名誉館長就任式が8/8に行われました

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府立丹後郷土資料館「名誉館長」に京都国立博物館名誉館長
佐々木丞平氏が就任~丹後郷土資料館リニューアル整備が始動~

府立丹後郷土資料館「名誉館長」委嘱式
令和4年8月8日(月) 於 京都府庁旧本館1階 旧議場

佐々木名誉館長ご挨拶
府立丹後郷土資料館、あえて、ふるさとミュージアムと呼ばせて頂きます。
その名誉館長という職を承ることになりました佐々木でございます。
世界のミュージアムの役割は、大きく変わりつつあります。環境と経済の調和が求められ、世の中のため、地域社会の発展のための貢献へ、地域社会のハブになることがこれからのミュージアムの大きな役割であります。
海の京都には、自然遺産、あるいは文化遺産、文化施設、伝統産業等々、さまざまな遺産が点在しております。地域社会の発展は、これらがいかに連携をして、好循環、善循環の大きな動きを創るかにかかっております。
違った歩みをするものが、連携することは、実は難しいことではありますが、地域社会の発展という大きな目的のためには、手をつなぐ必要があります。その連携のハブとして、これからのミュージアムは機能していかなければならないと思います。
ミュージアムは、ものを集め、保存をし、展示をするのが、本来の仕事ではありますが、これからは、ミュージアムの概念を大きく変えていく意識改革が必要となってきます。情報の収集と発信は、これからのこのミュージアムに不可欠な機能であり、宮津、天橋立を中心とした海の京都の情報センター的な役割、地域連携のコア施設に生まれ変わる必要があります。
大変なことではありますが、目標は大きく、こうした動きの達成のために、少しでもお手伝いできればと思っております。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。  

西脇知事ご挨拶
まずは、本日、佐々木丞平様には、府立丹後郷土資料館の名誉館長に御就任いただきまして、心から感謝申し上げます。
まず、この資料館は、国宝の雪舟「天橋立図」にも描かれております丹後国分寺があったところにございます。
丹後国分寺は、時の聖武天皇が「天平のパンデミック」とも言われております天然痘の大流行を受けまして、平和な世が来るようにと願い発布された「国分寺建立の詔」によって、全国に創建されたものでありまして、天橋立を一望できる絶好の地に建てられました。
私は、この地にございます丹後郷土資料館を、新型コロナウイルス感染症の克服の想いも込め、地元も期待されている丹後の歴史文化探訪・観光の拠点としたい、そういうコンセプトで、再整備を進めたい、その思いで、佐々木様に、名誉館長にご就任を頂きました。
佐々木様の今までの御経歴、実績が、ほんとにすごいものがございますし、ただいま、ご挨拶を聞いていただいたと思いますが、まさに、このミュージアムのあり方についても、さまざまなお考えをお持ちでございます。意識改革が必要だという、基本的な考えもお持ちでございます。
ハード・ソフト両面から、お力添えを賜りたいと思っております。まず、ハード面でいえば、国宝の雪舟「天橋立図」のような本物の文化資料を常時展示できる「公開承認施設」化というハードルがございますが、それに向けての展示・収蔵のノウハウについても、ご教示をいただきたいと思います。
ソフト面では、さきほどのごあいさつのとおりでございます。もともと資料館ですから、地域の資料を発掘し、収集し、それを研究したり、展示することはもちろんですが、やはりこれから博物館のあり方として、例えば、学芸員の方の教育、あと、全国、世界にありますさまざまな関係者とのネットワーク、これも佐々木様の今までもっておられるネットワークなどのノウハウ、まさに、施設運営を刷新していただきたいという思いもございまして、ハード、ソフト両面からのお力添えを期待するものでございます。
結びになりますが、目標は大きくいっていただいたので、まさにこれから、この資料館が丹後地域はもちろんですが、全国に誇れるような施設となるよう、期待を致しまして、私の挨拶とさせていただきます。

佐々木館長コメント
○丹後郷土資料館の印象、これから方向性について
・歴史の重みを感じます。国分寺を中心とした景観、雪舟、そのような歴史的な遺産だけではなく、丹後ちりめん等の伝統産業も重要です。また、この地域の伝統芸能もきちんと、みなさんに取り組んでいただいて、地域の元気を創出していただくことも必要です。
・ミュージアムは、このような文化的なものの中心となるため、いろいろな機能をもち、そのハブになって、関連のあるものがたがいに手をつないでいく。その役割を担うことが、一番重要で、それがこれからの大きな方向性になるのだろうと思います。
・郷土資料館は、地域をどのように活性化するか。地域にどのように還元するかが重要となる。また、地域の活性化がなければ、京都全体の活性化もない。それらが進むと、また日本の文化都市の中心になっていく。
・いろんな視点からみても、ミュージアムの役割は、ものすごく大きいと思っています。

○経歴、これからの博物館の役割について
・大学では、日本の伝統的な美術絵画の歴史の研究者でしたが、昭和45年に京都府の文化財保護課に、大学院を出て初めて就職をしました。文化行政の仕事に足を踏み入れるうちに、美術の研究をするには、その作品が文化財として残ってきちんと保存されないと研究に成りたたないことを意識し、自分の身近な学問研究のためには、文化財を保護することが大前提という思いになりました。
・ただ、やはり文化財は、一般の方が文化財に対して関心をもってもらわないと、日本の文化財や伝統文化は守れないわけです。ですから、一般の人に、どうしたら文化財に関心をもってもらえるだろうかということを考えるようになって、博物館に足を踏み入れるようになりました。
・そういうことを考えますと、博物館というのが、ものを収集して、保存して、展示して、多くの人に見ていただく。たくさんの人に関心をもっていただく。みなさんが関心をもってくれないと守れない。関心をもたないと捨てられてしまいかねません。関心をもってもらうことが、保護のためには、一番重要と思います。
・そのためには、どうしていくか。博物館の役割というのは、いろいろなものを研究し、守っていかなければいけないのだけれども、それとともに、いまの時代、他の領域の人たちと手をつなぐ場所としての役割が必要と考えます。
・博物館の役割というのは、つまりハブ、ますます大きく複雑になっていきます。それは、それなりの体制を整えていく必要がありますが、丹後郷土資料館のリニューアルを契機にして、博物館の新しいあり方が、たぶん試されるのだろうと思います。それがうまくいけば、博物館と地域連携、地域社会の中での博物館の役割という、新しいテーマのモデルケースになっていく可能性がある。私はそうしたモデルテースを創出するためのお手伝いをしたいと思っております。

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