入学式「式辞」   

 柔らかな日射しに包まれ、桜が満開のこの良き日に、令和二年度京都府立鴨沂高等学校入学式を挙行いたしましたところ、御多用の中、多数の保護者の皆様に御臨席を賜り、新入生の門出を祝福していただきますことは入学生、また、私たち教職員、在校生にとりましても、誠にうれしく光栄に存じます。高壇からではございますが厚く御礼申し上げます。
 
 先ほど、二百四十名に入学を許可いたしました。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を祝福するとともに、心から歓迎いたします。皆さんは、本日から京都府立鴨沂高等学校の生徒として、学ぶこととなりました。本日の皆さんの喜びは、皆さんがこの三年間努力を積み重ねて来られた結果であることは申すまでもありませんが、今日まで皆さんを支えてくださった方々に、今一度、感謝の念を表し、高校生としての第一歩を踏み出してください。
 
 本校は、明治5年創立の我が国最初の公立女学校である「新英学校及び女(によ)紅(こう)場(ば)」に始まり、今年度で創立148年目を迎えます。高校時代のさまざまな経験を通して、高い理想を持ち、たくましく、誠実な人として、社会の中で信頼される人に育ってほしいと願っています。
 
 さて、日本や世界は、誰も経験したことのない困難と闘っています。本日から新年度が始まりましたが、来週の月曜日から5月6日まで再び臨時休業となります。これからの高校生活がどうなるだろうかと、不安な気持ちで一杯だと思います。ですが、自分の命、周りの人の健康を守るために、今自分のできることを考え、責任ある行動をとるようにしてください。世界が、今の状況から抜けだし、皆さんとともに、安心して日々の生活を送れる、さりげない日常が迎えられることを、切に願っていますし、皆さんとともにこの困難を乗り越えていきたいと思います。

 さて、ここで、みなさんの入学に際して、私の思うところを述べて、みなさんへの激励としたいと思います。

 まず一つめは、「主体的に学ぶ」ということです。
 皆さん一人一人の積極的な学びを通して、基礎学力をしっかり身に付け、その土台の上に思考力や表現力を築いていきます。そのためにも、学校再開の後には、日々の授業に、受け身の姿勢ではなく、「なぜそうなのか」と常に自(じ)問(もん)自(じ)答(とう)しながら、一つ一つの授業を大切にし、学ぶ心を熟成していってほしいと思います。高校時代に身に付けた思考の回路は、一生消えることはなく、経験したことのない課題に直面した時に、解決の道を開いてくれるものです。みなさんは、あらゆることに興味を持って、学んでほしいと思います。

 二つめは、「協力して生きる」ということです。
 学校は人と人とのふれ合いを通して、豊かな人間性を育む場です。人は、人と人との関わりの中で、豊かに成長します。互いに違いを認め合った上で、互いの人格を尊重し合える関係ができれば、人間関係はどれだけ豊かになるかと思います。皆さんが、鴨沂高校生として、「いたわり」・「他人の痛みを感じること」・「やさしさ」を大切にする本校の雰囲気、校風をさらに高めていってほしいと思います。

 三つめは、一生を託せるような「夢を育む」ことです。
 自分の将来の「夢」について、じっくり考えることが大切です。慶應義塾創始者の福沢諭吉が述べたと言われる「七つの教え」の一つに「世の中で一番楽しく、立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つことです。」とあります。皆さんが、よき人生を送るためにも、本校在学中に自らの「夢」を育み、その夢に向かって自分の可能性を磨いてほしいと思います。

 後になりましたが、本日御臨席いただきました保護者の皆様、お子さまのご入学、誠におめでとうございます。鴨沂の制服に身を包み、晴れて高校に入学されましたお子さまの姿をご覧になり、感慨もさぞひとしおのことと存じます。私たち教職員は、保護者の皆様の期待に応えるべく、最大限の努力をしてまいります。しかしながら、高校生という時は多感な時期であり、苦しみや挫折を味わう経験も多々あろうかと思います。それを乗り越えるためには、本人の努力とともに、家庭と学校が互いに協力し合い、支援することが大切であると考えます。ぜひ、保護者の皆様の学校への御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 結びに当たり、新入生の皆さんが、新しい出会いの中で、学習や部活動などを通して、さまざまな学びや素晴らしい経験をすることにより、楽しく、豊かな学校生活を送るとともに、鴨沂高校の新しい歴史を築いてくれることを期待して、式辞といたします。素晴らしき高校時代を!

