学校生活School Life

忙しい夏休みだって、"探究"楽しみながら頑張るんです!~特産物を使ったスイーツを作りたい!!~

 

高校生って、本当に毎日忙しい。

朝からみっちり授業を受けて、とんでもない量の課題をこなし、

部活にも取り組んで、習い事など学校外の社会活動などに勤しんでいる

高校生達も多い。


それぞれのベクトルで、懸命に努力する高校生たちの姿に

私も日々励まされている訳であります。


そして驚くべき事に、夏休みでさえも忙しい。

いや、夏休みこそ、普段の授業がないからこそ、より忙しいのだろう。

本当に高校生達の忙しさには、毎度脱帽します。


そんな中でも、探究に時間を割き、

地域に出てフィールドワークに取組む生徒たちがたくさんいました。

これからの記事は、夏休み中に行った探究活動に関して、

できる限り紹介していきたいと考えています!

どうぞゆるりとお付き合いいただければ幸いです\(^o^)/


それでは、1つめのプロジェクトから。


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◎製菓志望の高校生。丹後の食材を使った美味しいスイーツを作りたい!


お菓子作りが好きで、将来、製菓の世界に入ることを夢見ている高校生。


10月に開催される丹後万博にて、京丹後の特産品を使ったお菓子を

販売したい、という思いを胸に進路探究も兼ねて、峰山にある

洋菓子店「パティスリーK」さんを訪ねました。

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お話しを伺ったのは、オーナーの近藤さん。

実は近藤さん、元々製菓とは全く異なる業界に就職していましたが、

お菓子作りがしたい、という強い想いから会社を辞めて、

洋菓子店に飛び込み、修行を経て現在独立しているのです。


ここでお気づきでしょうか。

製菓の道に進む場合、必ずしも専門学校に入らなくても

お菓子職人を目指せる、ということを。


2年以上実践経験を踏むと、パティシエになるための試験を

受験する機会が与えられる。


近藤さんは、とにかく実戦経験を積むために2つのお店を掛け持ち

して働き、専門的な知識は学校へは行かずして、独学で

学んだといいます。


そんな近藤さんだからこそ、徹底して現場主義者。

製菓の世界は、なんと言っても実践の経験がものをいう。

どれだけ学校で専門的なことを学んだからといって、

その知識は現場では、ほとんど役に立たない。


とにかく手を沢山動かして、たくさん失敗して、

「これだ!!」と納得のいくものに仕上がるまで作り続ける。

そうすることで、自分の中の引き出しが豊かになって、

新しいお菓子のアイディアも生まれてくると言う。

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近藤さんは、そんなお話しをした後で、こうも付け足します。


「勿論、あくまでもこれは僕の考えだから、学校に行くことが

間違った選択な訳ではない。学校に行くメリットだってあるからね」


学校に行けば、お菓子の世界の専門用語などを一通り

学べるので、実践の場に立ったときも指示された時に何を

すればいいのか、すぐ理解できるだろう、ということ。


また、同じ志を持った人たちが集まるので、

一生の同志になるような出会いがある、ということ。


反面で、近藤さんの言うように実践経験は、ほとんど積めない。

自分で手を動かす努力ができないと、学校を卒業した後に

厳しい現実を突きつけられ、結局やめてしまう人が後を絶たないという。


結局は、学校に行く・行かない、どちらにせよ、

自分の努力次第。

「何としてでもこの世界で生きていくぞ」という強い意志と、

「やっぱりお菓子作りが好きだ」という情熱が鍵になる。


"自分は何がしたいのか"

を常に自問自答しながら、その意思に従ってやるべき事をこなしていくことが、

遠回りなようでいて、一番の近道なんだ、と近藤さんが教えてくださいました。

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次にアドバイスをいただいたのは、お菓子作りについて。

彼女は京丹後産のさつまいもを使ってマカロンを作りたい、と

考えています。


マカロンは、プロでも作るのが難しいとされるスイーツの1つ。

近藤さんは、これまでご自身で作ってきたマカロンの写真や、

録り溜めているているマカロンのオリジナルレシピなどを

私達に見せながら、丁寧にコツについてお話ししてくださいました。


その上で、イベント向けに大量に作る商品としては

マカロンが不向きな点も説明してくださり、野菜やフルーツを

使ったスイーツとして、他に作りやすく、イベント向きなものに

ついてもアドバイスをしてくださいました。


今回伺ったお話の内容を再度吟味して、最終的にどんなものを

作るのかについては、これから検討していくことになりそうです。


最後に製菓業界を目指す高校生に向けて、近藤さんがとても熱い

メッセージを届けてくださいました!!


「これはどんなことにも言えますが、まずはつべこべ言わず

手を動かしましょう。向き・不向きはそこから分かります。

やってみて楽しい、ワクワクする、と感じるなら続ければ良い。

そうでなかったら、辞めてもいい。

また新しい挑戦をどんどんしてください。

そして、失敗をたくさんしてください。

それを反省に終わらすのではなく、きちんと振り返りをした後に

"次どうするのか"まできちんと具体的に出して、取り組むこと。

嬉しいことも辛く苦しいこともたくさん経験することで、

人は成長できます。


あとは、たくさんのものを見て吸収することも大切です。

丹後のお店のみならず、どこか他地域へ出かける際には、

できるだけ気になるお店に足を運んで、しっかり観察するように

心がけてみてください。


空間の使い方、サービスの内容、接客する際の態度、スイーツの種類、

風味...。学べる材料は、私達の周りに豊富にあります。

百聞は一見にしかず。まずは自分の足で現場に出向いて、その場所の

空気感を五感で感じとってみてくださいね!」


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今回、近藤さんにお話を聞かせていただいて感じたことは、

やっぱり、何かの分野を突き詰めていくためには人生

ずっと学び続けなければいけない、ということ。


そんなこと当然だよ、とみんな頭では分かっていると思う。

だけど、その当然のことをただ息をするように続けることは

とても難しい。


例えばクッキー。

代表的な原材料は、卵、小麦粉、バター。

ですがこれ、メーカーが違えば味は微妙に異なるし、

産地によっても違うし、もちろん原材料の割合が異なれば、

工程が同じでも全く別物のクッキーに仕上がる。


近藤さんは、同じクッキーでも園材料のメーカー別に味を比較したり、

作る工程の中で、混ぜる順番を入れ替えたり、割合を変えたり、と

何度も試作を繰り返しながら、自分のベストな味のものを見極めているというのだ。



時代も変われば、消費者の行動や価値観も変化する。

正解はなく、どこまでいってもその時のベストを尽くしていくしかない。


それでも、その積みかさねた経験は間違いなくその人の財産になっていて、

新しいステップへの糧になる。


決して簡単な事では無いけれど、高校生たちにはその姿勢から

自分に活かせそうなやり方を見出してもらいたい、と思います。





 
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