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令和2年度 第2学期終業式 式辞

 

 今年は、第2次世界大戦・太平洋戦争終結から75年、阪神淡路大震災から25年という節目となる歴史的な年であり、夏には東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されていました。本来であれば皆さんは、歴史、グローバル、スポーツそして防災などの観点から、多くのことを感じる、考えることがじっくりとできる、そんな1年になるはずでした。

 今、私たちは1年前には誰一人として想像すらできなかった新型コロナウイルス感染症拡大の中、まさにコロナ禍の中で、紛れもないコロナ禍の当事者、Withコロナの当事者の一人としてここにいます。そして、まもなく感染症に翻弄され続けた令和2年、特に3年生の皆さんには、厳しい試練に晒され続けた令和2年が終わろうとしています。

 先日、今年の漢字が発表されましたが、やはりコロナ関連の「密」という漢字でした。昨年は令和の「令」、そして2年前は平成史上最悪と言われた西日本豪雨被害のあった年で災害の「災(さい・わざわい)」でした。また、今年の新語・流行語大賞は、これもやはり密閉・密集・密接の「3密」でした。昨年はラグビー・ワールドカップで日本の大活躍もあり「ワンチーム」、2年前は平昌オリンピックで銅メダルを獲得した女子カーリングチームの「そだね~」でした。

 本当に苦しく、辛く、悲しく不安な日々が続いた1年の中で、私たちはコロナ禍で言葉では言い尽くせないくらいの多くのものを失い、今も失い続けています。しかし逆に、コロナ禍であったからこそ、withコロナとなった今だからこそ、私たちが感じられたこと、考えられたこと、学んだこと、得たものも多くあるのではないかとも思っています。皆さんは、どうでしょうか?

 日常の何気ない、たわいもない出来事が如何に尊いことか。当たり前が実は当たり前でないという、「当たり前」の尊さと儚さを知りました。そして、たとえ抗うことが困難な状況であっても、潰されない、しなやかな生き方が必要であることを学びました。また非常時の中では、流言飛語に惑わされない一人一人の人権意識の確かさが問われること、家族・友達・学校の存在の大きさ、そして主体的な学びの大切さも実感しました。さらにリモート・オンラインでの繋がりの有効性とともに、逆にリアルな繋がり・コミュニケーションの大切さも、改めて痛感しました。

 そんなコロナ禍の中であっても、峰高生や地域社会を勇気づけてくれた多くの同じ峰高生がいてくれます。厳しい数々の試練を越えて進路実現を着実に叶えている3年生の皆さんの凜とした存在。感染予防に最大限留意し、例年にない創意工夫を凝らした峰高祭をリードしてくれた生徒会の頑張り。小学校や中学校へのプログラミングの出前授業で活躍している産業工学科3年生の皆さんの頼もしさ。

 日々の活動にも厳しい制限がかかる中でも、見事、日本一の栄誉に輝いた陸上競技部の富永健心くん、2年連続で全国大会への出展を果たした美術部の畑中みずきさん、来年に向けての2年連続という快挙を早々に成し遂げた同じく美術部の福田玲音さん、そして京都府高等学校総合文化祭典で最優秀賞を手にした同じく美術部の小西美菜さん、さらに4年連続でスニーカーエイジスという最高峰の舞台に立つ軽音楽部をはじめとして、多くの部活動、峰高生が私たちに勇気・元気を与えてくれています。

 そして峰高の探究活動「いさなご探究」で、故郷・丹後地域で活躍する多くの方と繋がり、この11月にオープンした丹海30番街の「roots」で地域社会との繋がりを深めてくれている峰高生がいます。少し難しい言い方になりますが、学校の教育目標を達成するためには、「社会に開かれた教育課程」が必要であると言われます。分かり易い言葉に代えるならば、「町も僕らの教室」です。大人と言ってよい高校生である皆さんが、学校という限られたフィールドから飛び出して、積極的に地域社会と繋がりを持つことによって、自らの夢や可能性を広げてくれることに心強く思います。

 最後に皆さんにエールを2つ贈らせてもらいます。1つ目は「希望のあるところに人生がある。希望は新しい勇気をもたらし、何度でも、強い気持ちにしてくれる。」これは第2次世界大戦時のナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の中でも強く生きたアンネ・フランクの言葉です。もう1つは「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる。」これは白血病との闘病生活を克服して競技に復帰したアスリート池江璃花子さんが、延期となった東京オリンピック開幕1年前のセレモニーで語ったメッセージです。

 皆さん、明けない夜はありません。暗闇の夜は必ず終わります。どしゃ降りの雨はやがて止みます。峰高生である皆さんが、苦難にしなやかに打ち勝ち、大きく飛躍する新しい年を迎えることを心より切に願い、令和2年度、第2学期終業式の式辞とします。


令和2年12月22日
校長 長島雅彦
 
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