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地域の公民館の新しい活用方を提案!? 「ばら寿司を作ろう!」企画を実施しました!

 

今回の記事で紹介するのは、大宮町河辺区にある区民センターの

新たな活用法の提案に挑戦している高校生達の活動についてです。

なぜ区民センターの活用法を考えているのか、どういった経緯で

そういった活動になっていったのか、内容については、

以前別の記事で紹介しているので、ぜひそちらをご参照ください。

 

記事はこちらです。

 

***

 

彼女達の最初の探究のキーワードは「子育て世代が住みやすいまち」でした。

少子高齢化、人口減少が避けられない時代、果たしてどうすれば

まちは持続していくのだろう。

 

そういった課題意識を軸として、導き出した仮説が

「子育て世代に優しいまちは、これからも持続的な発展を遂げるのではないか」

ということ。

 

その考えのもと、河辺区の区長さんと話し合いを積みかさねてきました。

話合いを続けていく中で、彼女達の中にも変化が生まれてきます。

 

親子向けのイベントを開くのも良いが、

ただ単発のイベントで終わってしまう可能性が高いのではないか、ということ。

自分達の活動が一旦終わったとしても、

例えば後輩に引き継げるような形であった方が良いのではないか、と

いうことであったり、卒業後、たとえ自分たちがこのまちを出たとしても

何かしらの関わりを持ち続けられるような関係作りを

メインに考えるのが良いかもしれない、という心情の変化が生まれてきたのです。

 

それに加えて、区長さんもまずは若い世代に地域のことを知ってもらいたい、

河辺区の既存のコミュニティと

今までまちに関わりの無かった人々との新しい関わりを生みだしたい、と

いう想いをお持ちであったため、

今回の企画の趣旨は「親子」をターゲットとするのではなく、

高校生と河辺区住民との多世代間交流とし、

まずは高校生自身が河辺区というまちの成り立ちについて知ること、

河辺区で作られている作物に関してそれらはどんな人が、

どのような想いで作られているのか、生産者の方との繋がりを作ること、

公民館の新しい活用法としての事例を作ること、といったことを

目的とした企画作りをすることになりました。

 

そこで彼女達が考えたのが

「地元のおばあちゃんたちから、伝統的なばら寿司の作り方を教えてもらおう」

というもの。

 

ただ教えてもらうだけではなく、一緒に作るという体験を通して、

農家さんの昔ながらの伝統・文化について学ぶ要素を取り入れたり、

河辺区でとれた作物を使うのと合わせて、

生産者さんの想いをヒアリングするといった機会を設定したり、

区民センターの元館長の水野孝典さんをゲストにお招きし、

河辺区のこれまでの変遷と今後の展望等をお聞きする時間も設定しよう、

というような「楽しみながら学べる」要素を

プログラムの中に沢山盛り込むことになりました。

 

そして令和5325日。

いよいよ温めてきた企画の実施日がやってきました!!

 

告知がギリギリになってしまい、参加してくれる高校生がいるのか

少し不安ではありましたが、彼女達が最後まで粘り強く声かけをした結果、

参加者が集まりました!

高校生の参加が嬉しかったのはもちろん、

何と中学3年生(4月から峰高生)も来てくれました!!

二人の思いを話す(企画最初の挨拶).JPG

今回、伝統的なばら寿司の作り方を教えてくださるのは、

河辺区の「図書の会」のみなさん。

「図書の会」のメンバーの方は、普段は区民センターで週1

親子向けに絵本の貸出を行っていたり、

読み聞かせをされたりしている会です。

最年少の方で60代~最年長は何と80歳の方までいらっしゃいます!

 

挨拶を聞く図書の会メンバー.JPG

まず始めに本日の手順を丁寧に教えてくださいます。

素敵なレシピも用意してくださっていました!!

 

キッチンで説明を聞くメンバー.JPG

そしていよいよ実際に調理をします!

