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 「厨房のありす」というドラマを見ています。毎週日曜日は楽しみにしているドラマが3つもあるのですが、その1つです。

 ASDを持つ料理人の主人公が、ゲイのシングルファザーである父や、謎を秘めた青年などとお互いを認め合い、支え合うドラマです。いろんな特性を持つ人がいることは知っていても、それを「当たり前のこと」「自分事」とはなかなか捉えられません。みんな自分の持っている「枠組み」から離れられないのだと思います。でも自分が「枠組み」にいると思い知り、違う視点を他者から指摘されることを拒まないだけで、世界は明るくなるのではないかと、私は常々思っています。

 今回のひとことは、「ピタゴラスイッチ」を作った人の本です。イラストのカエルのケロちゃんがかわいいので是非手に取って見てほしいです。

「私たちがものを見ている時には、必ずある枠組みからものを見ているということを知っていなくてはいけません」

20240315_095305.jpg(イラスト: プチ哲学 La Petite Philosophie 文と絵 佐藤雅彦 ISBN4-8387-1226-X マガジンハウス 2000年 28ページから引用)

 川のせせらぎ、海の波の音、鳥のさえずりなど、リラックスできる、あるいは癒やされる音楽とか音を聞く人がいます。中には火が燃える「パチパチ」という音が好きな人もいます。

 この小説は不幸な境遇に育ってきた主人公が、自分と似た境遇の子どもを救おうとするお話です。二人が心を通わせるきっかけが「52ヘルツ」の音で仲間を呼ぶクジラの声。この音は仲間にしか届かない声で、他の種類のクジラには決して届きません。二人がこの声に心を奪われたのは、二人の圧倒的な「孤独」が原因なのかもしれません。でも不幸な境遇の人だけでなく、誰もが時には「自分に気づいてほしい、わかってほしい」と願うはずです。自分があげたかすかな声を聞き取ってくれた人に感謝し、そして自分も誰かが振り絞って発している声を聞き取りたいと思い、相手に寄り添ったとき、自分もしあわせを手に入れるという予言が次の言葉です。  

  第二の人生では、キナコは魂の番と出会うよ。愛を注ぎ注がれるような、たった一人の魂の番のようなひとときっと出会える。 キナコはしあわせになれる。

* 『52ヘルツのクジラたち』は、学校図書館にあるので、読んでみてね!https://private.calil.jp/bib/gk-2003453-k4xas/4120052982

 心配なことがあるとき、不安な気持ちが大きいときほど、口に出すことができないものです。誰かに言いたくてもうまく言葉にできないこともありますよね。

 この小説の主人公「私」は、小学一年生の時、突然父が亡くなり、失意の母とともに、あるアパートに引っ越します。その大家のおばあさんは天国の父に手紙を届けてくれると言い、「私」は毎日手紙を書きます。母を心配させたくない「私」にとって、宛先に「心配をかける」「叱られる」恐れのない手紙は、精神的に解放してくれるものでした。気持ちや言葉を外に 出せない心は、風通しの悪い部屋のようなものなのかも しれません。

「言葉を外に向かって発するようになると、外側からも、 いろいろなことが私に向かって流れ込んできはじめたように思う」

* 『ポプラの秋』は、学校図書館にあるので、読んでみてね!https://private.calil.jp/bib/gk-2003453-k4xas/4101315124

 自分が子どもの頃、「自信」は無い方でした。勉強、スポーツ、芸術に特に才能は無く、周りの「かわいい子たち」のおかげで、自分の容姿にもコンプレックスを抱いていました。「自己肯定感」を持てない中高生が最近多いとよく言われます。いやいや、昔もいました。でも、自分が「良し」と満足できる「何か」を持ち続ければいいんじゃないのかな・・・と思います。

 「好き」と「自信」ってつながるような気がします。誰かに比べられるのではなく、自分で「好き」と思える何かを一生懸命やる。この小説に登場する「村林」はそういう小学生だと思います。そして映画の子役(森永悠希君)がかわいい!のです。

 自信って、一体何なんだろうな。自分の能力が評価される、 自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる―--そういうこと だが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を"良し"と 納得することかもしれない。

* 『しゃべれどもしゃべれども』は、学校図書館にあるので、読んでみてね!https://private.calil.jp/bib/gk-2003453-k4xas/410123731X

