卒業生は宝物

素敵な写真があります。
暗いニュースが多い中、慈愛に満ちた瞬間、ずっと見ていたくなります。
この写真に写っている女性は本校の卒業生です。
在学中は理系クラスに在籍しつつも、分野を問わずいろんなことに関心を持ち貪欲に学んでいた生徒です。

今回そんな彼女から在校生に向けてメッセージを送っていただきました。
コロナ禍の今と少し状況は異なりますが、とても参考になる文章を書いてくださいました。

2回に分けてお伝えしますが、後日掲載する後半のメッセージには心が解放される(救われたような気持ちになれる)人が多いはずです。

こんにちは。

2017年に嵯峨野高校京都こすもす科共修コース自然科学系統を卒業しました、秋山千皓と申します。

現在は東北大学大学院農学研究科に通っており、来年の4月からは総合商社で働くことが決まっています。

何についてお話ししようかと迷ったのですが、「嵯峨野生の進路選択に役立つ文章を」とのことでしたので、一卒業生の例として、嵯峨野在学時から今の私に至る経緯をつらつらと綴らせていただければと思います。

私の人生に大きな影響を与えたのは、高校二年時のカナダ留学でした。
府立高校海外サテライト事業という京都府教育委員会のプログラムの一期生として、留学費用の半分程を支援していただく形でケベック州の Lester B. Person High School に4ヶ月間通っていました。
留学中に目にした、路上にいるホームレスの方々、当時のホットトピックであった “移民の受け入れ” に関して喧嘩になるほど意見を戦わせるクラスメート達。そういった出来事に「自分はいかに世間・世界を知らないか」を思い知らされ、国際開発問題に興味を持つようになりました。
そして帰国後、生物選択だった (大学入試制度が変わったようなので現在はわかりませんが、当時は生物か物理を選んで履修していました) 私の興味はおのずと「食」「農村」「食糧危機」に向かっていきました。

東北大学を選んだのは、受験時に学科を選択しなくて良かったからです。
国際開発学といった文系寄りの学問と、遺伝学といった理系寄りの学問の双方を農学部では学べるのですが、決めきれなかった私は考える猶予のある東北大学に進学しました。 (AO入試で合格した、関西を出たかったという堂々とは言えない理由もありましたが..)。

雪の日の東北大学キャンパス                                             

つづく