将来を見据えて


移行支援(就学前~社会参加へ)

移行支援の大切なポイント

 就学や進学、就労による移行は、児童生徒、保護者、学校にとって大きな節目です。高校入試(大学入試)に意識が向きがちですが、何より大切なのはその先に繫がる本人主体の学びや生活です。
 将来のことを見据えていくためには、教職員は児童生徒本人が何が好きなのか、何に興味があるのかなどを知ろうとすることも大切です。

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移行支援の大切なポイントを就学前から高等学校卒業まで解説している。
①就学前から小学校、中学校段階において実践の積み上げをする。例、幼児児童生徒の記録を活用する。エピソードの記録をする。その際には、うまくいかなかったことも記載する。
②合理的配慮の内容と根拠について。
実態把握、本人との合意形成、医療連携等
③移行に向けて。
ロードマップを作成する。
今後の方向性や流れをあらかじめ確認する。全教職員で共有する。
さらに、高等学校段階において支援を考える上では、これまでの支援を引き継ぐこと。校内で共有すること。公平性や妥当性を再確認すること。合理的配慮の日々の記録を蓄積すること。関係機関との連携を図ること。本人が学び方を選択できる環境づくり等が大切です。
見据える目標は社会参加であり、早期から自己理解を育み、学び方を自分でカスタマイズする力を養い、自分に必要な支援を人に伝える力(セルフアドボカシー)を身に付けていきましょう。

指導助言

 客観的アセスメントと移行支援の重要性
 
 特別支援教育を受ける児童生徒は、「所属学級」、「通級」、「家庭」、「進級・進学後の学校と学級」というように、異なる環境を行き来しながら学んでいます。それぞれの学びの場面で、その児童生徒の困難を関係者が共有することができる、共通した言語や物差しがないと、外見上からはっきりと見える障害があるわけではない児童生徒の、特異的な学習上の困難は見過ごされたり、軽視されたりしがちです。客観的なアセスメントの結果は、共通言語や物差しになることができます。また逆に、困難が特異的であることを示す客観的なアセスメント結果がないと、読むこと・書くこと等の特異的な困難以外の部分に、その児童生徒の独自の強みや才能があることもまた、見過ごされたり、忘れられたりすることもあります。アセスメントは児童生徒に「社会的烙印(スティグマ)」を押し付けることになるのではないか、と教員や保護者から危惧され、忌避されることもあるのは事実です。また過去の歴史では、制度的に、アセスメントの結果から、通常の学級で学びたいという強い希望を持つ本人や保護者の意思が否定されてきた経緯があるのも事実です。しかし、合理的配慮が制度化されたことで、アセスメントが、教育機会からの排除やスティグマの生産ではなく、学ぶ機会の保障を明らかにする意味が生まれてきました。
 また、移行期には、本人の学習上のニーズが軽視されたり、忘れられたりすることが少なくありません。ICTの利用は、他の児童生徒が紙と鉛筆で学んでいる中、一人だけ異なる方法を用いる必要があることから、どうしてもそうした事態が起こりやすくなります。「ニーズとその根拠」が「客観的に共有できる形で」存在することが、特別なニーズのある児童生徒の移行期を支えることができます。この3年間の、研究協力員の先生方とのプロジェクト会議では、様々な考え方や合理的配慮に関する理解度の違いのある関係者がおられる中、根拠を示して関係者とICT利用のニーズについて共通理解を作ろうと先生方が奮闘され、その学校や地域で過去になかった新しい事例(中学校への移行・支援の申し送りや、試験場面でのICT利用など)を生み出して行かれる姿を目の当たりにして、私自身いつも力づけられる日々でした。
 加えて、これらのアセスメントと移行支援の取り組みは、通級が核となり、京都府総合教育センターが後方支援する形で行いました。このような体制は、本来は、研究事業などの特別な取組が行われる期間だけではなく、永続的に資源が用意されているべきことです。しかし、現実的な視点に立てば、全国の学校が苦労している部分もまた、これらにあることも事実です。今回の取組を基礎として、京都府で継続的な取組が行われることを期待しています。
(平成30年度研究 東京大学先端科学技術研究センター 近藤 武夫 准教授)

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