サマーセミナー「京都大学化学研究所」

 7月28日(金)に、自然科学サマーセミナーとして、37名の生徒が宇治の京都大学化学研究所の若宮淳志先生(機能性有機材料・太陽電池)、緒方博之先生(微生物生態進化学)、中村正治先生(有機合成・分子変換)の3つの研究室を見学しました。

 若宮研究室では、「ペロブスカイト太陽電池」の研究に関する実験室を見学しました。ペロブスカイトデバイスは、太陽電池や発光素子として実用化・高性能化が期待され、若宮研究室はその最前線にあります。デバイスを作製する工程では常に不活性ガス下での作業が必須であり、そのためのグローブボックスや、各種特性を測定するための様々な装置群の見学により、実用化研究に向けて何段階ものプロセスが必要であることを実感することができました。

 緒方研究室では、主要研究分野の一つである海洋巨大ウィルス「ミミウィルス」に関する研究について見学しました。「巨大ウィルス」とは、サイズがサブμmオーダーからμmオーダーという、従来のウィルスのサイズの概念からかけ離れた大きさのウィルスであり、近年になって発見されて以降多くの研究がなされています。今回の見学では、巨大ウィルスの謎や興味深さについてお話を伺い、実際に巨大ウィルスを観察するとともに、ゲノムや仮説検証に欠かせないスーパーコンピューターも見学しました。

 中村研究室は「To Develop a Reaction, a catalyst, and a compound, which can change the world better !」をモットーに、合成化学の新規研究開発を通じて、様々な機能性材料の創出や未活用素材の活用実現に取り組んでおられます。今回は、有機合成化学の扉を開き、現代の有機合成においても重要な反応のひとつである「Grignard(グリニャール)反応」を、実験室で実際に体験しました。ベンズアルデヒドにグリニャール試薬を加え、熱の発生や指示薬の変化から反応が起こったことを確認しました。

 先生方や学生の方々に丁寧で親切な説明・案内をしていただき、充実したサマーセミナーとなりました!

(なお、本取組はSSH事業のひとつとして実施されました)