学校紹介

 
 

令和6年度卒業証書授与式 校長式辞

 

 約500名の犠牲を出した、昨年の元日の能登半島地震の発生から1年と2か月が過ぎました。被災地では生活の再建や地域の復興に向けた取り組みが進められてきましたが、まだまだ道半ばといえます。式辞に先立ち、被災者の方々が将来に展望を持てるような一日も早い復旧・復興を願っています。

 式辞 本日ここに、多くの御来賓の皆様、御家族の皆様の御臨席を賜り、京都府立東宇治高等学校第49回卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは大きな喜びであり、深く感謝申し上げます。

 御家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。お子様の高校卒業という大きな節目を迎えられたことに心から敬意を表します。また、3年間本校の教育活動に御理解と御協力をいただき、重ねて感謝申し上げます。

 さて、ただいま、卒業証書を授与された卒業生の皆さん、卒業おめでとう。皆さんは、日々勉学や部活動に励み、学校行事や生徒会活動など高校生活を充実させるべく研鑽を積み重ね、本日晴れて卒業を迎えることができました。これは、皆さん一人一人の努力の賜物でありますが、これまで励まし支えてこられた御家族の愛情や温かく見守っていただいた地域の方々の御支援があったことを忘れてはなりません。

 今日は皆さんに大きな期待を込め、二つのことを伝えたいと思います。

 一つは、「志を立ててほしい」ということです。 ソフトバンク社長の孫正義さんは、夢と志についてこう語っています。「夢と志は違います。夢は漠然とした個人の願望であり、志は個人の願望を超えて多くの人々の夢を叶えようとする気概です。夢はこころよい願望だが、志は厳しい未来への挑戦です。」と。言い換えるなら、夢とは個人の目標や希望、志は周りの人を幸せにしたいという想いであり、行動が伴っているものであるといえます。夢は個人的なもので簡単にあきらめてしまうことがありますが、志には人の役に立つためにという使命感があり、最後まで成し遂げようとする「前向きな心」につながります。皆さんは色々な夢を自由に描くことができます。しかし、自分の夢を描くだけでなく、その夢を通して多くの人のためにどうしていきたいかという高い志を立て、これからも常に積極的に学び、自分に問い続けてほしいと思います。

 もう一つは、「人としての品格を身に付ける」ということです。東日本大震災の発生後に「10 things to learn from Japan(日本から学ぶ10のこと)」という電子メールが世界銀行などの国際機関の スタッフで出回ったそうです。その一部を紹介します。

  First one is THE ORDER:No looting in shops. No honking and no overtaking on the road. Just understanding.

 Another one is THE GRACE:People bought only what they needed for the present, so everybody could get something.

 10のうちの一つは、「秩序」。店での略奪は禁止。クラクションも道路での追い越しも禁止。思慮分別のみがある。もう一つは、「気品」。人々は現在必要なものだけを購入し、誰もが何かを得ることができた。

 その他にも、THE TENDERNESS(やさしさ)、THE CONSCIENCE(良心)などが挙げられていました。 ほとんどの日本人はこういった行いが自然にできるので、日本人の品格は世界に誇れるものと言えます。人としての品格はどういうものか、どうすれば国際社会に貢献できるのか。行動にあたっては、単に権威や組織に従うことではなく、自分の信念や倫理観に基づいて正しい行動を実践する。もし、社会や組織が間違った方向へ進んでいると感じたなら、流されるのではなく、それを正そうとする。物事を俯瞰的に捉えることができる価値観と行動力。そういう人としての気高い生き方ができるような品格を手に入れてほしいと思います。

 「志と品格」。この二つをはなむけの言葉とします。

校長 野村 康隆

Copyright (C) 京都府立東宇治高等学校 All Rights Reserved.