芳しいキンモクセイの香りに秋の深まりを感じる今日この頃です。秋は爽やかで何をするにもふさわしい季節ですので「○○の秋」と例えられることも多いですが、今回は「読書の秋」についてお話しします。
毎年10月27日から11月9日までの2週間、読書週間が設定されています。1945年の終戦から2年後の1947年、戦争の傷跡が各地に残っていた頃、「読書の力によって、平和な文化国家を創ろう」という決意をもとに始められたそうです。
私は小学生の頃は、偉人の伝記物語や椋鳩十の動物小説を、中学生の頃は星新一のSF小説を夢中になって読んだことを思い出します。
本校の子どもたちはよく本を読んでいます。登校後や休み時間にも読書をしている子どもがいます。また、本校の図書室は常に開いているので好きなときに訪れることができます。
多くの人を引きつける「本の魅力」とはなんでしょうか。
まず一つ目は、「新しい世界との出会い」です。本は、自分の知らないさまざまなことを登場人物や出来事を通して教えてくれます。本を読み進めていくことで知らず知らずのうちに、登場人物の誰かになりかわって、出来事を体験しながら学んでいます。
二つ目は、「自分の世界をつくれること」です。物語のなどの場合、自分が登場人物の誰かになったかのように、本の世界に引きずり込まれていることがあります。これは、文字で描かれているお話を読み手の想像力によって、絵、写真、動画として描き直しているのでしょう。
テレビやゲームでは、映像や音などたくさんの情報が私たちの頭の中に入ってきます。だから、あえて想像力を働かせる必要はありません。しかし、物語などでは、入ってくる情報が限られるため、頭の中の感性が目まぐるしく働き、「自分なりに感じた本の世界」をつくり始めるのだと思います。これこそが、読書の一番大きな魅力ではないでしょうか。
他にも深い感動を覚えたり、自分自身を見つめ直すきっかけになったりする魅力が本にはあります。
この読書週間を機に、子どもも大人も素敵な本と出会い、自分なりの感じ方で「本の魅力」を味わっていただきたいと思います。
令和5年度も折り返しを過ぎました。上林小・中一貫校にこれまでと変わらぬご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。
校長 北村 宏司
教職員一同