サマーセミナー【原子核の世界/核物理研究センター】

 7月30日(金)に、SSH事業の一環として表題のサマーセミナーを実施しました。昨年度はコロナ禍の影響により開催が見送られましたが、今年度は、1年生の参加希望者の他、昨年参加できなかった2年生の希望者併せて44名が参加しました。
 午前中は、大阪大学大学院理学研究科の川畑教授にご来校いただき、「原子核の世界~フェムトワールド」についてご講義をいただきました。同じ元素でも質量の異なる原子核(同位体)が存在し、核分裂や核融合で原子核の質量が変化することでエネルギーが放出されること、この宇宙に存在する原子核の存在比が宇宙の始まり「ビッグバン」と大きな関わりがあることなどかなり詳細で高度な内容を非常にわかりやすくご講義いただく一方、放射線をただ怖がるのではなく、科学をしっかり理解して「賢い消費者」になることが重要であり、しっかり勉強して欲しいとのメッセージもいただきました。

 午後はバスに分乗して、阪大の核物理研究センターに訪問させていただきました。
 まず、保坂教授からは、大阪大学の歴史と深く関わっている湯川秀樹博士をはじめとした偉大な物理学者のお話に始まり、「小さなものを見るためには大きなエネルギーが必要」であること、科学の面白さについてご講義をいただきました。続いて福田教授から、なぜ「小さなものを見るためには大きなエネルギーが必要」なのかについてより詳細な説明があり、さらに加速器で作られた原子核が、阪大病院での新しいガンの治療法に使われていることなど、医学的にも重要な研究成果についてご講義をいただきました。
 最後に3班に分かれて、それぞれの班の先生方からご説明をいただきながら加速器の見学を行いました。2000トンを超える巨大なリングサイクロトロンを始めとした、巨大かつ複雑な装置群からなる実験施設は、スケールのみならず随所に高度な知恵と技術が集積されていることをご説明いただき、ただただ圧倒されました。参加生徒は、科学の面白さ、科学の可能性と役割について考える良い経験を得ることができました。