 オススメブックリスト2021にはまだまだたくさんの先生のオススメと、図書放送委員のイチオシ本が紹介されていますが、夏休み期間にあわせたWeb上での連載は本日がラストとなります。みなさん、この夏もたくさんの本を読みましたか? 学校図書館では、ブックリストの配布とともに、特集コーナーを設けてこれらのオススメ本を展示しているので、気になる1冊を探しに、ぜひ足を運んでみてください。

 オススメブックリスト2021特集、ラストを飾るのは、金谷旭晋先生のオススメ本『スマホ脳』です。vol.1でも紹介いただいた『スマホ脳』について、また別の言葉で語っていただきました。ひとつのことを伝える言葉の多様な表現も、「オススメ」の魅力のひとつ。ぜひ読み比べてみてください。

 今やみなさんの多くが手にしているスマホ。「もしスマホがなくなったとしたら?」そんな生活を想像できますか?

Apple社のiPhoneが登場してから急速にスマホの不朽が進み、この10年で私たちの生活を大きく変えました。今までパソコンでしかできなかったことが、手のひらに収まる端末で簡単にできるようになったのです。一見すると、私たちの生活を便利にしたようにも思えますが、スマホには私たちが知らない多くの危険性が潜んでいます。それを象徴することの一つとして、Apple社のCEOであったスティーブ・ジョブズは、自分の子どもにスマホを与えなかったということがあります。彼はスマホの与える影響を理解していました。

 これから先、みなさんはスマホとどう付き合っていきますか? 「便利だから」「楽しいから」と思って使い続けていくと、知らぬ間にスマホに支配されていきます。スマホと正しく付き合い、人生をさらに豊かにしていくために、ぜひ一度 手に取って読んでみてください。

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 私が今回オススメするのは、『ぼくと1ルピーの神様ヴィカス・スワラップ著)です。

 コロナ禍で途絶えている大衆文化のひとつに、「マサラ映画」があります。一般的な映画鑑賞のマナーには「映画館ではお静かに」というのがありますが、マサラ映画は鑑賞中から叫んでもOK、ブブセラやクラッカーのような鳴り物もOK、終幕後には拍手喝采、花吹雪舞うのが定番の、映画の作品世界を鑑賞者がともに全身で味わう映画文化です。一昨年あたりから豊岡劇場の常連と化し、月に5本は映画を観ている私、そのうち映画という文化そのものにちょっと興味を持つようになり、「マサラ映画」というジャンルを知りました。一度実際に観てみたいと思っていた矢先にコロナ禍でどこの劇場でもやらなくなってしまったのですが(最近では「無言上映」といって叫ぶ以外はOKなマサラ風上映会が定着しつつあります。)、このマサラ映画でよく上映されるのがインド映画です。マラサ上映自体がインドの映画館文化でもあるのかもしれません。

 この本は、十数年前にアカデミー賞で8部門を受賞したインド映画「スラムドック・ミリオネア」の原作です。原作者はインドの外交官。

 かんたんに内容を紹介します。日本ではみのもんた氏の司会で知られたクイズ番組「ミリオネア」で、史上最高額の賞金を獲得した少年。しかし、学校にもろくに行っていない孤児が全問正解できるはずがない、と、インチキ容疑で警察に逮捕されてしまいます。取調べで明らかにされる少年のクイズの回答には、インドの貧困層で死と隣合せの選択肢がない人生を歩んできた少年が目にした過酷な現実からの学びがあった......というような、おはなしです。

 インドといえば、インド式計算術などで注目されたこともあるように、理数系学力は世界トップクラス、IT分野ではとっくに日本を追い越したのでは?とも言われる先進国で、人口は135千万人を突破していまや飛ぶ鳥も落とす勢いで成長中のアジアの大国。ですが、その富と恩恵は一部の上位者が独占し、貧富の差も世界トップクラスの発展途上国でもあります。その負の部分はあまり公開されてきませんでしたが、この作品では、その痛ましく残酷な現実も描きつつ、純粋でとても優しい物語が描かれています。

 ぜひ、読んでみて、機会があれば映画も観てみてください。

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 私が今回オススメするのは、『幕末明治サバイバル! 小説・渋沢栄一加納 新太(著)です。

