学校生活School Life

これまでの学びを形にしたい!~高齢者サロンで「健康」をテーマにした企画を実施~〈2年生探究〉

 

過去の記事で紹介したことがありましたが、

「高齢者の健康維持」について探究しているチームの

経過報告をしていきましょう。


過去の記事はこちらから


****

これまで「高齢者の健康維持」のためには、

どんなことが必要なのか、またどんな仕組みがあればよいか、

地域がどうなっていたら良いのか、などについて考えてきた高校生ら。


関心のある進路先として"福祉"というのがキーワードに

上がっていたため、そもそも福祉とはどういうものなのかについての

概念的な部分を社会福祉士の資格をもち、労働支援をしている

地域の方にお話を伺ったり、地域医療という観点から薬剤師、言語聴覚士といった

地域の方を囲んで地域福祉の在り方、現状、そして未来について考えてきた。


自分で調べるだけでは分からないことを地域に出向いて、

現場で動いている人たちの生の声を聞くことで、今ある課題や

今後必要なこと、地域にとって大切なものは何かについて

自分たちの実感を持って知ることに繋がった。


そういった中で高校生が「高齢者の健康維持に必要なこと」として

導き出した答えは"生活の中で、人との繋がりを感じられる"かどうかが

重要であるということ。


そこでそれが人にどれほどの影響を与えるのかについて

検証するための企画を実施する運びとなった。


探究が始まったばかりの頃は、どう進めていくのかかなり

迷っていたこと、どちらかと言えば地域で活発に動いて

進めていくというよりは、ネットや書籍等から自分たちで調べて

進めていくスタイルを好んでいるような感じがあったので、

こうして地域に出向き、最終的には自分たちから企画をしたい、と

声を上げてくれるようになるなんてまさか想像もしていなかったので

その分、喜びは大きい。


「企画をするのに地域で行われている高齢者サロンについての

情報が欲しい。そういった取り組みをしている人たちと

繋がりたいのですが......。」と彼・彼女達から相談を受けたとき、

とても嬉しかったのを今でも覚えている。


そういった流れの中で、これまでの学びの最終アウトプットとして

社会福祉協議会さんにお世話になって、高齢者サロンで高校生主体の

企画を開催させていただくことが決まった。


企画を実施するにあたって、コンセプトをどうするのか、

どんな体験を提供するのか、どれくらいの規模で何を行うのか、

検証したいことを明らかにするためのアンケートはどんな問いを

用意すれば良いのか、当日の進行、他にボランティアで高校生が

どれくらい必要なのか、広報はどうするのか、誰に何をお願いするのか等、

社協さんも含めて打ち合わせを重ねる。


そして冬休み明け。いよいよサロン当日。

実施を決めてから、当日までにあまり時間が無かったことや、

冬休みを挟んだことから高校生側にも広くアプローチが出来ず、

本当に人が集まるのかどうか不安な面持ちで会場にやってくる高校生。

IMG-2295.jpg

最終打ち合わせをして、そろそろ開始予定時刻になろうとしている、

当にその時、会場の扉が開いて続々と高齢者の方が入ってこられるではないか!


10人参加者を集まることを目標にしていたのだが、何と20名近くの人が

集まり、高齢者との交流に関心のある高校生や将来介護士を目指している

といった高校生も来てくれた。


今回、このサロン開催に協力してくださった区長さんの挨拶から

いよいよスタート。

IMG-2312.jpg

マイクを渡された高校生たちは、最初緊張で少し声は震えていたが

会場にいる人たちは皆親身に耳を傾けてくださり、最初の挨拶を終えると

温かい拍手を送ってくださって、高校生たちも安心したのか、

プログラムに入る頃には普段の様子に戻っていた。


プログラムは2部制に分かれており、前半は

座ったままでもできるエアロビクス(運動)、

後半は「思い出の写真、お気に入りの写真」を持ち寄って、

それらについてプレゼンと意見交流をする(対話を楽しむ)時間として

企画を組んでいた。


エアロビクスは動画を流しながら、それを見本に

みんなで身体を動かす。

座ったままといいつつも、手足を中心に身体の色々な場所を

使うエクササイズとなっており、途中ちょっと休憩を挟まなければ

最後までもたない運動量だ。

IMG-2299.jpg

IMG-2298.jpg

身体もぽかぽかしてきて、最後は会場のみんなが

笑顔になる。

「これはええ運動やな」

「ほどよい疲れが気持ちええわぁ」


なんて声が彼方此方から上がって大成功。

これで一気に会場の空気が柔らかくなった。


みんなの緊張がほぐれたところで、後半戦。

2チームに分かれて、自己紹介とお気に入り写真についてのお話タイム。


ここで面白かったのは、自己紹介が終わらないこと(笑)

・お名前

・年齢

・趣味

・最近あった楽しかったこと


この4つをそれぞれからお話ししてもらうことにしていたのだが、

趣味の時点で話が盛り上がる、盛り上がる(笑)

IMG-2311.jpg

趣味が同じ人がいれば、そこから話が膨らんだり、

「え、それ何!?」となれば、解説タイムが始まる。


想定していた時間を大幅に超えてしまったが、

これはこれで、交流を楽しめているので目的がそれてしまっている訳ではない。

様子を見つつではあるが、ちょっとこの場の空気感を楽しもうか、と

急遽自己紹介の時間を延ばしてみる。

IMG-2310.jpg

IMG-2308.jpg


これが良かったのか、こちらでとくに写真の話に切り替えなくても、

自己紹介の流れの中で、自分のお気に入りのものや思い出話に

持ってきてもらった写真を取り出す人たちもいて、

非常に良い交流の時間が持てていたと思う。

IMG-2303.jpg

最後の感想で、参加した高校生たちからは

「想像以上にお年寄りの方々が元気であることに驚いたこと。

その元気の秘訣が趣味、それも多くの場合が一人で完結するものではなく、

色々な人たちと取り組むものであること、そして私達高校生や

若い世代のとの交流が高齢者の方々に元気を与えられるということにも

気づいた。自分たちにできることもあるんだな、と実感でいたことが、

とても良かったし、すごく楽しい一時でした!」

という感想が出てきたこと、


また高齢者の方々からは

「こうして自分たちのことを気にかけて、わざわざ地域に出向いてきてくれる

若者の存在がどれだけ有り難いことか。

これを機にぜひ色々な場所で実施されているサロンに参加してみてほしい。

たくさんの元気をありがとう」

と感謝を語ってくれる方々が沢山いた。

IMG-2304.jpg

企画をしてくれた高校生らは、終わった後に本当に清々しい顔をしており、

最後までやりきってくれて本当に良かった、と心から感じた。


この経験が、やりきったという達成感が、

きっと今後の彼・彼女らの人生を豊かにしてくれるだろう。


 
COPYRIGHT (C) 京都府立峰山高等学校