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区民センターを活用して、地域に新しい風を!~大宮町河辺区を活気あるまちに~

 

みなさんは、大宮町河辺区にある区民センターが

リニューアルされたことをご存じだろうか。

広いホールに開放的な座敷、

子どもたちへの読み聞かせができるスペースや

キッチンまでが完備されている。

 

地域の人々の交流の場、そして憩いの場になれば......という想いで

設計されたのがよく分かる。

しかしリニューアル直後、悲劇が私たちを襲うことになる。

そう、コロナウイルスの流行である。

 

人が集う企画や、飲食を伴うイベントが

ここ2年の間にことごとく規制されてきた。

区民センターのリニューアル後、実施を予定していたイベントは

立て続けに中止に追い込まれることになる......。

 

だが、今年度に入り「withコロナ」の風潮が定着してきた昨今、

少しずつではあるが、また人が集う機会が様々なところで

設けられるようになってきて、徐々に地域に活気が戻りつつある。

 

河辺区でもこの1年の間に地元民による手作り・野菜市や

運動会などを実施してきた。

河辺区長である西村さんには、夢がある。

 

「各自治組織(地域住人によるサークル活動のようなもの)の枠組を超えた

新たなコラボが生まれる拠点を作ること」

 

河辺自治会は複数の小さな自治組織が集まって構成されており、

基本的にはボランティアや趣味の集まりだ。

例えば読み聞かせなどを行う図書の会、ハンドメイド好きが集うコミュニティ、

輪投げの会なんかも存在する。

これらの組織は、それぞれ独立しており、

何かを共に取り組むということはほとんどないという。

新たな繋がり方を模索したいというのだ。

 

夢や理想のまちづくりを実現させるための一歩として、

この区民センターを有効に活用したいという想いでリニューアルをされた。

 

この記事は、そんな区長さんのチャレンジの一歩を応援すべく

立ち上がった高校生たちのお話しだ。

 

***

今回の高校生たちのミッションは、

区民センターを使って何かイベントを企画することだ。

企画の条件として、区長さんの夢である

「自治組織の枠を超えた内容にすること」


そしてもう一つは

「地域の文化やそこで暮らす人々の活動に関して

地域住民に知ってもらう機会とすること」

 

まずはリニューアルした区民センターの見学と

区長の西村さんの思いをヒアリングし、

どういったことができそうか企画提案をするため、

現場を訪問した二人の高校生。

最初に新しく生まれ変わった施設内を歩いて見て回る。

愛子ちゃんチーム談話室全体.jpg 愛子ちゃんチーム区民センターの本棚.jpg

 

「あ、この部屋は絵本がたくさんある!

子どもたちもゆったり過ごせそうでいいね」

「お母さんたちが繋がれるきっかけにもなりそうだね」

 

愛子ちゃんチーム図書・談話室.jpg

「見てみて! ここの部屋はめっちゃ広いよ!

 日当たりも良いし、ひなたぼっこしたら気持ち良さそう()

 

「ホールは結構広々してるね。演奏会とかもできそう。

しかもほら、ここ見て!

キッチンと繋がってるからご飯を作って

ここからそのままホールに配膳できる。

これを上手く使えないかな?」

愛子ちゃんチームホール.jpg 愛子ちゃんチームキッチン②.jpg

 

というように真剣に現場を観察する高校生たち。

実際に見ることによって、この場所をどのように使えば面白そうか、

どんな内容の企画が実現できそうかアイディアが湧いてくる。

 

一通り見て回った後に区長さんへ自分達が考えた企画の

アイディアを提案し、

区長さんの意見とすり合わせの作業をすることに。

 

【区長の西村さんとのお話】

――まず私達は、子育て層の人たちがどのような地域であれば

暮らしやすいのか、ということをテーマにこの探究活動を始めました。

その中で西村さんと出会い、

地域住民の新たな交流のきっかけになるような機会として

区民センターを有効活用してもらいたい、というお話しをいただいたので、

私達なりに考えた企画についてご提案させていただこうと思います。

私達の考えた企画に対して、フィードバックをいただければ幸いです。

 

「考えてくれるのはすごく嬉しいなぁ。

子育て世代、とくに若い世代の繋がりはまだまだ少なく、

河辺区としても今後子育て層のコミュニティを温めていきたいと

考えていたところだから、楽しみだ」

 

――よろしくお願いします。

まず先ほど実際に施設内を見せていただいて感じたことが、

キッチンの設備が整っていることと

大きなホールを有効活用できたらいいな、ということです。

今回の企画のコンセプトが「地域のことを知っていただくこと」と

「地域住民同士の新たな出会いのきっかけ作り」ということなので、

"地域の伝統料理をみんなで作って、一緒に味わおう"という体験を

してもらいたいと考えました。

 

おお。それはとても面白いね。

親子対象にすれば、子どもたちにも文化の継承ができるし、

親御さんにレシピを知ってもらうことで

お家でもまた作ってもらう機会にもなりそうですね。

 

――はい。私達は「ばらずし」作りの体験をしてもらいたいと考えています。

私自身、祖母が作ってくれるばらずしが今でも大好きで、

スーパーで売っているものも時々食べますが、

やっぱり一番美味しいと感じるのは

「おばあちゃんのばらずし」。

できれば、イベント当日に地域からバラずし作りが得意な方を

講師としてお招きして、教えていただきたいな、と思います。

 

ばらずしは良いですね。

各家庭で使っている材料が異なることもあって面白いですし、

地域の方から教えてもらうというのも良い。

おばあちゃんのばらずしが美味しいとのことだけど、

ばらずしを作られる時に"まつぶた"など伝統的な道具を

使っていらっしゃるのかな?