最初のミッションとしては、ばら寿司において重要なそぼろを作ること。

錦糸卵を作ること。

それぞれ二手に分かれて、地元のおばあちゃんたちから

アドバイスをもらいながら作っていきます。

 

「そぼろは焦げ付きやすいから、じっくり時間かけながら混ぜるんやで。

味も元々ついてるから、砂糖もあまりいれんでええよ。

少しずつ入れて味みながら、調整するんよ。」

 

そぼろアップ.JPG

にじかちゃんそぼろ①.JPG

「ちょっと味みてみ!」

そう言われて、一口、口に含んでみる。

あまりにも美味しくて、思わず笑顔がこぼれる。

「どうや? 美味しいか?」

「美味しすぎて、驚きました!!!」

にじかちゃんそぼろ味見.JPG

そんな風にレシピにはのっていないちょっとした豆知識も

随時教えてくださる図書の会の方々。

「これは大事!」というポイントが随所にあるので高校生たちも集中して、

先生方の声に耳を傾けます。

 

愛子ちゃん卵割る.JPG

和ちゃん卵手慣れた感じで割る.JPG

和ちゃん錦糸卵に挑戦.JPG

愛子ちゃん金糸卵①.JPG

ある程度、最初のミッションを完了させると

次はいよいよばら寿司を作る行程へ。

ほかほかに炊き上がったお米をまつ蓋に投入。

お米は、河辺区の農家さんで生産されたもの。

一粒一粒がつやつや光っていて、美しい。


炊飯器のお米(炊きたて).JPG


お米臼に移す.JPG

まつ蓋全体に平等にお米が行き渡るよう熱を冷ましながら広げていきます。

炊きたてのお米って、どうしてこんなにも良い匂いなんでしょう......!!

もうこの時点でみんなのお腹が、ぐぅぐぅ音を鳴らします。

 

愛子ちゃん妹うちわで仰ぐ.JPG

米まぜる.JPG

愛子ちゃん米広げる.JPG

全体にお米が行き渡ったあとは、順番に材料を乗せていきます。

時間をかけて炊いたそぼろ、錦糸卵、椎茸、紅ショウガ、にんじん......。

色とりどりの材料で彩られていく。

たまごとしいたけ.JPG


かまぼこちらす.JPG


紅ショウガちらす.JPG

参加者のみんなから、思わず感嘆の声が漏れる。

「わぁ~~、きれい!!」

ばら寿司作りの中で、この行程が最も楽しい。

 

「緑色に普段はグリーンピースを使うんだけど、

昨日スーパーに行ったときには売り切れていてなかったのよ。

だからその代わりに、これを見繕ってきたわ!」

 

と出して頂いたのは、「菜の花」とその葉っぱ。

ちょうど季節のものなので、これは嬉しい。

 

早速、それも全体に散らしてみる。

やはり、グリーンが入るだけで見た目がガラッと変わる。

それがアクセントになって、より見栄えが良くなり、

全員のテンションがまた上がります。


ばら寿司完成形アップ.JPG


まつ蓋を囲んで、みんなで笑顔。

この光景がとても素敵でした。

やっぱりみんなでご飯を作るって楽しいなぁ。

まつ蓋囲んで笑顔.JPG


全ての材料を乗せて、完成!

これから人数分に切り分けて、パックに詰めていきます。

ばら寿司パック詰め.JPG


ばら寿司隊が、盛り付けに勤しんでいる間に

付け合わせのお吸い物を作るメンバーも。


分量を慎重に計ります。

おいしくな~れ!

愛子ちゃん&にじかちゃん味噌汁作り.JPG


愛子ちゃん味噌汁作り.JPG

 お吸い物も良い感じに完成!

こちらもよそって、お楽しみのお食事タイム!

元気な声で「いただきます!」を全員で。


お食事タイム全員.JPG

 

さぁ、みんなで作ったばら寿司は果たしてどんな味なのでしょうか......?

それぞれが期待と不安を胸に、そっと口に含みます。

 

「......!!!!」

 

まず一斉に目を見開く一同。

そしてその後、次々に飛び交う「美味しいーーーーー!!」の言葉。

 

やさしい甘さと菜の花のちょっとした苦みがとても良い塩梅で、

自然とみんなの顔が綻ぶ。

人生の先輩にじっくり教えてもらいながら、

みんなで一生懸命作ったばら寿司は最高の味でした♪


頑張って企画をした二人も満面の笑顔でピース。

美味しく出来て良かったね!!

