着実な歩み

先輩からのメッセージ
 在学中の彼女は常に控え目、でも穏やかで、誠実な人柄から周りの人に安心感を与えている人でした。周囲のムードや流行に流されることはなく、かといって周りに溶け込めないのではなく、誰とでも調和の取れる人でした。自分の進みたい道を見出し、そこに向けて部活動と両立をしながら、着実に歩みを進めていました。
 
 こんにちは初めまして、京都こすもす科自然科学系統を2017年に卒業した玉城萌佳と申します。私は現在、京都大学大学院の修士課程2回生で、化学の中でも特に高分子化学を専攻しています。来春からは化学メーカーに就職することが決まっています。今回は私自身の進路選択や大学院での研究について書かせていただこうと思います。

 1.      高校時代の進路選択

といっても私は志望学部学科についてはほとんど悩まず、1年生の間には工学部の化学系学科に進学しようと決めていました。理由は2つあって、1つは単純に一番好きな学問が化学だったからです。小学校ぐらいから鉱石とか試験管に入った色鮮やかな液体とか、化学構造式とか、研究者っぽくて、かっこいいなあと思っていたタイプだったのです(笑)。もう1つの理由は、特殊な機能とか、性質を持った材料(例えば燃えない布とか)を作ることに興味があったからです。材料開発をするなら、理学部じゃなくて工学部だろうと思って、工学部化学科に決めました。実は化学科の受験には、ほぼ必須である数学が一番苦手だったため、悩む要素がない訳でもなかったのですが、当時の自分は成績とか現実的なことは、なんとかなるだろうで片づけて「興味があること」を優先していました。今振り返ってみると数学に関しては受験当日まで苦手意識がぬぐえず、かなり焦っていたし、結局ボーダーぎりぎりで合格、というなんとも結果オーライな感じでした(笑)。でも、おかげで来年から化学メーカーで機能性材料を作る、というドンピシャでやりたかったことができますし、「興味があること」を大事にして進路選択してよかったなと思っています。

2.      研究の難しさと楽しさ

私の大学では学部4回生で研究室に配属にされ、そこから自分のテーマをもって本格的に研究を始めます。私が自分の研究テーマについて最初に行った合成実験では、3回連続反応が全く進みませんでした。なんとその後も想定外の実験結果が続き、その原因も分からないというあり様でした。それまでの授業では、想定通りの結果が得られる「練習実験」しか、したことがなかったのです。未知からスタートする研究においては、想定した結果を得ることの難しさ(厳しさ)をしょっぱなから突き付けられました。初めの頃は実験結果に対する考察や打開策を提案することも難しくて、教授や先輩頼りだったため、自分には発想力がなく研究に向いていないのかなあ、と考えたりもしました。ただ、研究室の方々の取り組み方を見ているうちに、自分は発想力というより、圧倒的に知識量と実験のスキルが不足していると気づきました。そこからは関連研究の論文を沢山読んだり、研究室のメンバーとディスカッションしたり、上手くいかない実験でも少しずつ条件を変えて何度もトライしたりしました。すると、徐々に実験結果に対する考察や、アイデアの提案ができるようになってきました。そうやって学べば学ぶほど、できることが増えて、自分発信で研究が進んで、新しいことが分かっていくという実感が得られ、それが研究の楽しいところだと私は思ってます。長々と読みづらい文章になっていたらすみません。私の経験談は一例にすぎませんが、在校生のみなさんの進路選択の一助となれていたら幸いです