令和3年度卒業証書授与式式辞

第75回京丹後市立峰山中学校卒業式 式辞

近年まれにみる大雪となった厳しい冬もようやく終わり、野山に春の息吹を感じるころとなりました。本日、第75回京丹後市立峰山中学校卒業証書授与式を挙行しましたところ、ご来賓として京丹後市教育委員会 教育委員 田村 浩章(ひろあき)様、本校PTA会長 後藤孝匡(ごとう・たかまさ)様、そして多くの保護者の皆様に御臨席を賜りましたこと、高段からではございますが、厚く御礼申し上げます。

さて、106名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんが入学してから三年が過ぎました。本当に早かったのではないでしょうか。特に皆さんには、中学校生活の半分以上を感染対策に気を配っての生活を強いることとなり、のびのびと活動させてあげることができず、大変残念でなりません。ボランティア活動や職場体験、福祉の現場を体験すること等、経験をすることで得られるものはたくさんあります。中学校時代にできなかったことを心に留め、次のステージでは、より積極的に行動して頂きたいと思います。

そのような中でしたが、昨年四月には緊急事態宣言発令直前に修学旅行に行くことができました。感染対策を十分に行いながらの旅行ではありましたが、仲間と共に過ごした三日間は、かけがえのない思い出となっていることでしょう。皆さんには当たり前だったのかもしれませんが、皆さんの時間意識の高さは、私が20回近くいった修学旅行の中でも最高でした。誰ひとり、一度も遅れることなく集合しました。時間が守れることは、信頼を得る重要な要因となります。仲間と一緒だったからできたのかもしれませんが、今後の人生でも生かしてください。

そして、平和記念公園での平和学習。被爆された方の講話や広島平和記念資料館の見学などでたくさんのことを学びました。いま、世界の平和が脅かされる緊迫した情勢の中ですが、もう一度平和の尊さを思い出し、自分たちが作り出す未来に、強く関心を持った生き方をしてほしいと願っています。

もう一つの大きな行事、体育祭を十月に実施することができました。例年より一ヶ月遅れ、限られた条件の中での活動でしたが、ここでも感染対策を徹底し、大きな声が出せない、距離が近づけないといった条件がある中で、三年生の英知を結集し、下級生のやる気を引き出し、素晴らしい体育祭を実現しました。それぞれのブロックのスローガン、『SUPER STAR』、『天下無双』『飛べ、~一人一人の羽を翼に~』を、事前録音した心のこもった掛け声とともによさこいで表現し、感動を呼ぶ演技に仕上げました。下級生を指導する難しさに悩みながらも、三年生が一丸となり、峰山中学校の素晴らしい体育祭の伝統を引き継いでくれたことに感謝しています。今教室で皆さんの姿を見ている在校生が、さらに発展させてくれることでしょう。

この他にも、仲間とともにつながりを大切に学び合った学習活動、日々の学校生活を質の高いものにするために取り組んだ生徒会活動、そして、仲間を信じ、感謝の気持ちを大切に、全力を尽くした部活動。コロナ禍で苦労することが多かったから、より深まった絆もあったことと思います。仲間と共に過ごした三年間を宝物に、新たな道へ力強く踏み出してください。

さて、今年度はオリンピック・パラリンピックの年でもありました。夏の東京、冬の北京。新たな進路の実現に向かう皆さんの大切な年に、数々のアスリートの競技に向かう姿勢や決してあきらめない気持ちがメダル獲得につながったシーンなど、たくさんの感動に出会い、決意を新たにした人もいたと思います。そんな中でも私はフィギュアスケートの羽生結弦(はにゅうゆずる)選手の挑戦が大変印象深く残っています。果敢に挑戦した四回転半のジャンプは成功せず、四位に終わった後、羽生選手は、「一生懸命頑張りました。正直、これ以上ないくらい頑張ったと思います。まあ、報われない努力だったかもしれないですけど。」とコメントしました。この羽生選手の発した「報われない努力」という言葉が、多くの人々の心に刺さりました。なぜなら、オリンピックを二連覇し、四年後の北京に向けて挑戦・努力をし続けた姿をみんなが知っているからです。その成果は結果として出なかったけれど、この間の羽生選手が挑戦・努力をすることで一段と大きく成長していることを多くの人が認め、讃(たた)えていました。本当に素晴らしい挑戦であったと思います。皆さんにも結果だけでなく、挑戦し、努力を続けることが自分を成長させ周りから認められる、そんな生き方も大切にしてほしいと願っています。

後になりましたが、保護者の皆様、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。今日の日を迎えられるまでには、数えきれないご苦労があったことと思います。いま、このように心も身体も大きく成長し、新しい世界へと巣立ちゆくお子さまの立派な晴れ姿を前に、きっと感無量の思いでいらっしゃると思います。今日までの三年間、本校の教育に対しまして多大なるご支援とご協力をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

結びに、教職員一同、皆さんとの素晴らしい出会い、そして数々の感動を共にすることができたことに感謝するとともに、限りない可能性を秘めた皆さんが、自分を信じ、仲間とつながり、目標とする新しい世界で、ますます活躍されることをお祈りし、式辞と致します。

令和四年三月十四日

京丹後市立峰山中学校長  上田 隆嗣

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