網野学舎

凛々しさと 清々しさと 芯の強さと

 9月24日・25日に行われた第27回丹後高等学校文化祭典(丹文祭)で最後の活躍を見せた3年生の二人に、部活引退の思いと将来の夢を伺いました。

坪坂美波さん(3年2組・久美浜中)
 私は「上手く書を書くことができたらかっこいいかな」という単純な思いと、新しいことにも挑戦したい、そして部の居心地の良さもあって書道部に入部しました。
 今回出品した作品はニ八サイズの1点と半切サイズの2点の合わせて3点でした。高校で出品するのがこれで最後だったので、私は一番好きな書体である隷書で書くことに決めました。今年の四月から構想を練って、顧問の先生の指導を仰ぎながら何度も何度も書き直し、時間も苦労もかけて仕上げた作品でした。この書が特別賞に選ばれたことに嬉しさの余り驚いていますが、三年間をいい形で締めくくることができて本当に良かったです。
 作品に向かう私の書道部の三年間はまさに自分との闘いでした。うまくいかずに悩んだり、大変で辛いと思うこともありました。そんななかでも部員たちと休憩中に三階の書道室の窓を開けて景色を眺めたり談笑したりして息抜きをしたほんの些細なひと時も、私達にとってはいい思い出でした。みんなよく頑張ったし、よくやり切ったと思います。
 私は書道で培った集中力をフル活用して、将来はドクターの意志を汲み取り、それを踏まえて患者様に対して適切な処置を行う、現場の最前線で活躍する歯科衛生士になりたいです。これから始まる受験でも集中力と忍耐力で頑張って乗り越えていきたいです。

西中歩羽さん(3年2組・久美浜中)
 2年生の時、体験入部でお点前をする先輩方のきれいな所作に私は一目惚れをしてしまいました。お菓子もお茶も大好きだった私は茶道部への入部を即決しました。
 丹文祭では丹後の他校の茶道部が集まっての合同お茶席を催しました。コロナ禍だったこともあり、今回は私達3年生にとっても、もちろん下級生達にとっても初めての丹文祭でした。高校によって流派も細かな所作も違うため、当日は始まる直前まで入念にすり合わせを行いましたが、他校の生徒の所作や言葉遣いは私達以上に美しくて感心しきりでした。この丹文祭は私達にとってもお点前を実践するいい機会でしたし、たくさんの方にお茶席を体験していただくいい機会になったのではないでしょうか。
 茶道部の活動はのんびりとしたいい時間でしたが、実践の場であるお茶席はコロナ禍で開けず、先の見えない辛い期間が続きました。イライラすることもありましたが、部長や部員たちの温かさにいつも支えられました。最後の年にこうして練習の成果を披露できて本当に良かったです。この二年は早かったと思うと同時に、今は少し寂しい気持ちです。
 私の夢は言語聴覚士になることです。茶道で培った言葉遣いや礼儀作法などを生かして広い世代の患者様に優しく接し、言葉に悩む方を一人でも救っていきたいです。

...継続は力なり。様々な試練や困難を乗り越えて最後までやり切った二人の表情には、凛々しさと清々しさと芯の強さを感じることが出来ました。次なる夢に向かってさらに頑張ってください。

              (取材・文 安達卓能)

 
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