12月12日(土)、今年で10回目となった「嵯峨野高校狂言の会」を開催しました。会場は、毎年お世話になっている冬青庵(とうせいあん)能舞台(京都市中京区)です。
年によっては100人近いお客様が会場をぎっしり埋めつくされることもありましたが、今年は、新型コロナウイルス感染対策から、定員を40名とし事前予約制をとったところ、早々に満席の申込みを頂戴しました。
「子供はもう卒業したんですけど、見に行っていいですか?」と、昨年度までの保護者の方々が予約してくださったのは、とても嬉しいできごとでした。
当日は、消毒、検温など感染対策に留意して実施することになりました。とはいえ、役者がマスクをしていては表情が見えませんし、演目によっては面をつけるのでマウスシールドもできないことから、お客様に御協力をいただき、フェイスシールドを着けていただきました。
(1)「清水(しみず)」:2年生2名
水汲みに行ったのに「鬼が出た!」と嘘をついて帰ってきた太郎冠者。主人が「自分で行く」と言い出したので大慌て……。
(2)「呼声(よびごえ)」:1年生3名
無断欠勤している太郎冠者を、主人と次郎冠者が謡で呼び出しますが、太郎冠者も謡で居留守をつかいます。とうとう3人は……。
生徒にとっては、素顔で狂言を演じるのは久しぶりのところ、表情豊かに気持ちのこもった演技や、タイミングの良い台詞のやりとりをすることができました。ポイントポイントで客席から賑やかな笑いをいただき、皆さんに狂言の楽しさ、面白さを伝えることができたと思います。
今年も茂山千五郎先生はじめ茂山狂言会の先生方から懇切に御指導をいただいた成果です。あらためて心から感謝を申し上げます。
休憩をはさんで、茂山狂言会の山下守之先生と網谷正美先生に「仏師(ぶっし)」を演じていただきました。都のすっぱ(詐欺師)が、田舎から仏像を買いに来た男を騙そうとする演目です。お二人の丁々発止のやりとりに加えて「鬼滅」のポーズまで出現し、爆笑させていただきました
翌13日(日)には、「令和2年度全国高校生伝統文化フェスティバル」(京都コンサートホール)に参加し、2年生と1年生のペアで狂言「花争(はなあらそい)」を演じました。主人と太郎冠者が「花」か「桜」かを和歌で争う曲目で、フェスティバルのプロローグにふさわしい雅びな雰囲気がつくれたと思います。
なお、全国高校生伝統文化フェスティバルの公式ホームページに、過去に出演した際の動画が掲載されています。現在、「舟船(ふねふな)」(平成30年度)、「舎弟(しゃてい)」(平成28年度)、「土筆(つくづくし)」(平成27年度)が見られます。