七転び八起

先輩からのメッセージ     10月11日の続き

京都こすもす科国際文化系統2003年卒業 大西茂久

【進路・ウラ面】

上述(先日掲載文)の進路は順風満帆に見えるかもしれません。

しかし、実態は全くそんなことはなく、高校卒業後には浪人、大学時代でも留年(1回生を2度経験!)を経験。

晴れて社会人になってからも、周りからの反対を押し切って退職。

ベンチャー会社を起業し、課長にもなったことのない人物が、一気に10人の社員を抱える社長になる。
部下もろくにいなかった人間が、急に経営をすることによる実力不足を露呈し、さらに、コロナ禍のダブルパンチで、事業をうまく軌道に乗せられず借金。
会社は残っているものの、創業社長を退任し、無職に!

今は、再度同じ総合商社へ戻らせてもらえていますが、本当に多くの回り道を経験しています。

高校時代、模試での志望校の合格判定がE判定であることから始まり、常に人生挫折ギリギリのところにポジションを取り続けてきました。

しかし、決して気力を失わず、結果として、このような進路を辿って来れた理由は、間違いなくその時々で家族、友人、学校の先生方(会社で言うと上司)に支えてもらえたこと、人間性を成長させてもらえたからこそと思っています。


【高校生の皆さんへのメッセージ】

自分は高校時代、優秀な成績を収めたわけでも、高い学力があったわけでもなく、むしろ真逆で落ちこぼれの代表格みたいな高校生だったと思います。

そのような自分が、このような場で発信させていただくことは甚だ僭越ではありますが、
軸をぶらすことなく、自分の中の通底した考えを持ち、また、その考えに軸足を置いて、一貫した行動をとるために、学生の皆様に何か気づきとなるようなものがあればと思い、以下の2点メッセージをお送りたいと思います。

1.     「プロフェッショナルの方の話を直接聞く」という体験をすること

 ①その道に精通されている方の話には、学ぶべき要素が散りばめられているように思います。プロフェッショナルな方々は現状に満足せず、常に高み目指して精進されているのが自分の中で感じている共通点です。

 ② 現状に満足しないという部分は非常に難しいです。人間ですから、うまく言ったら達成感を感じますが、慢心してしまいます。この慢心が更なる成長を阻害します。慢心しないために、常にベンチマークとなるライバルの存在やメンター(先生や師匠)の存在は重要です。

 ③ 自分の高校時代には、学校側が一級建築士の故・黒川紀章氏やシンクロ日本代表監督の井村雅代氏の講演を聞く機会を設けて頂いたことを今でも記憶しています。そのような機会で、何か思い切って質問することは、後の皆さんの人生にとって財産になると思います。目前にある機会を生かすことが、道を拓いていく契機になることがあるということをお伝えしておきます。

2.     自分の気持ちに対する問いを立て、その気持ちに正直に言動すること
 ① 自分の人生なので、自分の気持ちに立脚した言動をしたいも  
  のです。そのためには、自分がその出来事に対してどのよう    
  に感じるのか、問いを立てて、よく観察する必要がありま
  す。

 ② 観察して自分の気持ちを理解しても、それをそのまま言葉にできないのが高校時代です。良いと思っているのに、周りが悪いと思っている人が大勢いるから、乗じて悪いほうに流される。好きと思っているのに、嫌いと言ってしまう。(超経験豊富なので、良くわかります。)

 ③ 自己本位でいきましょう。これからのグローバル社会で今の常識に囚われていては時代の流れについていけません。常に時代の風を感じ、自身の考えを主張できるような存在が求められます。

 ④ ただし、表現やタイミングを間違えると、ただのワガママに見えて終わってしまう場合もあります。このメッセージは誰にでも伝えられるものなのですが、誰でも実現し続けられるものではないと考えています。倫理的な修養がある、もしくは積もうとする姿勢があることが前提条件として求められるので、その点は十分に留意いただければと思います。

上記の2点について、簡単に経験を積むことができる方法として「旅」をされることをお勧めします。纏まった休みを利用してもいいですし、土日で1泊2日、日帰りでもいいです。旅では、自分のことを知らない人がいるので、思い切った言動も取りやすいです。 

できれば、アクシデントを楽しめるような計画性の低い旅がいいかもしれません。
決してインスタ映えするものばかり追うのではなく(写真は重要ですが)、また、誰かが先に体験したものをコピーして追体験するのではない、自分でしか感じえない豊かさを実感できるような旅になるのがいいですね。 

知らない土地に行って、知らない場所で、使えるだけの時間とお金と体力(総称して資源)を使う。

その資源を投資した結果、自身の感覚(センス)・経験・人脈を形成していき、皆さんの人生を豊かにする糧になるものと思います。

以上の通り、思いつくままに書かせて頂きましたが、今何をしたらいいか分からない、迷っているという方、また、目標とする進路を諦めそうになっている方に少しでも響けば、こんなにうれしいことはありません。