答辞
吹く風にまだ冷たさの残る中、降り注ぐ暖かな陽が、春の訪れを告げる季節となりました。その眩い光を受けて、校庭の花々の蕾が美しく花開く、今日の善き日に、このような素晴らしい卒業式を迎えられることを、心から嬉しく思います。挙行くださいました先生方、在校生の皆さん、ご多忙の中ご臨席賜りましたご来賓の皆様、保護者の皆様に私たち卒業生一同、厚く御礼申し上げます。
この式を迎えるにあたって、懐かしく思い起こされるのは3年前の入学式です。私たちはこの体育館で真新しい制服を身に纏い、当時はマスクを着用しての式となりました。そのマスクの下には目一杯の期待に満ちた笑顔もあれば、憧れの桂高校生となった自覚から、少し緊張した面持ちもあり、さまざまな感情を胸に秘めて高校生活をスタートさせました。
慣れない高校生活、新しく始まった高校の勉強、まだ打ち解けきれていなかった友達。不安を抱える中まず訪れたのは、新しいクラスメイトとの遠足でした。そこでの、BBQやスケートを通して、私たちは新しい仲間たちと心を通わせ合うことができ、先に続く学校生活に一筋の光が見えました。
専門学科では初めての実習。真っ白な長靴に名前を書き、実習服がこれから泥だらけになるなんて想像もせず、新品を汚すまいとぎこちなく手を動かしていました。毎年恒例の種から育てるトウモロコシは、わからないこと、出来ないことばかりで、先生や仲間に沢山助けられました。そして、台風や猛暑にも負けずに育つ植物の姿から、その強さと自然の偉大さを学びました。地域での野菜販売では、「桂高校の野菜は新鮮で美味しい」「販売している姿に元気をもらえる」と温かい言葉をいただき、実習での励みになりました。
すぐにやってきた文化祭準備。中学時代はコロナ禍により規模を縮小して行われていた文化祭でしたが、高校では、私たちにとって初めての大きな文化祭を迎えることができました。準備期間は毎日が新鮮で、一人一人が役割を自覚し、話し合いを重ねながら、一致団結して、より良いパフォーマンスを完成させることができました。発表を終えた後の、達成感と満足感に包まれたあの瞬間は、今でもはっきりと覚えています。
2年生となり、部活動では後輩を迎え、先輩に代わって私たちが後輩を導く立場となりました。一人一人が先輩としての責任と自覚を胸に、大会に向けて日々、努力を積み重ねました。また、学業においては、難しくなる授業に戸惑いながらも、仲間たちと教え合い、先生方に支えていただいて一歩ずつ前へ進んでいきました。
2年生で本格的に始まった探求活動。専門学科のTAFSでは、三年生の先輩方と初めて活動を共にし、その技術や知識の高さに圧倒されました。しかし先輩方は、そんな私たちに寄り添い、いつも優しく丁寧に教えてくださいました。言葉でのアドバイスだけではありません。大会やコンテストの場では堂々と大勢の前で発言し、迷いなく行動する先輩方の姿から、多くのことを学びました。私たちが困っているときには、何度でも駆けつけて助けてくださる。その姿は強く、そして温かく、私たちの目標となりました。
待ちに待った研修旅行は、3泊4日で北海道へ行きました。人生で初めての飛行機はとても不安でしたが、その心配を忘れてしまうほど飛行機からの眺めは美しかったです。慣れないスキーにも仲間と挑戦すると、とても楽しく、転んで雪まみれになったことさえ良い思い出になりました。非日常的な空間で友達と過ごした時間はとても貴重で、帰るのが寂しくなるほど楽しいひとときでした。
迎えた三度目の春。3年生となった私たちは、部活動や課題研究など、それぞれが力を注いできたさまざまな挑戦の節目を迎えました。最後の大会や発表、本番の舞台に立ち、これまで積み重ねてきた努力を出し切る時でもありました。思い通りの結果だった人も、悔しさが残った人もいました。それでも、一人ひとりが自分の目標に向かって全力で取り組み、最後までやり切ったという経験は、確かな自信として心に残っています。
文化祭では、体育館のステージを使った本格的な劇に挑戦しました。脚本づくりから小道具。宣伝板の作成で、すべてが大変な作業でしたが、夏休みに学校に集まって練習を重ねた日々は、クラスメイトとの絆をいっそう深めてくれました。本番ではクラス全員の力が一つになり、言葉では言い尽くせないほどの達成感を味わうことができました。
秋には、最後の体育祭が行われました。短い練習期間ではありましたが、1年間で培ったチームワークを発揮し、どの競技にも全力で取り組むことができました。クラス対抗リレーでは、緊張の中でバトンがつながるたびに胸が高鳴り、その一体感は多くの人を魅了しました。結果発表では、勝敗を越えて互いを讃え合う姿があり、スポーツを通して私たちはより強く結ばれました。