完成してにじかちゃんピース.JPG

 

面白かったのは、みんなでワイワイしながら食べる時間の中で生まれた雑談。

昔から河辺区で生まれ育ったおばあちゃんたちが、

子どものころのエピソードを沢山教えてくださいました。

 

「うちは農家やったんやけど、昔は時期ごとにお祭りごとがあってな。

まず田植えが終わったあとは"さなぼり(早苗餐)"っていう行事があるんや。

本来は、田植えが無事に済んで、田の神を送るための祭事の意味が

あったみたいやけど、私らのときは農家の休日やな。

お餅をついたり、まんじゅうを作ったりして、

ご近所に配りに行くんやけど、私はそれがすごく嫌でなぁ......。

さらにもう一回、10月に"亥の子(いのこ)"っていうお祭りもあったんや。

このときは収穫祭やな。

とれたお米を使って、それこそばら寿司を作って

お世話になった人とかご近所さんに配り歩いたよ。」

 

「うちは元々こちらに嫁いできたから、

それまではばら寿司自体知らなかったけど、

旦那さんのお母さんに作り方を教えてもらって、

そのレシピで今も作ってるわ。」

 

「今はスーパーでも手軽に買えちゃうけどね。」

 

するとすかざず、口を挟む高校生たち。

 

「いやいや、これまでスーパーのばら寿司も

美味しいと思って食べていたけど、

今日作ったこのばら寿司とやっぱり全然違う! 

おばあちゃんが作ってくれるばら寿司ともまたちょっと違うけど、

すっごくすっごく美味しいです!! 

自分で作ったから、というのもあると思うけど、

これまで食べてきたばら寿司の中でも12位を争うおいしさです!!」

 

それを聞いて、みんなが笑う。

 

「そう言ってもらえたら、こちらも教えた甲斐があったわぁ。

みんなで一生懸命つくったものをこうして囲んで

ワイワイしながら食べるのも良いわね。」


お食事タイム図書の会.JPG

 

そんな風にして、食事の時間は終始和やかに過ぎていきました。

 

そして企画の終盤。

最後の時間は、「大宮町河辺区について知り、未来を考えよう」という

テーマのもと特別ゲストにお越しいただきました!!

 

元区民センターの館長である、

水野孝典さんから学びます。

 

水野さん②.JPG

水野さん①.JPG

水野さんはこれからの河辺区のまちづくりにおいて必要なこととして

「祭りごとはまちが1つになるきっかけになる」と考えられています。

 

河辺区は、現在人口は増えています。

バイパスを境に新しく築かれたまちの方には

若い家族の居住により、子どもの数も増加傾向にあります。

しかしながら、旧市街地との交流はほとんどありません。

バイバスを境にきっぱりと壁が生まれてしまっている。

これは、これから河辺区が存続していくのに

大きな障壁となって立ち現れてくるといいます。

新旧のまち同士のふれあい、新しいコミュニティの形成が

急務になっているのです。

 

その解決策の手立てとして有効な手段の1つが「祭り」なのです。

そういった意味で、区民センターをいかに使うのか、

ということが今後問われてきます。

これまでは交流の無かった人々同士の関わりをつくるための

仕掛けを作っていくのに区民センターは非常に有効です。

 

今回、高校生たちはその小さな一歩目を作ったのではないでしょうか。

住民に訴えかけ、巻き込んで、こうした世代を超えたもの同士の

交流企画が実現しました。

1つ事例ができれば、次はもっとこんな形でできるかもしれない、

こうしたらさらに面白いかも......、といった話題が住民の中に生まれます。

「やってみよう」が区民センターの中で積み重なっていけば、

時間はかかるかもしれませんが、きっと新しいコミュニティ形成に

繋がっていくんだと思います。

 

探究の授業としては、2月に終了しましたが、

彼女達は有言実行すべく、

企画を実行までうつして最後までやりきりました。

この体験は、彼女達の財産となったはずです。

 

今後の彼女達の更なる活躍と河辺区の繁栄を祈って。

長期間にわたる探究活動、本当にお疲れ様でした!!

 

 

 
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