2月27日(金)、第78回卒業証書授与式を講堂にて挙行しました。九条家ゆかりの御門を開放し、御来賓や保護者の皆様に御臨席いただく中、3年間の学びを通してたくましく成長した卒業生が、晴れやかな面持ちで思い出の学び舎を巣立ちました。

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「校長式辞」を掲載いたします。

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 梅の花がほころび、日差しに春の気配を感じる今日の佳き日に、京都府立鴨沂高等学校 第七十八回卒業証書授与式を挙行するにあたり、本校PTA会長 古澤 奈央子 様をはじめ御来賓の方々並びに、保護者の皆様の御臨席を賜り、高壇からではございますが、卒業生、教職員一同とともに厚く御礼申し上げます。日頃より本校の教育に深い御理解と御支援を賜り、誠にありがとうございます。保護者の皆様におかれましては、立派に成長されたお子様の姿に、感慨も一入の ことと存じます。御卒業をお慶び申し上げます。

  ただいま卒業証書を授与しました皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんが緊張の面持ちで鴨沂の御門をくぐり、入学されたあの日から早3年が経ちました。みなさんが入学された年から、入学をお祝いし、また鴨沂の歴史を知る機会として、こちらのスタインウェイピアノを活用した、ミニコンサートの開催を始めました。プロの演奏家による美しい音色とリズムを楽しみ、少し緊張が解けていってくれたことが昨日のことのようです。そして、先輩達が主体となって新入生歓迎イベントや文化祭、体育祭さらに、七夕、ハロウィン、クリスマス、バレンタインと季節ごとに次々とイベントが開催される様子を見て、自分たちも一緒に取り組みたいと早くから生徒会活動に参加してくれる人がたくさん現れ、頼もしく思っていました。生徒会役員選挙では、一番多い時には、会長に9名も立候補者が出て、立候補の応援演説を紙面にせざるを得ないほど、熱を帯びた選挙戦が繰り広げられました。残念ながら当選しなかった人も、その後生徒会の一員として活動に参加してくれて、鴨沂をもっと盛り上げよう、学校生活をよりよくしようと努めてくれたことに改めて敬意を表します。生徒会の取組のみならず、行事に、部活動に、全力で挑む皆さんの姿は本当に頼もしく、3年生となって、その成果が大きく花開きました。全国大会優勝を含む顕著な成績を収められた皆さんには、昨日鴨沂教育賞として表彰したところです。

 そして1年生のときの本校同窓会前会長の木村 亮 様による御講演をきっかけに、2年生で単身アフリカの地へ赴きNGO活動に参加した人を始め、フランスの姉妹校ジュールゲート国際高校を訪問した人や個別に留学を経験した人もいました。逆にジュールゲード国際高校やアメリカ・サウジアラビアなど各国から本校を訪問した人々を熱烈に歓迎して交流を深めることもできました。さらに、本年度は大阪関西万博の取組の一環として、モンゴル国の方々をお迎えし、茶室でお茶をもてなし交流する機会もありました。また、探究活動では本校所蔵の貴重な資料を活用し、その成果を校内のみならず、大学等で発表し栄えある賞を受賞したり、学校ホームページへ掲載したりと発信にも努めてくれました。本校のスクール・ミッションの冒頭には「京都や日本の文化に関する教育活動や国際交流活動に取り組む」と書かれており、この使命を果たすことができたのも皆さんのおかげと感謝します。

  3年間を通して、高校生の本分である学習にも、常に真摯に励む姿も見せてもらいました。特にこの1年は自らの進路目標達成のため、自習室やマルチメディアセンターを活用して勉学に励む姿を見せてくれたりしたことは、後輩達の良き手本となっているところです。憧れの先輩達の後ろ姿を追って、後輩たちも日々勉学に、学校行事に部活動に励んでいるところです。

  さて、皆さんが鴨沂で充実した高校生活を送った3年間ですが、学校の外に目を向けると、日本では2024年1月1日に能登半島地震が起こり、人々の暮らしに全く関係なく自然災害が起こることを改めて思い知らされました。毎年、尋常ではないほどの夏の猛暑に見舞われ、これもまさに災害級でした。また、自然災害ではありませんが、この3年間で生成AIは飛躍的な進化を遂げ、どんどん活用が進み、便利になる一方で偽情報もあふれ、真偽の見極めが困難な状況も生まれてきています。さらに世界では、各地で大きな紛争が絶えず起こっており、理不尽に命が奪われることへの強い憤りと深い悲しみを禁じえません。これらは、3年前には予測できなかったことや、予測できていても人々が対応できなかったこと、解決できていないことの一例にすぎません。以前より、予測困難な未来社会と言われてきましたが、もうすでに現代は予測困難な社会に突入しています。あまりに大きく困難な課題に、一人では立ち向かうことなど到底できません。しかし、鴨沂高校は教育目標として「世界平和を希求し全ての人が幸福になる社会を目指して、事実に基づいて真理を追究し、それに従って実践しようと努力する人間の育成」を掲げてきました。みなさんが、鴨沂で培った資質・能力を活かし、事実に基づき真理を追究し、課題を明らかにし、起こりうることを想定して備え、志を同じくする人々と手を携えて、一歩一歩歩みを進め、少しずつ社会をよりよくすることに貢献してくれることを期待します。鴨沂高校を離れた後に、一人ができることはほんのわずかでも、崇高ではるか彼方の目標である「世界平和と全ての人が幸福となる社会」を共に目指していきましょう。

  最後になりますが、皆さんが母校を懐かしく思うときは、遠慮なく訪れてください。鴨沂高校は、これからもずっと皆さんが帰る場所であり続けられるよう、不断の努力を重ねて参ります。卒業生一人一人の御活躍と御健康を心より祈念し、式辞といたします。

                                           

                             令和八年二月二十七日

                             京都府立鴨沂高等学校

                             校長  松井 佳代美