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「地域の人たちを巻き込んで一緒にアート作品を作りたい!~VOL.2 あしたの畑編~」

 

みなさん、こんにちは!

地域コーディネーターの能勢です。


早速前回の記事の続きを。

2年生のアートに関心のある高校生たちの活動があの後どのように進んでいったのかについて、ご覧ください!

※前回の記事はこちらから


今回は夏休み中に彼・彼女たちがスタッフとして参加した"アートと食"のイベント「ECHO」での

様子をお届けいたします!!


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「地域の人たちを巻き込んで一つの作品を作ってみたい」という想いから始まった

アートチームの探究活動。


ワークショップ経験のない高校生たちが、アートマネージャーの甲斐さんに相談を

持ちかけたところ、イベントの企画・運営の裏側を学べるのではないか、と

ご紹介いただいたのが、夏休み期間の1ヶ月間にわたって丹後と城崎で開催される

"アートと食"のイベント「ECHO」という催し物でした。


このイベントの主催は職種の異なる7人のアーティスト(料理人や建築家、写真家など)が

活動するあしたの畑さん。


丹後での会場となったのは、間人にある竹野神社。

竹野神社は9代目開化天皇の妃となった「竹野媛」が年老いて帰郷した後、

天照大神を祀って建てられたという由緒ある神社です。


ここに国内外から様々な分野のアーティストたちが集結し、この土地の風土や歴史、

まつわる伝説などから着想を得て作品を生み出します。

1ヶ月という長い期間、その土地ならではの魅力をたっぷりと味わえる大きな祭典です。

このイベントにぜひ高校生たちにも関わってほしいという運営側の思いもあり、

京丹後市にある3つの高校に声かけをしたところ、20名ほどの高校生が手を挙げてくれました!

峰山高校からはアートチームの高校生達の他、芸術や建築に興味のある高校生たちが参加しました。


イベント開催期間までは、説明会に参加してもらったり、実際に会場へ足を運んでもらいました。

そこでは、竹野神社の宮司さんから神社の歴史や神社と地域の関わりについてお話しを聞かせていただいたり、

実際に展示されている作品について作ったアーティストご本人からその作品の背景を教わったりしました。

あしたの畑10.jpg

(写真は宮司さんから竹野神社の歴史を教わっているシーン)


そしていよいよ、祭典が幕を開けます!

会場案内や作品の説明、舞台設営や料理人の調理補助などをお手伝いしました。

あしたの畑11.jpgのサムネイル画像

まず朝来たら、お客様が来られる前に会場の設営を。

ここでは食事が振る舞われるので、飲食ができるようにテントを張ります。

あしたの畑3.jpg

お客さんが来場したら接客をします。

その日に振る舞われる食事のメニューの説明や出展しているお店の案内などを

担当してもらいました!

大学生スタッフに見てもらいながら、一緒に会計作業も行います。


続いてこちらは、竹野神社境内にある図書の展示スペース「library」


あしたの畑5.jpg

あしたの畑8.jpg


竹野神社は室町時代に火災にあい、その際記録のほとんどは灰と化しました。

ですが江戸時代からの宮司の日誌は残っており、2000年続くこの神域の歴史を遡っていける

手立てが見つかりそうな希望を胸に竹野神社に残っていた書籍と今回のイベントのテーマに

即した現代の書籍をブックディレクターがキュレーションしました。

※キュレーション:情報を集め整理すること


会期中は誰でも閲覧することができ、ゆったり自然を感じながらひと時を過ごしていただく

スペースですが、この場所の説明や案内も高校生が行いました。

図書説明②.jpg

あしたの畑図書説明.jpg

図書説明④.jpg


また普段は入ることのできない神域にアート作品がたくさん展示され、

イベント期間は神域を巡るツアーも実施されていたのですが、ここにも高校生たちが

参加し、宮司さんと共に参加者を案内したり作品説明をしたりしました。

あしたの畑12.jpg


ある日には雅楽の特別公演なども開催され、歴史ある伝統音楽を堪能する機会もありました。

あしたの畑1.jpg


そんな体験を通して高校生たちは、夏の1か月の間、個々で沢山の出会いをしました。

メディア取材の場に居合わせたり、作品を作ったアーティスト本人から作品ができるまでの

物語を聞かせて頂いたり、竹野神社の神域ツアーに参加したり。


その中でそれぞれ色々なことを感じ取ったと思います。

日を重ねるごとに高校生たちの表情には自信が見て取れ、竹野神社の歴史や伝説、

作品の背景などを自分の言葉で話せるようになっていました。



なんといっても、注目されたのはイベントの最後2日間に振る舞われる

高校生たちによるスペシャルメニュー。

弥栄町にある魚菜料理 縄屋の料理人吉岡さん監修のもと、3人の高校生が地元の食材を使った料理を考案。

丹後を感じてもらいたい、食べた人を笑顔にするような料理にしたい、という思いのもとで

最終的には「間人産白海老入りトマトソースのガレット」を振る舞うことに。

卵は伊根町の三野養鶏場さん、チーズは久美浜のミルク工房そらさんのものを使いました。

ガレット試作.jpeg

食べてもらう人にどんな体験をしてほしいのかをみんなで話し合ったり、

吉岡さんから調理場を借りて試作をしたりする中で、このメニューができました。

高校生だけでメニューを考え、当日の運営も自分たちで回していくのはとてもハードであったと思いますが、

みんなとても楽しそうに頑張っていました。

ガレット完成.jpeg


この1ヶ月間の体験を得て、高校生たちはそれぞれに色々なことを

感じ学び取っていたのではないかと思います。

説明会で初めて顔を合わせたときには、高校生たちはほとんど竹野神社のことを知りませんでした。

ですが1ヶ月後には、この神社の歴史や自然との関わりを自分の言葉で話せるようになっていたと思います。


1ヶ月という長い期間の間、よく頑張りました!

参加した高校生からはこんな声をもらいました。


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・他校の高校生のみならず、大学生スタッフとの交流の機会が持てたのがとてもよかった。

大学での学びについて聞くことができ、より具体的に今後のイメージが持てた。


・接客体験は楽しくもあり、チャレンジでもあった。

特にオリジナル料理をふるまったときは集客の大変さや予測して準備をすることの難しさも学んだ。

でもそれ以上に地元の料理人さんから旬の食材について教えてもらった体験や、

自分たちで考試行錯誤しながら考えたレシピを美味しいと言って目の前で食べてくれる人たちの

笑顔を見てとても充実感を味わった。

ぜひこういった企画があれば後輩にも体験してほしい。


・普段の生活では関わることのない様々な分野の「プロ」と関わる体験ができてよかった。


・地元であっても普段行くことがない場所だったので、

その土地の歴史や事前との関わりについてのお話を聞いて、改めて自分の地元について知る機会となった。


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文化にどっぷりと浸った夏のひと時が、きっと高校生たちの人生を豊かにしていると願って。

 
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