サマーセミナー「地理地学巡検」実施。百瀬川扇状地・年縞博物館・モホ面露頭・舞鶴湾溺れ谷地形を見て回る。

 本年のサマーセミナー「地理地学巡検」を7月28日(金)に実施ました。大型バスに乗り、近畿地方北部の地理や地学に関わる巡検ポイントを見て回りました。

             地理院地図に加筆

 まず向かったのが、地理の聖地「百瀬川扇状地」です。地理の教科書や資料集に必ずと言っていいほど登場する百瀬川扇状地ですが、京都に近いにもかかわらず、実際に現地へ行く機会はほとんどありません。今回の巡検は実際に教科書に登場する場所を確認できるよい機会です。

 現地に到着するまでにバス内で、近畿地方北部の断層運動について、教員からレクチャーがあった後、バスは「近江中庄」駅に到着しました。所謂「扇端」にあたるこのあたりには、湧水地があるはずです。少しうろうろと歩き湧水地を探しあて、その水に実際に触れてみました。暑い日でしたのでその水の冷たさが印象に残りました。次に教科書にも登場する百瀬川の「天井川」の百瀬川隧道を見に行きましたが、昨年からの工事で天井川下のトンネルがついに撤去されていました。撤去された後の天井川の断面がきれいに見えました。

扇端の湧水地を確認
天井川の断面がきれいに見えました

 百瀬川扇状地を見学後、福井県に入りました。事前にバス内では、C14年代測定法やO18・花粉分析などによる古気候の復元、ミランコビッチサイクルやダンスガードオシュガーサイクルなどについて、自然地理を専門とする教員からレクチャーがありました。年縞博物館では館内の方から丁寧な説明がありました。7万年もの間、1年の欠けもなく堆積し続け、奇跡的に現在まで残った縞模様である「年縞」の本物を目の前にしながら、生徒たちは熱心に聞き入っていました。偶然の発見から世界標準になるまでの話は本当に聞き応えがありました。

  年縞博物館内で説明を聞く(年縞博物館の許可を得て掲載しています)

 昼食後、大島半島のモホ面露頭に向かいました。大島半島は、海洋プレートが陸上に露出した複合岩体である「夜久野オフィオライト」の中で海洋性地殻と地球内部のマントルの両方の部分が見られる珍しい場所で、日本で唯一モホ面の露頭がみられる場所です。私たちはトンネルを抜けた左カーブでバスを降り、モホ面の露頭を観察しました。かんらん岩とはんれい岩の両方が確認できました。大切な露頭です。露頭には触れないようこころがけました。

 露頭の前でオフィオライトの説明を聞く
露頭に近づき、観察する

 この日の巡検の最後は、バスで五老ヶ岳に登り、逆Y字型をした舞鶴湾を一望しました。城下町として発展した西舞鶴と軍港として発展した東舞鶴の違いが確認できました。

舞鶴湾口を望む
溺れ谷地形が天然の良港になっている様子を確認する

(なお、本取組はSSH事業のひとつとして実施されました。)