過去の調査研究

過去の調査研究から

 平成29年度に実施した通級指導教室担当者対象アンケートを、令和2年度に再度実施し、ICT活用に関する意識や実践の変化を探りました。

  • 目的 比較分析を通してICT活用等に対する意識や実践の変容を探る。
  • 時期 令和3年2月から3月
  • 方法 Web上のアンケートフォームに回答

※平成29年度は紙面による回答

1.校内委員会で把握している読み書きに困難があると思われる児童生徒の在籍率

平成29年度の在籍率
 割合2.1% (全体児童生徒数 32,641人のうち読み書き困難児童生徒数 680人)
令和2年度の在籍率
 割合2.3% (全体児童生徒数 43,961人のうち読み書き困難児童生徒数 1,006人)

通級指導教室担当者年齢構成

棒グラフ。20代から60代までグラフで示している。20歳代は、平成29年と令和2年度ともに4%。30代は、平成29年は21%。令和2年は17%。40代は、平成29年は26%。令和2年は38%。50代は、平成29年は38%。令和2年は39%。60代は、平成29年は11%。令和2年は12%。

通級指導教室担当経験年数

棒グラフ。5年未満は、平成29年は46%、令和2年は59%。6年目から10年目は、平成29年は26%。令和2年は21%。11年目から20年目は、平成29年は18%。令和2年は18%。21年目から30年目は、平成29年は4%。令和2年は2%。31年目以降は、平成29年は6%。令和2年は0%。

通級指導教室担当者の特別支援教育コーディネーター兼務の割合

棒グラフ。平成29年度は80.5%。令和2年度は、95.5%。

特別支援学校免許状保有率(参考)

平成29年度
通級指導教室担当者の中で保有率 43.5%


令和2年度
通級指導教室がある学校の中で保有率 46.1%

  • 経験の浅い通級担当者が増加している。
  • コーディネーター兼務率が増加(通級担当者に求められる役割の拡大)している。

通常の学級におけるICT機器を利用した場合の評価

学習時の評価
平成29年度

  • ICTを利用していない  86%
  • 評価点に加えない     6%
  • 参考点として評価している 4%
  • 学習評価として扱っている 4%


令和2年度

  • ICTを利用していない  76%
  • 評価点に加えない     
  • 参考点として評価している 
  • 学習評価として扱っている 10%

試験利用時の評価
平成29年度

  • ICTを利用していない  95%
  • 評価点に加えない     3%
  • 参考点として評価している 1%
  • 学習評価として扱っている 1%


令和2年度

  • ICTを利用していない  91%
  • 評価点に加えない     3%
  • 参考点として評価している 1%
  • 学習評価として扱っている 5%

ICT利用環境  ※単位は台数

ICTの利用環境に関する3つの設問について、回答を棒グラフで示している。
通級指導教室担当者で利用可能なICT機器がある学校では、平成29年度は、ウインドウズパソコンが58台。ウインドウズタブレットは13台、iPadは15台を使用している。令和2年度は、ウインドウズパソコンが97台。ウインドウズタブレットは197台、iPadは86台を使用している。
通常の学級に貸し出し可能なICT機器がある学校では、平成29年度は、ウインドウズパソコンが21台。ウインドウズタブレットは10台、iPadは7台を使用している。令和2年度は、ウインドウズパソコンが27台。ウインドウズタブレットは187台、iPadは30台を使用している。
家庭に持ち帰り可能なICT機器がある学校では、平成29年度は、ウインドウズパソコンが0台。ウインドウズタブレットは1台、iPadは3台を使用している。令和2年度は、ウインドウズパソコン2台を使用している。ウィンドウズタブレッドとiPadは使用していない。
  • 調査時点ではICT利用を学習評価まで連動させている割合はまだ少なかったが、平成29年時と比較すると令和2年時には増加している。また、持ち帰りを認めている学校はほとんどなかった。
  • 通級指導教室のICT環境は、GIGAスクール構想が本格化する前から充実傾向にあった。

実施したアセスメント(顕著に増加したものを抜粋) ※単位は校数

表。縦軸は検査名、横軸は年度で平成29年と令和2年。各検査の実施校数が記載されている。
平成29年度と令和2年度を比較すると、すべてのアセスメントで実施校数が増加している。
認知発達のアセスメントでは、WISC‐IVが75校から109校、新版K式が59校から93校、K‐ABC IIが12校から16校に増加した。読み書きのアセスメントでは、STRAWが11校から42校、URAWSSが6校から17校、MIMが1校から38校に増加した。視知覚のアセスメントでは、WAVESは7校から32校に増加し、言語検査のPVT‐Rは11校から39校に増加した。