専門学科では、人生最後の農業クラブの大会。夢の舞台に立ち、良い結果で終えられた人もいれば、思うようにいかず、涙した人もいました。しかし、私達はこの2年間のTAFSで、結果以上に大切なものを得ることができました。仲間と奮闘して、一生懸命に取り組んだ日々には、私たちにしか分からない喜びがあります。思い返せば、辛いこともたくさんありました。それでも、チームメイトと一緒だと何でもできる気がして、沢山挑戦して沢山失敗したこと。真っ暗な帰り道を、明るくするほど笑い合ったこと。全てが完璧ではありませんでしたが大切な仲間と過ごした全ての日々が、かけがえのない思い出になりました。
3年生の大きな行事も終わり、本格的にそれぞれの進路に向けて努力する時期となりました。進学、就職など一人一人の目標は違えど、私たちは決して1人ではなく、ともに戦い、応援し合い、喜びや悔しさを分かち合いながら、それぞれの大きな壁に向き合ってきました。何度も心が折れそうになりながら走り続けているうちに、気がつけば季節は巡り、今日の卒業式を迎えることになりました。振り返ってみると、長かったようで、あっという間でもあった3年間です。そしてこの3年間の中には数えきれない感謝が詰まっています。
右も左も分からなかった私たちを温かく導いてくださった先輩方。部活動や行事、日常の中で見せてくださった背中は、私たちの目標であり、進むべき道を示してくださいました。先輩方から学んだ努力する姿勢や仲間を思う心は、今も私たちの中に生き続けています。
また、学校生活をともに過ごした後輩たち。行事や部活動を通して、時には頼りないこともあった私たちをいつも支えて、ついてきてくれた。私たちにとって大切で心強い存在でした。刺激を受け合った時間は、私たちにとって大きな力となりました。皆さんの頼もしい姿を見るたびに、これからの桂高校がさらに輝いていくのだと、確信を持つことができます。本当にありがとう。
そして、どんな時も親身になり、私たちを支えてくださった先生方。私たちは、日々の学習だけでなく、進路の相談や部活動の指導など、さまざまな場面で大変お世話になりました。
先生はいつも私たち一人一人を第一に考え、どんな意見も受け止めてくださり、可能性を大きく広げてくださいました。挑戦する背中をそっと押してくれた先生の存在があったからこそ、ここまで頑張ることができました。いつの日か、成長した私たちの姿をお見せできるよう、それぞれの道で努力を重ねていきます。本当にありがとうございました。
なにより、生まれてから今日までの約 18年という長い年月の間、常に私たちのそばで見守っていて、時に叱り、支え続けてくれた家族。私たちは、酷い言葉をぶつけたり、言い返したりしてしまうことも多々ありました。それでも、どんな時も真剣に向き合ってくれて、本当にありがとう。
部活や大会の応援にきてくれたこと。毎日朝早くから起きてお弁当を作ってくれたこと。雨の日に送り迎えをしてくれたこと。挙げればきりがありませんが、私たちが家族から受けた一つ一つの愛が私たちを育て、形作ってくれています。どれだけ感謝を並べても、伝え切ることはできません。これからは私たちが貰った愛以上の恩を返していく番です。この家族に生まれてとても幸せです。18年間、本当にありがとう。
最後に、桂高校に入学してから今日までたくさんの時間を共に重ねてきた3年生の仲間たち。専門学科では、3年間ずっと同じクラスで共に成長しながらここまで来ました。今となれば笑い話ですが、喧嘩や揉め事もありましたね。それでも、最後の実習で汚れが落ちなくなった長靴や実習服を見た時、3年間見てきた皆んなの優しさや笑顔が思い浮かびました。もう戻れないと気づいた瞬間、そのすべてがどれほど大切だったのかを強く実感します。互いに寄り添い、支え合えた日々があったからこそ、勇気が生まれ、高い壁であろうと乗り越えることができました。
そして、今この瞬間も、それぞれの場所で、まだ挑戦の途中にいる仲間がいます。ここまでともに歩んできた私たちは、その努力を誰よりも知っています。このような仲間を持てたことに心から誇りを感じています。3 年間楽しくて、かけがえのない日常をありがとう。それぞれの道に進んだとしても、一生の仲間でいてください。またどこかで会いましょう。
私たちはこれから思い通りにいかない日や、前を向けない時もあるでしょう。けれども、どんなに困難なことであっても、この3年間で受け取った優しさが、私たちを支えてくれます。それぞれの道で、時には仲間と励まし合いながら、時には教えてもらいながら、夢に向かって進み続けます。
私たちの桂高校での濃密な3年間は終わりますが、人生はこれからも続きます。これからも人とのつながりを大切に、人生を自分らしい色で突き進んでいきます。
最後になりましたが、この学校で出会った仲間、導いてくださった先生方、支えてくれた家族、そして、私たちに関わってくださったすべての方々へ、笑顔でこの卒業式を迎えられた感謝と、これからの人生への決意と希望を込めて、答辞とさせていただきます。
令和8年2月27日
3年生代表 3年8組 藪木陽平太
3年1組 栃木美空