学校紹介

 
 

令和4年度2学期終業式 式辞

 

 皆さん、おはようございます。

 今日で2学期が終了します。9月には3年ぶりとなる文化祭を開催し、10月には太陽が丘運動公園で全学年そろってスポーツ大会を実施することができました。11月には2年生が研修旅行を全クラスで実施しました。この2学期は、学校行事をとおして、協力し合うことの楽しさや難しさを学ぶことができた学期であったのではないでしょうか。
 さて、今日は、宇宙の話をしてみたいと思います。
 最近、天体望遠鏡を買いました。土星や木星、アンドロメダ銀河などの形を自分の目で見てみたいと思ったからです。これまでは、光の点であった星に輪っかがあったり、縞模様があったり、渦を巻いていたり、星の本当の姿を見ることができました。
 私たちが見ているものの中には、見ているようで、実は、本当の姿をしっかり見ていないものが多くあるのではないでしょうか。
 「虫の目、鳥の目」という言葉を聞いたことがありますか。物事を一面的な見方をせずに、「虫の目」のように複眼的に様々な角度から見ること、そして、「鳥の目」のように距離を置いて遠くから眺めるように見ることです。
 私たちは、表面的であった人とのつながりや物事の見方を新たな視点から、とらえ直すことで、自分の考え方の幅を広げ、関係性をもっと良くしていくことができるのだと思います。
 日本で宇宙航空の研究開発をしているJAXAという機関では、宇宙飛行士の採用試験を昨年10月から始め、4127名の応募者から現在、2次選抜の結果50名まで絞られてきました。採用が決定するのは来年の2月の予定で、宇宙飛行士として採用される人は、2名か3名の実に倍率1300倍以上の超難関の試験です。
 JAXAが求めている宇宙飛行士の人物像の一つに、「様々な環境に対して適応能力があり、宇宙という極限環境での活動においても、柔軟な思考と着眼点を持ち、自らを律しつつ、適時、的確な判断と行動ができる人」という項目があります。
 映画化もされた『宇宙兄弟』という漫画の中でも選考試験の様子が描かれていました。この「柔軟な思考と着眼点を持って的確に判断し、行動できる力」は、宇宙空間だけでなく、これからの変化の激しい社会を生き抜く上で必要とされるものだと思います。
 宇宙飛行士を15年間務められた野口聡一さんとピアニストの矢野顕子さんとの対談をまとめた『宇宙に行くことは地球を知ること』という本があります。
 その本の中で、野口さんは、地上約400km上空の国際宇宙ステーションISSから地球を見ると、「地球は丸くて、ゆったり、堂々と自転しており、表面は青い海をたたえ、白い雲が表情豊かにその形を刻々と変化させていく様子が細部まで見える。」そして、「一人一人の人間が、植物が、さまざまな動物たちが地球上で命を謳歌していることが、リアルな存在として感じられる。『地球の眩しさ』は『命の輝き』そのもの」と述べられています。
 400km離れた宇宙空間から地球を眺めることで、命の大切さを実感し、地球に生かされていることに心から感謝する気持ちが湧き起こってきたのだと思います。
 宇宙が誕生したのは、今から138億年前といわれています。宇宙の歴史に比べたら、私たちの一生は一瞬の出来事かもしれません。その一瞬にしかすぎない命を次の世代へとバトンをつなぎながら、一日一日を大切に生きたいものです。
 あと12日で新しい年を迎えます。令和5年が皆さんの命を星のようにキラキラと輝かせる素晴らしい年となるように願って、2学期終業式の式辞とします。

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