1年生
「ええところ」
作)くすのき しげのり Gakken
あいちゃんは、背が低くて、力もよわくて、足もおそくて、100てんなんか1かいもとったことがない。「わたしって、ええところひとつもないなあ」とともちゃんに言うと、ともちゃんがあいちゃんのええところを考えてくれることに…。自分の存在価値を求めて揺れ動く子どもの気持ちが痛いほど伝わってきます。自分のええところも友達のええところも認め合えるって、素晴らしいですね。
今日も1年生は元気いっぱいに反応してくれて、圧倒されました。
なお、作者のくすのきしげのりさんは、2016年1月12日に美山に来られたようで、学校にある本にサインをしていただいています。ぜひ、ご覧ください。
2年生
「くろくんとなぞのおばけ」
作)なかや みわ 童心社
おばけのしわざでしょうか? つぎつぎとほかのくれよんたちが連れ去られ、とうとうくろくんだけになってしまいました。「ぼく、絶対みんなをさがしだしてみせるぞ!」くろくんが、あやしい足あとをたどっていくと、ねずみの住む穴の中に…。おじいさんが元気になるように、くれよんたちは力を合わせて絵をかきました。大切な人とのお別れを優しい気持ちで包み込むお話です。
なぞのおばけの正体をさぐっていくドキドキの展開に、引き込まれるように最後まで楽しく聞き入っていました。
3年生
「ハシビロコウのはっちゃん」
作)よしだ あつこ すずき出版
ハシビロコウのはっちゃんは、いつもじっとしていて動かない。ほかの動物たちはそんなはっちゃんをばかにしてばかり。ある日、おなかをすかせたライオンがやってきて、動物たちに襲いかかろうとしたところへ…。
いざというときに頼りになるはっちゃんに、すっかり魅せられた子どもたち。最後の場面では拍手が沸き起こりました。
4年生
「しんぞうとひげ」
作)しまおか ゆみこ ポプラ社
おはなしをはじめるよ~「パウカー」「パカワー」!むかしむかし、あるところに心臓とひげがおりました。しんぞうもひげも、貧乏で、いつも腹をすかしておりました……アフリカタンザニアに伝わる、奇想天外な民話です。
でもその奥底には、ただ面白いだけでない、飢えているアフリカの生活が垣間見れる気がします。それでもアフリカの人々は、貧しくてもたくましいなあと感じます。子どもたちも前に席を寄せて、じっと聞き入っていました。
ものがたりの最後はこんな風に終わります。
「きょうの はなしは、これで、おしまい。ほしけりゃ、もってきな。いらなきゃ、海に すてとくれ。」
きっとみんな、海に捨てることなく、持って帰ることでしょう。
5年生
「のうじょうのいえ」
作)ソフィー・ブラッコール 評論社
この絵本の絵は、ニューヨーク州にあって、倒壊した19世紀の農家から回収された壁紙・ノートブック・新聞、紙袋・衣類・カーテン・ひもが使われています。それらを使って、昔、その農家に住んでいた人たちの生活がいきいきと手に取るように再現されています。家そのものはなくなっても、家の歴史や住んでいた人たちの思いはずっと生きつづけていくのですね。
細かいところまで丁寧に書かれている美しい絵をじっくり見ながら、静かに聞き入っていました。
6年生
1冊目は
「クリスマスのかくれんぼ」
作)いしかわ こうじ ポプラ社
りーす、くりすますつりー、さんたくろーす……。
クリスマスにちなんだ絵柄がつぎつぎに登場します。
ページをめくると、最初は声が小さかったのですがだんだんと大きな声で、次は何かを言い合って盛り上がりました。
そして、2冊目は
「戦争をやめた人たち」…1914年のクリスマス休戦…
作)鈴木 まもる あすなろ書房
1914年、第一次世界大戦開戦から5カ月後のクリスマスイブ。
イギリス軍兵士は、その夜、敵側のドイツ軍から音が聞こえてくることに気づきます。それは敵のドイツ軍が歌う「きよし このよる」のメロディでした。
「きょうは12 月24日 、クリスマス・イブなんだね」
「そうだったな。ドイツにもクリスマスがあるんだなあ」
「こっちも、歌おうか」
イギリス軍の兵士が母国語で「きよし このよる」を歌うと、ドイツ軍から拍手が聞こえました。続いてドイツ軍から別のクリスマスソングが歌われ、イギリス軍も同じ歌を母国語で歌いました。そうして両軍でクリスマスソングを歌い合いながら、イブの夜は更けていきました。
翌日、ドイツ軍側から一人の兵士が手を挙げて、イギリス軍側へ歩いてくる姿が見えました。イギリス軍の若い兵士も同じように手を挙げてドイツ軍側へ歩いていきました。この後、一体どうなったのでしょうか……。
この絵本の「あとがき」の絵を描いているとき、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻のニュースが流れてきたそうです。
まだ「戦争」を始める人間がいる現実に愕然としつつ、戦争よりも強い人のやさしさと想像力が描きたくて、絵を完成させられたとのこと。
静かに聞き入るこどもたちが、まさに今この時にこの本と出会い、戦争はいらないという作者の強い思いを感じたことでしょう。