【オススメブックリスト2021特集vol.15】 高尾幸弘先生のオススメ本

 私が今回オススメするのは、『幕末明治サバイバル! 小説・渋沢栄一加納 新太(著)です。

 今注目の人物の一人である「渋沢栄一」について書かれた小説です。次の新しい1万円札の顔となる偉人についてちょっとくらいは知っておきたいと思う人にはちょうどいい小説です。角川つばさ文庫は児童向けの小説なので、本を読むのが苦手な人にも読みやすいと思います。

 幕末にペリーが黒船でやってきて、そんな中で外国人からどうやって日本を守るのか、このまま幕府に政治をまかせてよいのか、天皇についていくべきではないのか、などと色々な思惑があって、日本人同士が争いあっていた時代に、海外から多くのことを学び、日本が強くなって、誰もが快適な生活ができるようにと、銀行を作ってお金を集めたり、ガスや水道を引く事業を推し進めたり、まさに日本の経済を大きく転換させた渋沢栄一の活躍が描かれています。

 渋沢栄一の子どものころのエピソードも多く、勉強のやり方や大切なこともたくさん出てきます。渋沢栄一というと、「論語と算盤」でも有名なので、論語をがっつり勉強したんだろうなと思うかもしれませんが、最初にやったことは里見八犬伝や三国志など、面白い小説をたくさん読むことからでした。まずは本を読むことが面白いと思えるくらいにならないと、勉強なんてできませんということです。その通りだと思います。勉強ができるようになるためには、必ず本が読める力が必要です。本が読めるようになるには、面白い本に出合うことです。この本がその1冊になればいいなと思っておすすめします。

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