました!!



 
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