                               令和二年四月八日
                                 京都府立鴨沂高等学校
                                 校 長 吉 川  孝

始業式「式辞」

 みなさんおはようございます。このたび、鴨沂高校の校長として着任しました吉川 孝です。はじめまして。よろしくお願いします。

 今年も、春が来て、桜が満開の中、新学期が始まりました。コロナウイルス感染症のため、3月2日から臨時休校、3月25日からは部活動の再開、そして今日から新学期が始まりましたが、再び来週から5月6日(水)まで休校となりました。大変な日々が続いています。本来でしたら、2,3年生の皆さんと講堂で集える予定でしたが、放送で始業式を行います。また、始業式の前に、御退職・御転出された先生方、そして、本年度、御着任された先生方の紹介をするべきところですが、後ほど、お名前を印刷したものを配布しますので、よろしくお願いします。

 さて、皆さんも大変驚いていることと思いますが、部活動が再開され、新学期が始まるとしたときなので、また、休業になるのはとても大変で、つらいことです。今後の人生でもあまりないかもしれません。しかしながら、自分の命、周りの人の健康を守るために、今、自分は何ができるか、今何をすべきかを考えて、一人一人が責任ある行動を取るようにしてほしいと思います。そして、学校再開の日を願って、これからの日々を大切に過ごしてほしいと思います。学習を自主的に進めることや、エクササイズしたり、また、こんな時だからこそ、お家の方の助けになったりと、積極的に協力して欲しいと思います。そして、学校が再開された日には、元気な顔で集まってください。私も、皆さんと"face to face"で自己紹介できればと思います。そのときを心待ちにしています。

 さて、午後からは、入学式があります。新入生が入学し、3年生の皆さんは最高学年として、2年生の皆さんは中堅の学年として、それぞれ重要な年となります。高校の3年間は、人間としての基礎を固める大切なときです。皆さん一人ひとりがそう思っていますように、卒業時に「鴨沂高校で本当によかった」と心から思える、かけがえのない素晴らしい高校時代を送ってほしいと思います。そのためには、学校が再開されるまで、体調にはくれぐれも気をつけて過ごしてほしいと思いますし、再開されたら、優しく、豊かな人間性を持った鴨沂高校生として、自他をリスペクトする中、思いきり学習し、学校行事、部活動、生徒会活動やさまざまな活動に全力で取り組んで下さい。思いきり取り組み、楽しむ皆さんの姿を楽しみにしています。校長として全力で応援していきたいと思います。

 今、日本や世界は、誰も経験したことのない困難と闘っています。先日、フィギアスケートの宇野選手が、世界選手権中止を受け、こんなことを言われていました。「今回、このような形でシーズンが締めくくられてしまうことに残念な気持ちもありますが、まずは、世界中の人々が安全な日常を送れる日が一刻も早く来ることを願っていますし、これからも今自分にできることを精一杯やっていきたい」と。世界が、今の状況から抜けだし、安心して日々の生活を送れる、さりげない日常が迎えられることを、切に願っていますし、皆さんとともにこの困難を乗り越えていきたいと思います。皆さんも、今、自分のできること、気をつけることを考えて、十分注意して毎日を過ごしてほしいと思いますし、大変だと思いますが、協力をお願いします。それでは、皆さんにとって、今年度が素晴らしい一年となりますことを祈念して校長式辞とします。ありがとうございました。