 

アセスメントの実施機関 ※単位は件数

表。縦軸は実施機関(通級指導教室、地域支援センター・教育相談センター、医療機関・大学)、横軸は検査名(WISC‐IV、新版K式、K‐ABC II、ITPA、URAWSS、STRAW‐R)。各検査の実施件数が平成29年度と令和2年度で記載されている。
令和2年度は平成29年度に比べ、すべての機関でアセスメントの実施件数が増加している。
通級指導教室では、WISC‐IVが205件から251件、新版K式が62件から72件、STRAW‐Rが20件から48件に増加した。
地域支援センター・教育相談センターでは、WISC‐IVが33件から49件、新版K式が27件から31件、STRAW‐Rが6件から10件に増加した。
医療機関・大学では、WISC‐IVが21件から57件、新版K式が10件から23件、K‐ABC IIが1件から13件、STRAW‐Rが2件から19件に増加した。

10学級担任との連携

※5点満点で回答したものの平均値

  1. 充実していない
  2. あまり充実していない
  3. どちらでもない
  4. 少し充実している
  5. 充実している
表縦軸は通級の種類(自校通級、他校通級、巡回通級)、横軸は年度(平成29年、令和2年)。各項目の平均値が記載されている。
令和2年度は平成29年度に比べ、自校通級の平均値が4.28から4.49に上昇し、学級担任との連携がより充実している。他校通級は3.17から2.89に低下し、連携の充実度が下がった。巡回通級は3.52から3.63にわずかに上昇した。
  • 令和2年の調査時には読み書きに関するアセスメントが増加しており、読み書き困難に対する客観的な把握が通級指導教室で進んでいる。
  • 医療機関の利用も増加している。
  • 他校通級における連携の減少については、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響が推測される。

11試したことのある支援方法について(増加したもの上位10を抜粋) ※単位は%

表。左側は小学校、右側は中学校のデータ。縦軸は支援方法、横軸は年度(平成29年、令和2年)。各方法の実施割合が記載されている。
小学校では、ICTを活用した支援方法の増加が顕著であり、文字の拡大は5.7%から35.0%、ルビ振り(ICT)は1.0%から8.4%に増加した。デイジー教科書の利用も2.4%から11.7%に伸び、キーボード入力は2.0%から8.4%に増加した。紙媒体でのルビ振りや眼球運動・手先のトレーニング、MIMの利用も増加しており、ICTと併せて多様な支援が広がっている。
中学校では、文字や教材の拡大(紙・ICT)が大幅に増加し、文字の拡大(ICT)は7.3%から27.7%、教材の拡大(ICT)は同じく7.3%から27.7%に伸びた。紙媒体での拡大やフォント変更も増加している。さらに、アイデアマッピングの利用は14.7%から30.7%、運筆練習は16.0%から31.1%に増加し、学習負担軽減策として宿題・板書量の調整も14.7%から27.7%に増加した。音声読み上げ機能の利用も6.7%から13.9%に伸び、ICTを活用した支援が広がっている。

12試したことのある支援方法について(減少したもの上位5を抜粋) ※単位は%

表。左側は小学校、右側は中学校のデータ。縦軸は支援方法、横軸は年度(平成29年、令和2年)。各方法の実施割合が記載されている。
小学校は、漢字等の反復練習が44.4%から30.0%に減少し、文字の拡大(紙)は32.7%から17.3%に減少した。必要のない部分を隠す(紙)は43.8%から34.5%に減少し、全身のトレーニングは59.6%から51.7%に減少した。マス目の大きなノートの利用も29.3%から21.6%に減少している。
特徴、従来型の紙媒体による支援や身体的トレーニングの実施割合が全体的に減少している。
中学校は、漢字等の反復練習は44.0%から35.6%に減少し、単元や学年を戻っての学習は68.0%から62.4%に減少した。教員の代読は53.3%から48.5%に減少し、発音・発話練習は20.0%から15.8%に減少した。付箋の利用(紙)も30.7%から26.7%に減少している。
特徴、反復練習や学習の戻し、教員による代読など、従来型の補助的支援が減少傾向にある。
  • 小学校の通級指導教室では、ICT利用が増加した一方で、反復練習や紙媒体による支援等が減少した
  • 中学校の通級指導教室では、ICT利用も含めた多様な支援方法が増加している。
  • 読み書き困難に対してのICT利用は、特に小学校の通級指導教室で拡大していると推察される。
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