 今注目の人物の一人である「渋沢栄一」について書かれた小説です。次の新しい1万円札の顔となる偉人についてちょっとくらいは知っておきたいと思う人にはちょうどいい小説です。角川つばさ文庫は児童向けの小説なので、本を読むのが苦手な人にも読みやすいと思います。

 幕末にペリーが黒船でやってきて、そんな中で外国人からどうやって日本を守るのか、このまま幕府に政治をまかせてよいのか、天皇についていくべきではないのか、などと色々な思惑があって、日本人同士が争いあっていた時代に、海外から多くのことを学び、日本が強くなって、誰もが快適な生活ができるようにと、銀行を作ってお金を集めたり、ガスや水道を引く事業を推し進めたり、まさに日本の経済を大きく転換させた渋沢栄一の活躍が描かれています。

 渋沢栄一の子どものころのエピソードも多く、勉強のやり方や大切なこともたくさん出てきます。渋沢栄一というと、「論語と算盤」でも有名なので、論語をがっつり勉強したんだろうなと思うかもしれませんが、最初にやったことは里見八犬伝や三国志など、面白い小説をたくさん読むことからでした。まずは本を読むことが面白いと思えるくらいにならないと、勉強なんてできませんということです。その通りだと思います。勉強ができるようになるためには、必ず本が読める力が必要です。本が読めるようになるには、面白い本に出合うことです。この本がその1冊になればいいなと思っておすすめします。

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 私が今回オススメするのは、『レシピを見ないで作れるようになりましょう有元 葉子(著)です。

 料理は誰にとっても一生続けていくライフワークです。ナビ(レシピ)がなくても、素材の状態や鍋の中を見て、自分の頭と目と鼻と舌を使って、鍋の中と相談しながら作れるようになるといいですね。この本には、シンプルな料理の基本が紹介されています。

1.思いきってやってみる

2.目指すところをイメージする

3.まずは食感にこだわる。それから味つけ。

4.味見をして自分の舌で味を決める

 料理力は、一生ものの財産です。皆さんも、始めてみましょう!!

 私が今回オススメするのは、『13歳からのアート思考末永 幸歩(著)です。

 自分なりの見方や考え方がどれだけ大事か、そして自分が感じていることやひらめきをより深く考えるその大事さがよく分かる一冊です。感受性豊かな若い皆さんに是非読んで欲しい本です。 また、自分の見方や考えに自信が持てず、悩みがちな人にとってはきっと前向きになれるし、力が湧いて来る本です。      

 「13歳」といえば中学生ですが、だからといって中学生向けに書かれた本ではありません。老いた私でも「読んで良かった」と言えるし、むしろ「読まなきゃ損!」と言いたい内容です。  

 とてもわかりやすく誰もが楽しめる内容で、美術の授業を展開するような構成でまとめられています。               

 「エーッ、美術の授業・・・。」と思うかも知れません。         

 誰もが、中学までは美術の授業を受けたと思います。しかし、このような授業はなかったのではないでしょうか。どうしても作品づくりが中心で、上手下手、出来の良さを競い合うような授業になりがちなのですが、この授業は勿論そうではありません。 とても新鮮でたくさんの発見があります。全部で6段階の授業ですが、読むほどに大切なことを見つける授業です。         

そして、全ての授業のまとめでは、現代に生き、未来に向かう私たちに、とても重要なことを示唆してくれています。           

 (正直、こんな授業をやってみたいと私は思いました。) 

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 私が今回オススメするのは、『キケン有川 浩(著)です。

「状況を切り抜けることを楽しめるようになってこそ一人前だ」                     

 舞台は関東のとある私立大学。主人公元山が、友人の池谷とともに入った部活は、「機械制御研究部(通称:キケン)」だった!

 「ユナ・ボマー」と呼ばれる爆発実験好きの部長上野、名前に「魔」の字を隠した副部長、大神とともに、2人はハチャメチャな学生生活を送ることになる。学園祭に向け、元山一人で挑んだラーメン開発、上野が大活躍のPC研との戦い、教授に頼まれ(脅され?)て出たロボットコンテストなど、熱くて笑えるエピソードが盛りだくさん。大学生でなくても、何かに打ち込んだ経験のある人ならきっとわかるであろう話が詰まっています。(もちろんそうでない人も楽しめますよ!)

 個性的なキャラクターが多く登場する『キケン』、ぜひ一読を!

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