森林に魅せられて

先輩からのメッセージ
  今回嵯峨野生のためにメッセージを寄せてくれたのは、在学中から様々なことに興味をもち、即行動に移し、さらに新たな興味の芽を膨らませるという高校時代を送っていた先輩です。水泳部の活動を続けながら懸命に高校生活を駆け抜けた、そんな印象です。

こんにちは2017年京都こすもす科共修コース自然科学系統卒業の二宮亜由美と申します。

2021年に京都府立大学を卒業し、現在は大分県に事務所を構える九州林産株式会社林業部※で、森林管理の仕事をしています。高校、大学での学び・経験を通してどう進路を決めたかと、現在の仕事の内容についてご紹介します。
※九州林産とは下記の業務を担う九州電力グループの企業です。
発電所の緑化工事・公共の都市公園整備工事・高速道路緑化工事
九州電力が保有する森林管理他を業務とする。(九州林産HPより抜粋)

1.「森林」との出会い

 幼少期から高校時代に至るまで森林との関わりは全くありませんでした。  

 そんな私の転機となったのは、嵯峨野高校がスーパーグローバルハイスクールの認定を受けていた際に参加した10日間のフロリダ研修です。事前学習として、日本の自然を現地の高校生に紹介するスライドを作っていた時、「日本の国土面積の7割が森林」だと知って、驚愕したのを覚えています。

 いざフロリダに行ってみると、視界に森林が入ることはなく、森林が日常の風景の中に存在していることが当たり前でないことを知りました。同時に、「静かに存在している」森林がどんなもので、どんなふうに私たちの生活とかかわっているのかについて興味を持ち、森林について学ぶべく京都府立大学生命環境学部森林科学科に進学することを決めました。

ジュピター高校(フロリダ)の授業で訪れたエバーグレーズ国立公園

2.大学での学び

 大学では、森林について、生物的、物理的、化学的な視点から幅広く学びました。

 森林について知識が深まっていく中で、「管理されていない森林が増加している」こと、言い換えるならば「森と人に距離がある」現状を変えたいという思うようになりました。就職活動は、この思いを軸に、持続可能な森林管理と未来を担う子供たちに向けて環境教育を行っている会社を探し、縁あって今に至ります。

3.仕事について

 仕事の内容としては、主に九州電力社有林の管理です。総面積4447haのうちの一部が担当山林として与えられており、森林の状態を見て下刈り、除伐(枝打ち)、間伐といった施業の計画・発注をします。

 林業の現場の知識がほとんどないのにも関わらず、経験が豊富で現場をよく知っている協力会社の方に作業を指示するということがとても大変です。加えて、大分訛りがとても強く、意思の疎通ですら困難な時があります。

 その壁を乗り越えて初めて発注した間伐作業では、作業前の森林と比較して光がよく入る健全な森林へ導けたという実感があり、やりがいを感じました。

 また、環境教育の講師として子供たちに森の役割を教えることもあります。「森ってすごいんだね」と小学生が目を輝かせながら言ってくれるのを聞いた時には、「これこそやりたかったことだ!」と強く思いました。

次回につづく