歴史と伝統ある鴨沂高校では、多くの名画を所蔵しています。
その中から代表的な数点をご紹介します。
「夕暮」(部分) 上村松園 1941年作

優美で気品の高い独自の美人画の様式を確立し、女性として初めて文化勲章を受賞した上村松園(1875~1949)の晩年の名作。
たそがれ時に、障子の傍らで、針に縫い糸を通そうとしている女性...。
ありし日の母への想いが描かれている。
「夕月」 中村大三郎 1931年作

昭和はじめに当時のモダンな現代婦女図を次々と発表して注目をひいた頃の作品。
中村大三郎は京都生まれの京都育ち。
京都市立絵画専門学校(現京都芸大)卒業後は西山翆嶂の青甲社で学んだ。
第2回、第4回帝展で特選をとる。
母校の京都市立絵画専門学校教授として後輩の指導もした。
「秋のみのり」 三谷十糸子

194cm×119cmの大作で、当時の新しい技法をたくみに使った心あたたまる作品。
三谷十糸子は上京して女子美術学校卒業後、京都で西山翆嶂に師事して青甲社の会員として活躍。
日展で文部大臣賞も受けている。母校の女子美術学校の学長もつとめ、後輩の指導にあたった。
「山家」 太田喜二郎 1916年作

京都西陣生まれ。
東京外語(現東京外大)の英文科と仏文科を卒業、東京美術学校(現東京芸大)洋画科を卒業すぐにヨーロッパに留学。
ベルギーのガン美術学校に入学してウィットマンについて勉学。
5年後にヨーロッパ諸国を歴訪して1913年に帰国。
翌年より文展出品、毎回受賞。帝展、新文展、日展の審査員もつとめる。
画風は「山家」に見られるように、最初のうちは新印象主義をとりいれ、当時としてはもっとも新しい点描の技法をつかい描いた。
のち漸次アカデミックな写実の手法と同化していった。