理想の自分を求めて

先輩からのメッセージ

キャプテンとして部員をまとめ、体育館で躍動していた姿、誰もいない教室に残って、一人黙々と自習をしていた姿、どれもが彼の本当の姿です。高校時代、何事も諦めずに、理想を求め、一つ一つ地道に努力を重ねていた姿が印象的な先輩です。

皆さん、こんにちは。2014年に京都こすもす科自然科学系統を卒業しました、隠岐真太朗と申します。

 突然ですが、皆さんに「自分はこうなりたい!」と思う姿はありますか?具体的な将来の夢の姿でなくても構いません。部活の試合で相手に勝つ姿や、次のテストで目標の結果を取る姿、後輩から目標にしてもらえるような自分の姿など、どんなことでもいいので思い浮かべてみてください。どうでしょうか?成功した時の姿を思い浮かべるといい気持ちになれますよね(笑) そうしたら、次はその何かを成し遂げたカッコいい自分に自己紹介をしてみてもらってください。きっとキラキラした自分がいると思います。そしてそんな自分に聞いてみてください。「その自分になれるまでに何があったのですか?」と。その答えに、あなたが「こうなりたい」と思うような姿になるためのヒントがあるかもしれません。

 私が高校を卒業したのは10年ほど前です。高校時代の私は皆さんと同じように、毎日の勉強に必死で、部活のバスケットボールに全力で取り組んでいました。家で机に向かうとすぐにうとうとして勉強できなかったのは一度や二度ではありません…。家庭学習カルテ(今もあるのでしょうか?)の時間を友達と比べて、みんなの勉強時間の多さに焦ったことや、サイエンスラボで下校時間ギリギリまで研究していたこと、個性豊かな先生方の授業を受けたことなど、今でも高校の頃のことはよく覚えています。高校生活を振り返ると本当にいろんなことに全力で、間違いなく誰よりも青春していたと胸を張ることができます(笑)

 そんな私の高校時代に持っていた夢の一つが京都大学に入って学ぶことでした。京大で何かやりたいことがあったのかと言われると当時の私にはそんな明確な答えはなく、ただ漠然と「京大で学んでみたい」と思っていました。しかし、高い理想に対して現実は厳しく、模試を受けても出るのはE判定ばかり。結局3年生の最後の最後までE判定は覆せませんでした。周りの人はそんな私が京大に合格できたと聞いた時、驚きと疑念でいっぱいだったに違いありません。当時の担任の先生には今でもお会いするたびに、「あの君がよく受かったよなあ…」と言われます(笑)

 大学では工学部の工業化学科という学科で化学を専攻しました。一般教養や語学、専門分野を並行して学んだ後、無機材料化学の研究室に所属し生体親和性(体内で有害な作用を及ぼさない性質)のある材料を用いてカプセルを作成する研究を行なっていました。大学は授業で教えてもらうというより、講義を聞いて自ら学ぶ姿勢が必要でした。また、大学では体育会でバスケットボールに取り組んだり、アルバイトをしたり、まとまった休みには旅行に行ったりと本当に充実した4年間を過ごしました。卒業を控えた4回生の夏、私は大学院に進学するか就職するかで散々悩み、その結果就職を選びました。理系に進めば9割以上は大学院に進学するのが当たり前という流れの中で就職を選んだ理由は働くという選択が私の人生の夢を叶えるための近道になると思ったからです。そうして将来の姿を思い浮かべた時にやってみたいと思った仕事がパイロットでした。いくつもの選考や検査を乗り越えて自分が望んだパイロットという仕事への第一歩を踏み出せた時のことは今でも鮮明に覚えています。

(大学時代の写真です。研究は時間がかかり大変ですが、成果が出た時は楽しかったです。大学は部活のバスケにも熱中しました。自分のやりたいことを自由にできるのが大学のいいところですね。)

次回に続く