七転び八起

先輩からのメッセージ

「青春」とは傍で見るほどすばらしいものではなく、不細工で、汗くさくて、はずかしくって、何ともやりきれないものである、とある作家が述べています。
思うようにならないもどかしさ、自分の考えとは異なることを言ってしまい後悔する日々、目に見えない社会という大きな壁が立ちはだかり、潰されそうになる恐怖心
大切な3年間を本校で過ごし、今も奮闘されている先輩からのメッセージです。

はじめまして。

嵯峨野高校京都こすもす科国際文化系統※第5期生の、大西茂久です。

現在は住友商事株式会社という総合商社の東京本社に勤務しています。

10年以上のキャリアの中では、ニューヨークやロサンゼルスの支店でも勤務しました。
※国際文化系統は改編し現人間科学系統

 (2021年 経済紙Forbesの特集記事より抜粋)                            

皆さんと同じ高校時代を振り返ってみますと、進路と自我(=アイデンティティー)を形成する上で、極めて重要な時期だったように思います。

 進路で言いますと、国公立大学に行けないとならない雰囲気(今もそうなんでしょうか?)への迎合と、それに反発して、なにが悪いのか、と相反する気持ちの対立がありました。

 自我の形成でいうと、このままでいいのか?という自己否定をする自分と、これでいいのだ!という自己肯定感の高い自分と、これまた相反する状態の対立がありました。

 そんな二項対立の往来を極端に繰り返しながら、3年という限られた時間をゆっくり、且つ、猛スピードで過ごす濃密な時代だったと振り返っています。

大人になった今でも、常に健康でいたいと思いながら、たくさんお酒を飲む日もあります。大切な家族と、一緒に時間を過ごしたいと思いながら、携帯電話でメールを打ち返していたり(本当は、Instagramを閲覧していたり)します。

 
人間ってそんなもんだと思います。完璧な、善良なだけの人はいないと思います。

善悪や、その他の二つの相反する関係の間を行き来しながら、自分自身がそうありたいと思う姿になることを目指して、各人が日々を一生懸命に生きているんだと思います。

今回は高校生の皆さんへメッセージをお伝えする機会を頂きましたので、自身の進路に関するオモテとウラを共有させて頂いた後に、皆さんの進路設計に少しでもお役に立てるようなメッセージをお送りしたいと思っています。


【進路・オモテ面】

中学3年、卒業前の文集に「将来の夢」なるものを書く項目がありました。そこに自分は、「国際人になる」と書き記していました

 当時のことを回想すると、「将来っていつのこと?」「夢って何?」とか、疑問を抱きながら、書き記したことを思い出します。自分は、何となく、30歳くらいで、「ヒーローになる!」とか、そういう非現実なものではなくて、達成可能な状態目標のことを将来の夢と捉え、「国際人になる」と書いていたように思います。

当時の(今もですが)自分の中での「国際人」の定義は、単に英語を話すことのできる「英語人」ではなく、広い世界で、どの国に行っても必要な言語で、その土地の文化を理解して、その国の人と共生しながら生き抜いていける人のこととしています。

 
この夢という、30歳時点で状態目標に向けて辿った進路は、嵯峨野高校京都こすもす科「国際」文化系統、大阪大学外国語学部「国際」文化学科といった国際の名前が付く、完全に置きに行っているコース。そして、卒業後は、日本において特に「国際」的な仕事ができる機会の多い、総合商社という安定のコースでした。

30歳時点において、世界規模の仕事ができる環境に身をおくことができたので、外形的には夢達成。

しかし、まだまだ夢が現実のものになったという達成感や肌触り感はなく、世界は広く、まだまだ知らないことだらけという感じ。未知の国、未知の文化、未知の人に会うことに対して、ものすごく熱量高い関心を持ち続けながら、真の夢の実現に向けて日々を過ごしている、そんな感じです。

次回に続く