学校生活School Life

科学の教室(1)「大阪大学いちょう祭を探検!」

 

 10連休中盤の52()に「科学の教室」の企画として大阪大学いちょう祭の見学に行きました。午前中は吹田キャンパスで工学系研究室を見学するグループと、世界中の人々の文化や暮らしを学べる国立民族学博物館を見学するグループに分かれて見学。午後は文系理系の両方の学部がある豊中キャンパスを全員で見学しました。午前と午後を合わせて約5時間、生徒達はパンフレットを片手に広いキャンパスの中を歩き回り、自分の興味のある研究室を次々に訪問し、実験装置を見たり研究の説明を聞いたりして、大学とそこで行われている研究の世界に触れることができました。

感想(1年女子)
 日本人のうち約半分がかかってしまい、3人に一人は亡くなってしまう「がん」は、今のところ治す治療法がまだ完全にはないけど、レーザー治療の研究や実験から、どんどん進化してきていて、「近いうちにがん細胞だけを取り出す治療法が確立できる」という話に一番驚きました。大学で行われている研究は、原子力発電の害を少しでも軽くするものや、今までにはない治療法を考え出すものなど、将来に必要になってくることや私たちの未来に役立つことができる研究などが多くて、大学は学びながら社会に貢献できる場所だと分かりました。

感想(1年女子)
 大学内は知らないことばかりでとても勉強になりました。午前中は研究室を中心に見て回って、どの研究室でも中学や高校で学習することのほんの一部をとても深く専門的に調べたり研究、実験をしていて、本当に今の日本があるのはこの方たちのおかげなんだろうなと思いました。とくに印象に残ったのは目の見えない人のための機械を作る研究で、光の点を集めて見えるようにするというものでした。これが実現して世界で当たり前のように使われるようになれば、本当にたくさんの人が救われるんだろうなと思いました。

感想(1年女子)

 今回見学させていただき大学の雰囲気や学生同士の交流などを間近に見ることで将来のイメージを持つことができました。それは「自分のしたいことをするために今決める、今勉強する。」ということです。何でも早めに明確にすることで、本当に自分のしたいこと、自分の将来の仕事について、可能性を広げられるんだと思いました。また大学の人に「苦手ならまだ克服できるけど、嫌いっていうのは勉強する上で一番あかんことなんだよなあ」と言われたことがすごく印象に残っています。自分が苦手な教科がある中で、「努力をせずできなくてもういやだ、嫌い」と思うより、苦手な教科でもがんばることで、「分かった!」という経験をし、少しでも好きになれた人が、一年生の間や、自分の決めた進路に向かって頑張っていけるんだなと感じました。

感想(2年男子)

 印象に残ったのは物質を圧縮して新素材を作り出す研究と量子を使った暗号の研究。物質を強く圧縮すると原子同士の距離が近づいて金属のようになるそうで、硬度や融点が高くなり金属光沢も生まれるそうだ。さらに研究を進めれば核融合炉の材料になりうるという。夢が広がった。この分野に進むのもいいなと思った。

感想(2年男子)
 吹田キャンパスでは機械学習の研究室を見学した。機械学習ではAIなどに多くのデータを取り込ませ、これを使って人の快不快を測り照明を調整して人が住みやすい環境を作ったり、SNSなどからつぶやきのデータなどを拾ってきて、AI自体が呼びかけに応えられるようにするような研究を行っていた。この研究は将来もっと人が暮らしやすくなるために役立てると感じた。またSNSでは変なデータが取れやすいが、その修正を人がやっていると聞き、まだまだ発展途上の技術なのだと思った。豊中キャンパスでは文系学部の史料の展示を見た。世界最古の木造建築物である法隆寺と同じ位の年代の瓦、江戸時代の通貨「寛永通宝」、モンテスキューの「法の精神」など貴重なものを見ることができた。

 

人文科学の教室(8)国際関係学

 

3月13日(水)の放課後に、本校英語科教諭の武智美和子先生、本校地歴・公民科教諭の百々貴紀先生に、「移民問題を議論する」というタイトルで講演をしていただきました。
 今回は、「あなたは移民を受け入れますか」という答えのない問を参加者全員で議論しました。受入賛成派・慎重派それぞれのデータや根拠に触れ、最初に考えていた自分なりの答えが、グラグラ揺らいでいく。知識は深くなっているのに、ますます答えが出にくくなるという体験をすることができました。講演では、複数の映画のシーンをもとに、移民の受入が一家族にどのような影響を及ぼすのかを具体的に考えました。また、5人の教員による朗読劇を通じて、移民の受入に関する家族の一幕を垣間見、何とも言い難い、単純明解に判断できない事象が世の中にあるということを体験しました。

生徒の感想
・移民の人たちには、その人たちの事情があるように、受け入れる側にも様々な考えかたがあるから、どちらにしても軽々しく答えてはいけないと思いました。

・命がけできた難民を助けたいという思いは山々だけど、今の日本にその人々をすぐに助けられる施設や制度が完璧にあるわけではないので、不幸にしてしまうなら受け入れない方がいいのかなと思ったり、本当に迷いました。

・私たちは今、たまたま日本に生まれ安全に暮らしているけど、難民の人もたまたま生まれた国で殺される運命というのはおかしい。逆なら私たちも必死に助けを求めるはずだ。ならば、今の私たちも何か微力でも救いの手をさしのべてもいいのではないか。その努力はすべきではないかと思う。

担当者より
「人間とは何か、なぜ生きるのか」の問を、様々なジャンルの学問分野の講義やディスカッションを通じて考えてきた2年間でした。答えが見つかった人も、そうでない人も、このような知的体験を楽しみ、心を豊かにしてくれたらうれしいです。

