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平成15年度
平成16年度

        

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I 知的気付きに発展させるには

 生活科における授業改善のポイントを、具体的な実践例を基にみてきた。 綿密な指導計画の基に実践された授業を参観して、単元目標がどのように具体化されるかを検証した。
 自分たちの住む地域を探検することによって、自然や人々の暮らしに気付き、また地域のお年寄りの話から、自分たちのすむ地域の歴史に気付くきっかけにもなった。  (「身近な環境や自分についての気付き」)。
その気付きを児童の内的な思いや気付きを「関心・意欲・態度」に高めていくのは、授業における担任の意識的な問いかけ、働きかけによるところが大きい。確認して深め、「活動や体験についての思考・表現」につなげる学習活動として「探検日記」や「お礼の手紙」として書かせている。
自分の選んだ所に探検に行く設定によって自ら選んで考える動機付けとし、その結果を「学習発表会」の機会を捉えて他者に伝えさせている。
発表会は、学校の仲間や自分達の家族だけでなく、地域探検に出かけた地域の人々も参加する場であり、児童にとっては改めて友達や地域の人々に伝える喜びと共に、重ねて地域の人々との交流に学ぶ機会となっている。
伝えたい内容や発表方法を考えてまとめさせることによって、コミュニケーション能力を付けさせると共に、自らの気付きを深化させ、学んだことの定着を図っている。
児童がわかったことを周囲に伝えるという活動を通して、知的気付きに発展させるには、教師の意味づけ、価値付けとなる意図的な言葉かけが重要である。


U 単元学習における成果と課題

自分が自慢できる地域のことを考えさせたり、家の人から地域の自慢を聞い たり、そのことを交流し合しあったりすることを通して、どの子も地域探検へ の関心・意欲を高めることができた。
探検の1回目で、それぞれの地域のゲストティチャーに地域の自慢のところ を教えてもらったことで、地域への理解をより深められた。自分から進んでお 礼の手紙を書きたいという子が現れるなど人との関わりの一歩が作れてきた。 また、インタビューの時、ドキドキしながらも頑張ったという子どもの振り 返りにあるように、人とコミュニケーションをとるときの方法を2年生なりに 学ぶことができた。
地域探検は、みんなで同じところへ行くのではなく、自分で選んだ別々のと ころへ行かせたことで、一人一人がより積極的に探検に臨むことができ、お互 いに他の子の探検にも関心をもつことができた。
探検してきたことを「たんけん日記」という形に表現させたが、体験してき たことなのでどの子も詳しく自分なりの発見や思いを書くことができていた。 また、ゲストティチャーの話も興味をもって聞いてきたことがその日記から 分かった。一人一人の児童の発見や思いを児童も教師も確かめられた。
「学習発表会」を生かし1年生に探検のことを発表する場をもつことで、一 人一人が伝えたい内容や表現方法を考え、表現する力と伝えることの喜びを味 わうことができた。
児童一人一人の実態と学習課題を明確にしたことで、活動の中での児童の支 援がスムーズに行えた。
単元全体の終わりに「分かったこと」「うれしかったこと」「がんばったこと」 「こまったこと」などの観点で振り返りカードを書かせたことで自己評価がで きた。また、教師の評価にも生かすことができた。
担任外の先生の協力が得られたことで、ダイナミックな地域探検の単元作りが でき、実践に移すことができた。
ゲストティチャーにどの程度関わってもらうかの事前のお願いをもう少し綿 密にする必要があった。1回の探検では時間が足りなくなってしまい、児童の 行きたいところへ行けなくなってしまったので2回目を急きょ実施した。
単元の終わりの振り返りカードで「分かったこと」は必要がなかったかもし れない。探検が終わったときにその都度「たんけん日記」を書かせていたので、 内容をみるとそのときに十分出し尽くされていたようだった。


V 指導と評価の一体化

学習指導の充実・改善には、評価と指導を有効に機能させ「確かな学力」が身に付くようにすることが課題である。
生活科の学習指導においては、特に一人一人の意欲的な活動や気付きを高め、深めつつ児童の内なる変容を見取っていくことが大切である。
まず学習指導要領の評価規準を参考に、地域の環境や特色を生かした教材設定、児童実態に即したより具体的な評価規準設定をする。
毎時間の学習活動を積み重ねる中での児童の具体的な姿とその変容を評価していくことが求められる。
次の指導に生きる評価とするためには、評価方法の工夫、記録の工夫が必要である。
ワークシート、カード、活動の様子、つぶやきの記録など多様に活用し、関連づけて把握する。
事前に観点を整理しておくことで、学級児童個々の変容を焦点化してチェックする等の工夫が考えられる。 (別紙資料)


W 他教科との関連

 「気付きを表現し、他者に伝える」という活動は、考える力、書く力、話す力などの総合的なコミュニケーション能力を必要とする活動である。これは生活科に限らず、国語を中心とする他の教科に置いても育まれるものである。体験や活動をくぐって学ぶ生活科はその基本となり、相互に関連させて学ばせ、深める教科であるといえる。


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