ゆく河の流れは絶えずして
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとに水にあらず」
これは、日本三大随筆の一つ鴨長明「方丈記」の有名な書き出しです。11月9日に京丹波町図書館開館1周年記念の特別講演『鴨長明「方丈記/写本」を読み解く』を聴きました。講演会の終わりに、講師の京都産業大学、小林一彦教授の著書(サイン入り本)と漫画方丈記を学校へ寄贈いただきました。当日は会場満席でNHKのテレビカメラも入り、800年前に書かれた名著への関心の高さに驚きました。方丈記は、当時の災害を細かく描写しており、東日本大震災が起きた際に「災害文学」としても注目が集まりました。鴨長明が生きた時代は地震などの自然災害や政治的な騒乱などが多い不安定な時代でした。予測困難で不安定な時代の中でいかに生きればよいか、真の豊かさとは何かを問いかけています。
思えば、2024年は、元旦に能登半島地震が発生し衝撃的な年の幕開けでした。その後も、豪雨による自然災害、記録的な猛暑など心配な状況が続きました。一方で、大谷翔平選手の活躍、パリオリンピック・パラリンピックの開催など、感動や勇気をもたらす出来事もありました。今年の十大ニュースや今年の漢字などが発表されていますが、子どもたちは、どんなことを挙げるでしょうか。
方丈記の書き出しの意味は、「河を見ていると、水の流れは絶え間ないが、それはもちろん同じ水ではなく、つねに新しい水が流れている」という意味だそうです。小林一彦先生のサインには「常に未来を!」というメッセージが添えられています。子どもたちも、毎日の学校生活の中で日々変容し、成長し続けている存在であることがわかります。各御家庭でも、この機会に今年1年の子どもたちの頑張りや成長を認め、励ましていただきますようお願いします。
来る年が、全ての皆様にとって幸多い年でありますように心からお祈りいたします。子どもたちが、安全で有意義な冬休みを過ごせますよう、引き続き、家庭や地域でお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。 校長 日下部 正登