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令和2年度 学年末式辞

 

季節は巡る

 皆さん、おはようございます。令和2年度の学年末終業式を迎えることができました。私たちの社会・世界は1年前から「コロナ禍」に翻弄され続けている訳ですが、時は流れ、季節は巡るという自然の摂理・真理は、当たり前のこととして絶対のものであるということを痛感します。3月も下旬となると、すっかり春の景色・気候となってきました。校門横の桜「ソメイヨシノ」は、今年も入学式を待っては、くれそうにない感がいたします。

卒業式より

 さて、今日は年度の終わりにあたって、3つの話をします。最初に、峰山高校としては第73回目となった3月1日の卒業式についてです。延長された緊急事態宣言が解除された日に、昨年度に続き感染予防に最大限留意し、来賓はPTA会長様のみ、在校生の出席は代表4名のみという形で執り行われました。卒業生代表として答辞を務めてくれた濱野太希君が、在校生の皆さんに残してくれた言葉そして家族に対して誓った3つの約束をこの場で紹介させてもらいます。

 これからの峰山高校を担う皆さん。皆さんとは部活動や生徒会活動、峰高祭のイベントで時間を共有してきました。先輩方が私たちに残してくれた教訓や伝統を皆さんに上手く伝えることができなかったかもしれません。しかし皆さんがいてくれたお陰で少しでも頼られる、立派な先輩になろうと努力できたことは間違いありません。これからも何度も大きな壁にぶつかると思います。そんな時には先生方、友達、家族の存在を頼りにして、困難に立ち向かっていってください。

 そして家族に誓った3つの約束・・・1つ目は、自分に一番近い存在だからこそ、言えなかった「ありがとう」や「ごめんなさい」をこれからは素直に言うこと。2つ目は、よく働き、よく学び、一生懸命に生き抜いていくこと。最後3つ目は、家族からも頼ってもらえる存在になること・・・

 私が敢えて言葉を添えなくても、皆さんは卒業生・先輩の願いや思いを「心」で感ずる
ことができたものと・・・


 新3年生となる皆さん!もう、皆さんの「モデル・目標」となる先輩はいません。皆さんが、後輩にとっての峰高生の「モデル・目標」です。そして皆さんは、後輩に立ちはだかる高い高い「壁」とならなければならぬ存在です。新2年生!皆さんには、そんな3年生に負けない「勢い」を、ぜひとも持って欲しく思います。


あの日から10年

 次の話は、皆さんも御承知のとおり3月11日は、あの未曾有の被害をもたらした、東日本大震災・そして福島第一原子力発電所の事故から節目となる10年目となる日でありました。19,675人、2,525人、41,241人という数字の意味がわかりますか?最初の19,675人は、震災での関連死も含めた亡くなられた方の数。次の2,525人は、今なお行方不明の方の数です。そして最後の41,241人は、10年たった今も避難生活を続けざるを得ない方の数です。この京都府にも、約340人の方が、故郷を離れて避難生活を続けておられます。
 被災地から遠く離れた丹後、被災地の状況が見えにくいところで暮らす私たちは、現地が今も復興の途上であることを忘れがちであります。大切な家族や思い出の詰まった我が家をなくした人々にとって、1年や2年は無論のこと、10年であっても悲しみを癒やす時間としては余りに短すぎます。
 私たちは、震災や災害は、過去の出来事でなく、被災された方にとっては、間違いなく現在進行形であることを確認せねばと思います。そして今も苦しんでいる人、今も悲しんでいる人、今も支援を必要としている人がいるということを、折りに触れて、思い、考える。そうして心の中での風化に抗い、被災地・被災された方々に、心を寄せ続けることが大切であると思います。毎年訪れる3月11日は特別な日として、改めて皆さんも心や思いを寄せ続ける日としてくれることを願っています。

勇気の出る言葉

 最後の話になります。皆さんは、ヘレン・ケラーという人の名を聞いたことはありますね。彼女は乳児期の病気により一命は取り留めたものの、聴力と視力を失い、話すことさえできなくなった。その結果として両親からしつけを受けることのできない状態となり、非常にわがままに育ってしまいました。ヘレンが7歳になったときに家庭教師サリバン先生と出会い、そしてサリバン先生の献身的な働きかけにより、彼女は「生きる意味」「学ぶことの大切さ」に目覚めていきます。やがてヘレンは3つの障害を持ちながらも、生涯にわたりサリバン先生と伴に障害者の教育・福祉の発展にその身を捧げ続けました。そんなヘレン・ケラーは「奇跡の人」と称されていますね。

 彼女が残したいくつかの言葉で話を締めくくりたく思います。
「私はたった一人の人間でしかありません。しかしそれでも一人の人間です。」
「私は万能ではありません。しかしできることはあります。そして万能でないからこそ、私はできることを拒みません。」
「もしもこの世が喜びばかりなら、人は決して勇気と忍耐を学ばないでしょう。」
「世界は苦しみに溢れています。しかし、それに打ち勝つことでも溢れています。」


最後に

 それでは峰高生である皆さんのさらなる活躍、令和4年には百周年を迎える峰高が、益々、発展進化すること、そして新型コロナウイルス感染症が確実な収束に向い、当たり前の日常、当たり前の学校生活が少しでも早く戻ってくることを心より願い、令和2年度末の式辞そして私の願いといたします。


令和3年3月19日
校長 長島雅彦


 
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