子どもたちの真の成長を願って

 三月も下旬となりました。この時期の気候は三寒四温を繰り返して、植物にも動物にも春をもたらします。自然界の生き物たちは、揺れ動く気温の変化にその都度反応するのではなく、それぞれが「発育限界温度」というものを持ち、それを越す温度を「有効温度」として積算すると言われます。その積算がある一定の量を越したときに発芽や卵のふ化が始まるのです。「発育限界温度」は生き物によって違うため、春の感じ方や成長の速度が異なります。また、鳥のように昼の長さで季節を知る生き物は、地球の動きによって自らの行動を決めると言われています。このように、自然界の多くの生き物は、自分を取り巻く環境から自らの育ちの時を知り、状況に合わせた生き方や育ち方を心得ているのです。

 一方、私たち人間はどうでしょう。人間としての成長は、いかに人や社会のために役立つ力を獲得し、活かすことができるかが大切です。自分を取り巻く様々な環境を自らの学びによって実生活に活かすことが必要です。苦労や問題などの刺激が少ない環境は、「有効温度」になり得ません。これまでの体験とともに、これから出遭う苦労や困難という環境こそ、子どもたちの真の成長を促すと考えます。真の成長とはそれらを回避することではなく、自ら学び、取り組むことによって様々な困難を乗り切ることでなされるのです。上林小・中一貫校では、様々な体験や学習から、苦難を乗り越えることができる子どもたちを今後も育てていきたいと考えています。

 中学校は15日に卒業式を終え、小学校は昨日卒業式を行いました。4月には、6名の9年生が高等学校へ、6名の6年生が上林中学校へ進学します。新たなステージでも自分らしさを発揮して成長し続けてくれることを願っています。

 来年度も、今年度と同様に本校教育へのご理解とご協力をお願い申しあげ、年度終わりのご挨拶とさせていただきます。

                                                      校長 北村 宏司

教職員一同

  

タイトルとURLをコピーしました