2学期終業式 校長式辞

第2学期終業式式辞

令和3年12月24日(金)

 

皆さん、おはようございます。長かった第2学期が今日で終了します。

感染状況が大変厳しかった2学期のスタートでしたが、9月30日に緊急事態宣言が解除となり、コロナの感染状況も少し落ち着きを見せる中で、10月7日には体育祭を実施することができました。今年度唯一の大きな行事を、3年生の素晴らしいリードのもと大変良い行事にできたことをうれしく思っています。その後も部活動の大会やオータムコンサート、講師さんを招いての講話学習や2年生のバラ寿司体験等も実施することができ、長かったけれど密度の大変濃い2学期であったと思います。

皆さんは何が一番印象に残っていますか?

 

さて、今日の終業式では2つのことをお話しします。

 

1つ目は、授業についてです。いろいろな事はありましたが、一番時間が多かったのはやはり日々の授業です。その毎日の授業で、仲間とつながり、仲間の考えを尊重しながら自分の考えを深め、日々成長していく姿がありました。

たとえば1つ、3年生の道徳で『注文をまちがえる料理店』という教材で授業が行われました。この授業では、認知症の人がレストランで働く様子を動画でも見ながら、一生懸命生きようとする人の生き方、またそれを支える社会についても考えることができたことと思います。先生もユーチューブで検索して何本か動画を見ましたが、心が温かくなりました。

その道徳の授業の後に書いた、3年生男子の振り返りの文章を紹介します。

「病気になろうと、人は人、そのことに変わりはなく、僕たちと同じように、あるいはそれ以上に一生懸命に生きている人がたくさんいることがよくわかりました。『自分も認知症になるのかなー』と少し不安に思ってしまうこと、『人生に終わりが来るのが怖い』と思うこともあるけれど、自分らしく生きられずに死ぬのはもっと怖いし、それはみんな同じだと思います。だから、これからはみんなのそれぞれの個性を認め、間違いを責めすぎないようにしていきたいです。また、みんながお互いに足りないところをおぎない合っていき、個性を認めあっていけば、みんなが自分らしく生きていける社会が作れると思います。」と書いていました。この文章を読んで、豊かな心の成長が見られたすばらしい1時間の授業だったんだろうなと、うれしくなりました。

皆さんが答えてくれた2学期を振り返ってのアンケートの中でも、問いの15番『グループ学習・教え合い学習では、わからないことを聞いて自分の考えを伝えたり、友達の考えを聞いたりしていますか?』という問いに、90%の人がそう思う、ややそう思うと答えています。みんなでつながりを大切に成長していける峰山中学校の授業の良いところを大事にして、さらに伸ばしていきましょう。

 

さて、2つ目は家庭学習の話です。少し先生の中学校時代の話をします。

先生は、今は再配置でなくなってしまった高龍中学校出身なんですが、家から学校まで8.7キロの距離を自転車で通学していました。台風の後の南風が強い日には、1回もペダルをこがずに、5Kmくらい進んだこともあります。それくらい山の上の方です。そして、昔は雪もよく降りましたので、冬は自転車で通えませんでした。それで、12月から2月の終わりまで、中学校のグラウンドの横の方に3つの集落の中学生が共同生活をする寄宿舎という建物が建っていて、冬の間は、そこで集団生活をしていました。昔は土曜日の午前中まで授業がありましたから、月曜日の朝、荷物を寄宿舎に持って行ってから登校し、土曜日の昼ご飯を食べて部活動をしてから家に帰っていました。その間が寄宿舎での生活です。月曜日から金曜日までは、夕方5時ごろに寄宿舎に帰って、5時半ごろから夕食を食べて、1時間くらいみんなで、体育館でバスケットをして遊んで、寄宿舎に帰ります。

前置きが長くなりましたが、聴いてほしいのはここからです。

午後7時から9時までの2時間が学習の時間です。先生は同級生の男子が1人だけだったので、3年間、二人だけで静かに勉強する環境がありました。そこにはテレビもラジオも持ち込めないので、この3か月間はきちんと2時間勉強をし続けることができました。

今、自分の人生を振り返ってみると、この寄宿舎で学習だけに集中できた時間の積み重ねが、その後の自分の勉強に向かう基礎を作ってくれたように思います。高校も学校まで9km以上ある通学距離でしたので、部活動で疲れて帰るとなかなか普通の日に勉強する時間がありませんでした。自転車で山の上の方まで帰るのは大変でした。日頃勉強できない分、テスト前の土曜日や日曜日には10時間以上勉強だけに集中していました。寄宿舎で勉強だけに集中できた時間・経験があったことが、勉強をしなければならない時に、そこへ向かうことができたんだと思っています。この勉強だけに集中できる環境を自分で作ったわけではないのですが、でもこの環境があったことに感謝しています。

今の時代、ゲームやSNSやいろいろな物が周りにはあって、2時間勉強だけに集中するのは難しいのかもしれませんが、そういった時間を積み上げることで、また勉強しかできない環境に自分の身を置くことで、人生が開けることがあるかもしれません。図書室に勉強しに行くとか、家で何もない一人の場所を作って勉強するとか、塾に行っている人なら自主学習室を利用するとか。

3年生は今、朝早く登校して、20人くらいの人が30分だけでも、この勉強だけに集中できる時間を過ごしています。

2学期を振り返ってのアンケートでも、3年生だけは家庭学習時間が増えていました。それは受験期で当たり前なのかもしれませんが、勉強をしなければならない時は、必ずあります。3年生にとっては次の市の学力検査まで、明日から勝負の17日間が始まります。体調管理に注意しながら、学習に励んでください。1・2年生の皆さんも、自分の夢に近づく希望進路を実現するために、今から1年後、2年後を見据えて、勉強だけに集中できる、家庭学習習慣をしっかりと作ってください。

 

結びに、今日の終業式は第2学期の締めくくりであるのと同時に、令和3年、2021年の締めくくりでもあります。「1年の計は元旦にあり」と言われるように、今年1年間を振り返り、1年後のなりたい自分をイメージしながら、新年の目標をしっかりと持てる冬休みにしてほしいと思います。少し厳しいことも言いましたが、本当によく頑張った2学期でした。心と体を上手に休めながら、またエネルギーを蓄えてください。1月7日、全員が元気に3学期始業式を迎えられることを願い、2学期終業式の式辞とします。

 

       京丹後市立峰山中学校 

          校 長  上田 隆嗣

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