 

――はい、お家にまつぶた(木製の浅い木箱)などの伝統的な道具があります!

特に高齢の方などは、ご家庭にそういった道具を持っていらっしゃることが

多いのではないか、と思うので、もしばらずしの作り方を教えてくださる

おばあさんなどが地域にいらっしゃいましたら、教えていただきたいです!

 

もちろんいらっしゃると思いますよ。

うちによく来てくださる高齢の方にも聞いてみますね。

そういえば、この前来てくださったおばあさんは、

こんにゃくを手作りされた、ということでここに持ってこられました。

家庭で手作りで色々なものを作っている方はいらっしゃると思います。

 

――本当ですか!? ばらずしに使う材料はできるだけ、

この地域でとれたお野菜などを使用したいと考えているので、

農家さんなどとお繋ぎいただけるとありがたいです。


もちろん、できる限り協力させてもらいますよ。

とくにここ、河辺区は大きな水田があって稲作が中心に行われています。

とくにお米作りについては面白いエピソードなどが

お聞きできると思いますよ。

みなさんの想いを伝えてもらったら、

お米なども提供していただけると思います。

 

――それはとてもありがたいです。

河辺区が農業を基軸にしたまちづくりを目指されているという

お話しも伺ったので、農家さんと地域の方が交流できる機会としても

このイベントを実施できたら、と思っています。

 

それはこちらとしてもありがたいよ。

中々生産者の想いや農業の楽しさ、

厳しさを知ってもらえる機会は少ないからね。


愛子ちゃんチーム・区長さん①.jpg

 

――またもう一つやってみたいのは、音楽のミニコンサートです。

今回、対象を親子向けにしているため、

子どもも大人も楽しめる内容として

親しみのある音楽の演奏を聴いてもらう時間を作ると

面白いかもしれない、と思いました。

私は吹奏楽部に所属しているので、

他の高校生にも協力してもらえるかもしれません。

 

音楽は良いですね!

河辺区にも実はジャズを中心に音楽をされている方がいらっしゃって、

時々コンサートを実施していたのですが、コロナ渦の状況下、

ここ2年は開催できておりません。

もしみなさんが良ければ、地域の音楽をしている方と

コラボレーションしてみるのも面白いのではないでしょうか。

 

――そうなんですね! 

それはぜひとも一緒に出来ないか相談してみたいです。

 

私としては、そのイベントが

「ただ一緒に楽しい時間を過ごしました」というものではなく、

その後に地域の中に新たな交流関係が継続していくためのきっかけと

なってほしいと考えています。

ですので、今までは交流する機会の無かったグループ同士のコラボなどが

生まれると面白いですね。

その組み合わせなどをぜひとも皆さんにアイディアを出していただきたい。

 

――なるほど。他にはどんな地域の方がいらっしゃるのですか?

 

色々な方がいらっしゃいますよ()

手先が器用な方々の集まりは、

時々ハンドメイドのワークショップなども開催されています。

そういった方々に協力してもらって物作りを体験してもらう時間を作る、

といったこともできるかもしれません。

また、歴史や文化に詳しい方達のグループ「探訪会」というのもあります。

地域の文化のことなどを知ってもらうには、

その方たちに協力をお願いしてみるのも良いかもしれませんね。

 

――色んな方たちがいらっしゃるんですね!!

今お話しを聞かせていただいて思いついたのが、

歴史に詳しい方に来ていただいて戦時中の河辺区の様子について

お話をお聞かせいただくのも良いかもしれない、と思いました。

ここは兵士の訓練のための飛行場があったとも聞いております。

今後も受け継がれるべき、忘れて欲しくない歴史についても

学べる時間があっても良さそうです!

 

確かにそうですね。とても良いアイディアだと思いますよ。

イベントがどんな内容になるのか、楽しみにしていますね!

愛子ちゃんチーム・区長さん②.jpg

****

 

こうして最初の区長さんとの話し合いは、終始和やかな様子で幕を閉じた。

高校生達が出したアイディアに対して、随時「地域にこんな人がいるよ!」

「それであれば、こういう風にすればもっと面白くなるかも知れない」といったような

助言をしてくださり、彼女達もアイディアが固まってきたようだ。

 

イベントは今年の3月中に実施することを目標にこれからアイディアを具体的な

企画書に落とし込んでいくことになった。

 

地域、とくに大宮町河辺区に新しい風を吹かすため、

どんな企画を高校生達が考えてくれるのかワクワクする。

このプロジェクトがどのようなゴールを迎えるのか、引き続き見守っていきたい。

 

それでは次回記事をお楽しみに。

 

 

 

 
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