英語科 武智美和子

 高校の学習には、「一定」の答えがあります。しかし、世の中を広く見たり、実際に社会に出ると、「答えのない問」の方が圧倒的に多いことに気が付きます。「答えが出ないんだから、やっても意味がない、考える必要もない」のでしょうか。

 世界には、80万人の難民がいます。どこかの国が受け入れれば、よいのかもしれませんが、その国にも国民が住んでいて、独自の文化を持っているのです。「難民の保護」と「自国民の安全」、我々はどちらを優先すればよいのでしょうか。政治面では?経済面では?文化面では?と区分していくといよいよ複雑になります。でも、この問題は我々の目前にまで迫っており、見て見ぬふりはできません。明確な答えを出せる人は少ないと思います。先生たちも一緒です。だからこそ、「知りたいな~」、「考えたいな~」と思いませんか。その好奇心から、「映画」を見る、「本」を読む、「インターネット」で調べるなど行動力に移せた人は、もう「人文科学」の一員です。

 このような好奇心や行動力をかきたてたいという一心で、2年間「人文科学の教室」を進めてきました。関心を持ってくれた生徒のみなさん、ありがとうございました。
 

地歴公民科 百々貴紀
 

人文科学の教室(7)『日本文学』

 

 2月8日(金)の放課後に、本校国語科教諭の松本智栄美先生に、「日本人の心のルーツに迫る ~古事記ともののけ姫考~」というタイトルで講演をしていただきました。日本人らしい考え方や行動パターン、現代を生きる我々の心がどんなルーツを持っているかを古事記を読むことで考える授業です。講義の最後に映画「もののけ姫」の最初のシーンを見ました。古事記を学ぶことでもののけ姫で描かれた世界を理解することができ、古典と映画の両方に新たな興味を持つことができました。

感想(3年男子)
 日本文学から本当に多くのことを学べることに驚きました。遠い昔のことのように見えてかなりいろんなことが現代に生きており、今の世の中や自分を見つめなおす良い機会になったと思います。もののけ姫も、今まではただ見て面白いなと思っているだけでしたが、今回の講演を聞いてアニミズムのような様々な考えが入っていることに気付いて、改めてまた見たいなと思いました。さらに登場人物のエボシ御前が近代や合理主義のようなものを象徴していることに気づき、メインパーソンのアシタカと対立する悪役のような立ち位置だけでは終わらないことにも驚きました。

 

科学の教室(7)『惑星科学・気象学』

 

 2月1日(金)の放課後に、京都大学大学院理学研究科教授の余田成男先生に来ていただき、「気候変動と極端気象 ~観測的事実と数値モデル実験~」というテーマで講演をしていただきました。地球が温暖化している観測的事実、大気による温室効果の仕組み、大気と海、氷や植生などが作り出す地球の気候システム、そしてスーパーコンピュータを使った未来の気候予測についてお話をしていただきました。地球の温度を人工的に下げる方法の研究や、気候モデルを使った膨大な数値計算で天気予報ができることなど、興味深いお話もたくさん聞くことができました。


感想(1年男子)
 温室効果がどのように作用しているのか知ることができた。フライパンを使った実験では赤外線の伝わり方を体験できた。温室効果にはまだ分からないことがあったり、水蒸気の増加が気温上昇の理由の一つでもあることに驚いた。自分一人の努力で環境にもたらす変化は微々たるものだが、自分で出来ることを考え、正しいことを実行できるような知識と行動力をつけたいと思った。

 

科学の教室(6)『認知行動科学・スポーツ心理学』

 

 1月16日(水)の放課後に、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の久代恵介先生に来ていただき、「運動がうまくなる方法を本気で考える ~行動制御学とスポーツ心理学の視点から~ 」というタイトルで講演をしていただきました。脳・神経系と筋肉の働きで生まれる運動のしくみ、脳による運動の学習やスポーツ心理学、一流のアスリートを含めた様々な練習法などを紹介しながら、運動パフォーマンスを向上させる方法についてお話をしていただきました。「慣れたらもうトレーニングではない」、「コンフォートゾーンから抜け出す練習が大切」など、様々なヒントを頂くことができました。

感想(2年女子)
 スポーツ練習がメインの話でしたが、長い道のりを理解しやり続ける「一万時間の法則」や、向上する自分に喜びを感じながらやり続けることの大切さを学びました。また練習ではブロック練習ではなくランダム練習(多様性)が効果的であるということは、スポーツ以外でも人生を生きていく上で大切なことだと思いました。

 

人文科学の教室(6)『文化人類学への招待』

 

 1月11日(金)放課後に、本校地歴・公民科の山田義治先生から文化人類学の講義をしていただきました。地球にやってきた宇宙人が人間の行動を観察し、報告した内容が、どの人間活動を表しているかをクイズ形式でディスカッションを交えて考えることから講義が始まりました。異文化の見方に寄り添って理解することの大切さや自分たちの固定概念で異文化を理解しようとしてはいけないことを学びました。人間とは何か、よりよく生きるとは何かについて改めて考える機会となりました。

感想(1年女子)
 私達の常識では考えられないし考えてはいけないこともあるのだなと思いました。他の人のことを理解することはその人の立場に立って考えることが大切で決めつけるのではなく比較して別のとらえ方を考えていくことで正しい理解ができるのかもしれません。正しい理解ができるわけではないということを理解することも大切なのだと思いました。自分とは違った考え方を知ることができるということは未知のひろがりとか新しい可能性があるように思えて楽しいです。

 
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